学習者は、なぜ「スィりません。」と言ってしまうのか。

学習者の日本語をよーく聞いてみると、時々、

「スィりません。」(=知りません)
「わかりまスィた。」(=分かりました)

のように言っているのに気づくことがあります。

 

つまり、「シ」ではなく「スィ」。

 

以前、スリランカ人に日本語を教えたことがありますが、
彼らはほぼ間違いなく上のような発音をします。

 

彼らの場合は、母語であるシンハラ語に
日本語の「シ」にあたる子音がないため、
「スィ」で代用しているわけですが、

母語に「シ」の音がある学習者でも、
時々「スィ」と言っていることがあります。

 

では、どうして彼らは

「スィりません。」

と言ってしまうのか。

 

実は、日本語のサ行の子音は「シ」だけ音が
違うのです。

 

サ・ス・セ・ソの子音[s]は、

「無声歯茎(しけい)摩擦音」

といって、

上の歯の裏側の歯茎(はぐき)に舌をギリギリまで
近づけて、呼気を摩擦させて出す音です。

 

一方、シの子音は、
(音声記号は機種依存文字なので、ここでは省略。)

「無声歯茎硬口蓋摩擦音」

といって、

歯茎(はぐき)よりやや奥の位置に舌をギリギリ
近づけて、呼気を摩擦させて出す音なんですね。

 

微妙な違いですが、音にするとその違いがはっきり
分かります。

 

この違いをアルファベット表記で示すと、

sa shi su se so

となります。

 

学習者にも、こうした表記で示すと、
大体理解してもらえます。

 

もし、教師にそうした音声学の知識がなく、
例えば、ホワイトボードに

sa si su se so

と書いて、

「さぁ、いっしょに発音練習してみましょう。」

というと、学習者はほぼ間違いなく、

「サ スィ ス セ ソ!」

と発音してしまうことになるわけなんですね。

 

しかも、真面目な学習者であればあるほど、
教師の指示に忠実に「スィ」と言ってしまうと。

 

これでは、あまりにも学習者がかわいそうです。

 

こうした誤った指導をしないためにも、

「日本語教師にはしっかりとした音声学の
知識が必要だ。」

というわけです。

 

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