日々の疑問や問題は、その日のうちに解決すべし。

学習者の誤用に対するとらえ方が、

誤用分析研究から中間言語研究に移る際に
大きく変わったというのは、

第二言語習得研究の分野では定番の話。

 

詳しくは述べませんが、ざっくりいうと、

誤用分析研究までの誤用のとらえ方は、

基本的に学習のし損ないの結果という、
かなり否定的なとらえ方。

 

一方、中間言語研究では、

「誤用は学習者が試行錯誤しながら
積極的に言語学習をしている証。」

と、今度はかなり肯定的にとらえられて
います。

 

では、その試行錯誤な学びのプロセスは
どうなのかというと、

学習者の頭の中はざっとこんな感じ。

 

1.授業や日常生活等で様々な
言語データに触れる(=インプット)

2.「この表現の使い方は、こうなん
じゃないかなぁ。」と自分なりの
文法を作る。(=仮説)

3.自分で作ったルールを実際に試して
みる。(=検証)

4.うまくいけばそれが正しい使い方と
して自分の言語体系に定着する。
うまくいかなかった場合(=誤用の創出)、
さらなる言語データを収集すべく
上の1に戻ってやり直し。

 

この1~4のサイクルをぐるぐる回すことで
学習者は言語を学んでいくと。

 

これを「仮説検証モデル」といいます。

 

その際、このサイクルが高速で回れば回るほど
学びも高速化されていくわけですが、

その分、4の段階で誤用の出る頻度も高まる
わけです。

 

ここまでは、検定試験にもよく出てくる話
ですね。

 

ただ、ここで1つ注意しなければいけない
ことがあります。

 

それは、誤用を誤用のままほったらかし
にしておくと、

いくらサイクルを回しても学習効果は上が
らないということ。

 

いや、上がらないどころか化石化を招く
危険性すらあります。

 

なので、サイクルの途中に出てきた誤用を
丁寧に拾っては、

その都度その都度修正を加えて、知識の
ブラッシュアップをしていくということが、
とても大切なんですね。

 

このことは、日本語教師にも当てはまります。

 

現場で起こった疑問や問題を、

「時間がない。」とか、
「めんどくさい。」とか、

様々な理由をつけて解決を先延ばしにして
いくと、

授業で学習者の質問にこたえきれず、

「じゃあ、この問題は先生の宿題にしまーす。」

などといって持ち帰った問題が
どんどん積み残され、

さらに、授業をするたびにあの問題
この問題と増えていき、

あれよあれよという間に、問題が
雪だるま式に膨れ上がってしまう
ことになるわけです。

 

なので、教師として日々成長するために
大事なことは、

「疑問や問題を先送りすることなく、

出てきた時が解決する最大のチャンスと
とらえ、

できるだけその日のうちに解決してしまう。」

という習慣を身につけることです。

 

もちろん、解決するには時間が多少かかります。

 

また、迅速に解決するためには専門書も必要で
出費も伴います。

 

なにより、この作業自体、面倒です。

ですが、これをこまめにしていかないと、
学習者から、

「先生は、いつも宿題があります。」

と失笑されるような状況になってしまう
わけですね。

 

逆に、問題を即解決する習慣が身につくと、
じわじわ授業が楽になっていき
(そりゃそうですよね。)

ついには、

「学習者諸君、どんな質問でもドンとこーい!」

という状態になります。

こうなったらしめたもの(^_^)

日本語教師がもう一段好きになりますよ。


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