自分のコピーを作るような教育はしてはならない。

私が大学で教鞭をとり始めたころ、
当時の学科長にこう言われたことがあります。

「学生に一生懸命指導するのはいいが、
自分のコピーを作るような教育はしては
いけないよ。

学生には学生の考えがあり、人生がある
わけだから。」

今はその意味がすごくわかります。

 

私たちは、指導に熱心になるあまり、また
学習者を受け入れた責任を強く感じるあまり、

学習者がうまくいかないのを自分のせいだと感じ、
また、学習者に失敗はさせたくないと感じ、

そして、学習者のすべてを抱え込もうとし、
一番いい選択肢を学習者に強く勧めようとする。

 

そして、反発すれば、それを学習者の未熟さが
原因と結論づけ、

もし学習者が失敗すれば、

「だから言わんこっちゃない。」

と強く叱る。

 

「私の言うとおりにすれば、間違いない。」

確かにそうかもしれません。

 

ですが、もし教師の言うとおりにした
として、

それで当の学習者は自分の人生を
歩んでいると感じるでしょうか。

 

もちろん、進んでそうしているのであれば
話は別です。

また、学習者が明らかに誤った方向に進んで
いるとすれば、

そこは教師がしっかり止めてあげなければ
なりません。

 

ですが、もしそうではなく、

教師のいわば権力でもって半ば強引に特定の
価値観や選択肢を強いているとすれば、

それは、冒頭に述べた

「自分のコピーを作るような教育」

なのです。

 

こうした罠に陥ってしまうような人は
どのような人かというと、

今まで数々実績を残してきたり、
自分のやり方に絶対的な自信があったり、
「自身は成功者」という意識が強かったり、

そういう人。

 

そういう人は、

「私の言うとおりにすれば、間違いない。」

という意識が強い傾向があるようです。

ですが、

自分はこの世の中に一人いれば十分な
わけで、

自分と同じ人間はこの世の中に二人と
いらないのです。

 

では、自分のコピーを作るような教育に
陥らないようにするためには、どうしたら
いいか。

 

私が気をつけているのは、

「相手の選択肢を狭めるような干渉は
しない。」

ということです。

 

もちろん、充分な情報提供はします。

しかし、あくまでも数ある選択肢の1つです。

 

そして、最後には、

「自分でよく考えて、最後は自分で決めてね。」

と言います。

 

そうすると、本人はできれば失敗したくないので、
できるだけ考えるようにします。

また、慎重に行動するようにもなります。

 

もちろん、若気の至りで失敗することもあります。

ですが、こちらとしてはそれもすべて織り込み済み。

 

失敗するから、なお考えるようになるし、
なお慎重に行動しようとするし、

今度は向こうからアドバイスを求めてきます。

 

また、失敗も時には必要なのであり、

そうやって、人は成長し、独自の人生を歩んで
行くのです。

 

「学生に一生懸命指導するのはいいが、
自分のコピーを作るような教育はしては
いけないよ。

学生には学生の考えがあり、人生がある
わけだから。」


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