授業に行き詰まった時こそ、検定試験の過去問を紐解いてみては。

「検定試験の勉強は、あくまでも試験までのもの。
現場の実践力とは関係ない。」

そんなコメントを聞くことがあります。

 

私はそのたびに、

「もったいない!×10,000」

と強烈に思うと同時に、

「きっとこういう人は、薄っぺらな試験勉強しか
したことないんだろうなぁ。」

と、心底残念に感じます。

 

私もかれこれ20年、日本語教師をやって
来ましたが、

今でも過去問を見ると、

「なるほど!その手があったか!」
「はっはー、確かにその通り!」
「よくこんな日本語探してきたなぁ。」

と、感心することしきりです。

 

もちろん、問題の中には

「それ、ある!ある!」

というのもたくさんあります。

 

例えば、平成23年の検定試験の試験Iでは
こんな問題が出題されました。

答え、わかりますか。

========================

問 3 英語から日本語への「語用論的転移」の例とし
て最も適当なものを,次の1~4の 中から一つ
選べ。

1「一緒にパーティーを投げませんか」と友人に言う。
2「図書館が閉めないうちに本を借りてきます」と友
人に言う。
3「約束の時間を change していただけませんか」と
友人に言う。
4「一緒に勉強したいですか」と友人に言う。

========================

答えは4番。

 

この「一緒に勉強したいですか」という発言。

日本人からすれば、かなり「上から目線」的な
印象ですが、

英語母語話者に日本語を教えた経験のある方
なら、

「ある!ある!」

と思うほど、英語母語話者の典型的な語用論
的転移による誤用なんですね。

 

しかも、検定試験で語用論的転移による誤用
の問題では、

英語母語話者のこの誤用しか過去出題された
ことがないというほど定番中の定番問題なん
です。

 

ですが、そういった指導経験のない方に
とっては、

「ほっほーー、そうなんだ!」

となるはずで、

将来、英語母語話者に日本語を教える
ことになったら

「友達を誘うときは『~たいですか』ではなく、
『(いっしょに)~しませんか』と言う。」

ということを、どこかのタイミングで
指導すればいいな、となるわけです。

 

他にも、

何年度の問題だったか忘れましたが、
こんなような問題。

=====================

五段動詞「くださる」は、(  )が他の動詞
と異なる形を作る点で特殊である。

1 辞書形  2 意向形
3 命令形  4 テ形

=====================

答えは、3番。

 

確かに、「くださる」の命令の言い方は
現代語では「ください」。

今時「くだされ」とは言いませんよね(笑)

 

であれば、命令形の動詞変形練習の際に、
動詞カードの中に「くださる」を忍ばせて
おいて、

学習者がまんまと「くだされ」と言ったら、

「『ここに名前を書いてくだされ』って、
言いますか」

と突っ込むと(笑)

 

いやもう、ほんとに、検定試験は
授業ネタの宝庫なんです。

 

つくづく、検定試験を単なる試験勉強で
終わらせるのはもったいない。

 

そもそも、

どうして検定試験があるのかというと、

現場に立った時に困らないだけの知識と
スキルを身につけるため。

 

であれば、もし、皆さんの中に

「普段の授業に行き詰っている。」

「授業の引き出しが少なくて、授業が
マンネリ化している。」

と感じている方があれば、

そういう方にこそ、

「検定試験の過去問をもう一度紐解いて
みては。」

と、ご提案したいのです。

 

すでに、検定試験に合格しているという
方も、改めて検定試験の過去問を見て
いただくと、

現場経験を踏んでいる分、

「試験勉強の時には気づかなかったもの、
見えなかったもの」

が見えてくるでしょう。

 

しかも、それは1つ2ではなく
ザクザクザクという勢いで。

 

ちなみに、私は今でもザクザク気づき、
ザクザク見え、

「早速明日の授業で試したい!」

そう思うことしきりです。

 

実際、本メルまでもその実践報告を
ちょこちょこしていますし。

 

ただ、中には

「市販の過去問は答えしかないから
自力で気づくのは難しい。
詳しい解説が欲しい。」

という方がいらっしゃるかもしれません。

 

そういう方は、こちらのセミナー動画を
ご利用いただけるとよろしいかと思います。

私の経験も交えて、たくさんの気づきを
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