検定試験出る問シリーズ(8)-ナチュラル・アプローチもよしあし。

前回、ナチュラル・アプローチを支える理論的基盤
として、クラッシェンのモニター理論を取り上げましたが、

 

「だったら、ついでにナチュラル・アプローチについても
もうちょっと話してよ。」

という声なき声が聞こえてきそうですので、

今回は、ナチュラル・アプローチの長所と短所について
お話ししたいと思います。

 

どの教授法もそうですが、

「これでやれば完璧!
非の打ちどころのない、最強の教授法!!」

などというものはなく、必ず長所と短所があります。

 

なぜなら、

教授法によって伸ばそうとしている言語力や
現場のどういったニーズに応えようとしたものかが、

それぞれ違うからです。

 

なので、電化製品と同様、その用途にあわせて
使いこなすということが大事なんですね。

 

というわけで(前置きが長くなりましたが)、

 

通信講座「篠研の検定対策」の昨日配信

「No.065_さまざまな教授法(2)」

では、ナチュラル・アプローチの長所と短所について
以下のようにまとめています。

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ナチュラル・アプローチの長所は、十分理解するまで発話
を強制されなかったり、

教師によるあからさまな誤用訂正がなかったりと、学習者
にとってストレスの少ない指導法である点をあげることが
できます。

また、最初からごく自然な日本語に触れられるという点も、
学習者にとっては大きなメリットです。

 

一方、短所としては、そもそもこのナチュラル・アプロー
チは初級者用の教授法である(ジャック・C・リチャーズ他
(2007)p.230)ため、

中級以上の学習にはあまり向かないという点をあげること
ができます。

 

また、この教授法は学習者の細かな誤用については比較的
寛容であるため、

例えば文法に関する正確な知識などに、どうしても不十分
さが残ってしまうという欠点があります。

 

クラッシェンとテレル自身も「意味は明確に伝えなければ
ならないが、文法は細部にわたって正確でなくてもよい。」
(同上)と述べています。

 

参考文献:

ジャック・C・リチャーズ&シオドア・S・ロジャー
ス(2007)『アプローチ&メソッド世界の言語教授・
指導法』東京書籍

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このように、教授法の長所・短所を自分なりにまとめて
みると、その教授法の「用途」がはっきりしてきます。

 

「いくらナチュラル・アプローチで勉強しても、
ペーパーテストの点数が上がらないじゃないか!」

と怒っても、

「そもそも、教授法の使い方間違ってますよ。」

という話なんですね。


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