実はおもしろい検定試験(突撃!となりの事故現場!)

日本語表現、とりわけ文法的な機能を
担った機能語といわれるものは、

複数の意味用法を持っていることが
多く、

それだけに、前後の文脈に合った正しい
解釈をしなければ、

場合によってはエライことになってしまう、
ということがあります。

検定試験は、そうしたことを時にユーモア
を交えながら紹介してくれる、
実に懐の深い試験。

今回は、そんな内容です。

平成21年試験I問題1から。

以下、仲間外れを選ぶ問題。

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【「た」の用法】

1 期限の切れたカードが出てきた。
        ̄
2 事故に遭った人に話を聞いた。
        ̄
3 ボタンの取れたシャツを洗った。
         ̄
4 あの天井についたしみが見えますか。
          ̄
5 あの和服を着た男性はだれですか。
         ̄
==================

いかがでしょうか。

「た」の用法もいろいろありますが、

ここでは、状態を表す用法か過去・完了
を表す用法か、が問われています。

例えば、選択肢1の例文は、

「期限の切れている~」

に置き換えることができます。

つまり、

「(今まさに)期限が切れている状態の
 カード」

という意味なわけですね。

ですので、選択肢1の「た」は状態の
「た」です。

このように、状態の「た」かどうかは
「ている」に置き換えられるかどうか
で考えてみると一発でわかるんですね。

ついでに言うと、これは名詞修飾する
際に現れる現象です。

選択肢2,4,5も同様に、すべて
「ている」に置き換えられますので、

これらの「た」も状態の「た」です。

問題は、選択肢2。

もし、これが状態の「た」だったら、

「(今まさに)事故に遭っている状態の
 人」

という意味になってしまいます。

今まさに交通事故かなんかに遭って、
血まみれになっている人にマイクを向けて、

「話聞いていいっスか。痛いっスか。
 マジヤバくないっすか。」

のような意味になってしまいます。

おかしいですね(笑)

そもそも、「遭った」を「遭っている」
にすることができませんし。

この場合の「事故に遭った」というのは、
今の状態ではなく、

「以前事故に遭った」

あるいは

「過去に事故に遭った経験がある」

という、過去・完了の「た」なんですね。

私たち日本人は、直感的に理解できる
かもしれませんが、

こと学習者にとっては、見た目が同じな
だけに、

前後の文脈を踏まえて、文全体の意味を
理解しなければ、正しい解釈ができません。

それだけに、授業ではしっかりと意味の
確認をしないといけないというわけです。


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