授業でなかなかしゃべらない学習者をしゃべらせるには。

先日開催した

篠研の日本語の教え方ワークショップ
「初級文型導入の授業準備を短縮する方法
-まずは1時間以内、そして30分、最速10分」
https://www.kanjifumi.jp/bunkeitansyuku/

(上記のURLは8月11日東京開催分です。)

 

で、参加者の方から以下のようなご質問を
頂戴いたしました。

 

「フリートークで学習者に話させようとするの
ですが、なかなか話さない学習者がいます。

そうした学習者を話させるには、どうしたら
いいですか。」

 

なるほど。

 

確かに、そういう学習者はいますね。

 

例えば、

教師:陳さんの町はどんな街ですか。
陳 :・・・・・。

みたいな。

 

初級の文型導入の授業の場合、文型練習の
延長線上でのQAであれば、

使う文型も語彙もほぼほぼ決まっていますし、

前にあてられた学習者の受け答えを見れば、
どう答えればいいかも分かります。

 

反面、フリートークとなると、どんな質問が
来るか学習者にとって予想しにくいですし、

どう答えらたらいいのかも、にわかに判断
できないこともあるでしょう。

 

私自身、英語がまったくできないので(苦笑)
そんな学習者の気持ちはよくわかります。

 

そう考えれば、学習者は「話さない」のではなく
「話せない」というのが正確なところかもしれません。

 

そういう場合は、まず、次の2点に留意すると
いいでしょう。

 

1.学習者がすぐ答えられるような話題にする。
2.質問のレベルを下げる。

 

1については、例えば趣味とか好きな食べ物とか。

 

2については(ここが意外と重要)、まず
「はい」「いいえ」で答えられる質問から
始めます。

 

この質問が最もレベルの低い質問、言い換えれば
学習者にとって最も答えやすい質問です。

 

答えが「はい」か「いいえ」で答えやすいから
です。

 

もちろん、質問の文自体も学習者にとって分かり
やすいものである必要があります。

 

このレベルの質問に答えられれば、次は「何」
「いつ」「どこ」「誰」を使った疑問詞疑問文
で質問し、話を繋げます。

 

間違っても、この段階で「どんな」「どうして」
は使わないこと。

 

「何」「いつ」「どこ」「誰」を使った疑問詞
疑問文だと、単語で答えられますが、

「どんな」「どうして」だと、ややもすると
段落レベルで答えなければならないからです。

 

人前で失敗するのが恥ずかしい学習者にとっては
かなりハードルが高いのです。

 

それから、教師の質問に学習者が答えたら、必ず

「へえ」とか
「おもしろいね」とか
「すごいね」とか
「いいね」とか
「なるほど」とか、

なにがしか興味を示すような肯定的な言葉を
返してください。

 

コミュニケーションでは、こういうレスポンスが
がとっても大事なんです。

 

以上を踏まえて、学習者と会話すると
こんな感じになります。

 

教師 :趣味はありますか。
学習者:ある。
教師 :へえ、何?
学習者:マンガ。
教師 :へえ、おもしろいね。何読むの?
学習者:日本語、分からない。
教師 :じゃ、ホワイトボードに書いて。
学習者:(母語でマンガのタイトルを書く)
(他の学習者がマンガのタイトルの
日本名を言う。)
教師 :へえ。このマンガ、おもしろい?
学習者:おもしろい。
教師 :どこが?

 

だいたいこんな感じです。

このようなやりとりをしながら、時々他の
学習者に話を振って、クラス全体を巻き込んで
いくといいでしょう。

 

くれぐでも、いきなり「どんな」「どうして」
で聞かないこと。

 

試してみてくださいね。


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