欠点が、最大の武器になる。

東京に「天ぷらの神様」と呼ばれた
男がいる。

 

「みかわ是山居」店主、早乙女哲哉。

 

例えば、えび。

えびは通常、180度前後で40秒ほど揚げる。

しかし、早乙女は高温の油で23秒。

その結果、外はカリッと、芯はレア。

そのギリギリのところで、エビの甘さを
最大限に引き出すのだ。

 

早乙女は、17歳で天ぷらの道を志し、
その2年後には、客の前で天ぷらを
揚げるほどの腕前になった。

 

しかし、それが苦しみの始まりだった。

 

客の前で失敗するのが怖くて、体が震える。

心が極端に弱いのだ。

それでも、早乙女は震えを押し殺して
修行に励んだ。

 

ある時、アナゴの揚げ方を工夫してみた。

アナゴが焦げるぎりぎりのところまで揚げると、
臭みが消え、香ばしさが残ることが分かった。

 

しかし、それを食べた客は、にべもなく言った。

「若造が変なことをするな。」

味には絶対の自信があった。
それでも、言い返せない自分が情けなかった。

 

日に日に揚げ場に立つのがつらくなった。

 

何とか人の視線に慣れようと、休みの日に
駅の改札口に立ち続けた。

 

「半分ノイローゼだったんじゃないかな。」

早乙女は、当時を振り返る。

 

しかし、どんな手を使っても気持ちの弱さを
克服できない。

 

早乙女は、思い知らされた。

「オレはとてつもなく弱い。」

 

開き直るしかない。

早乙女は、そう思った。

「オレはオレでしかない。」

それから早乙女は、ひたすら天ぷらを
揚げつづけた。

多い日は、1日300人分も毎日揚げつづけた。

そして、4年経ったある日、気が付いた。

「自分が弱いのは、悪いことばかりではない。」

失敗を恐れるからこそ、他人の行き届かない
ところまで、気を行き届かせることができる。

客のちょっとした反応も、敏感に感じ取る
ことができる。

この道で生きていく覚悟が、
ようやく定まってきた。

そして、29歳の時独立した。

彼の天ぷらは評判を呼び、
半年で人気に火が付いた。

 

あれから37年。
早乙女は思う。

「自分の弱さこそが、今の天ぷらを
作ってくれた。」

 

早乙女は語る。

「日本中でオレより気の小さいのがいたら
連れてきてみろ。

絶対負けない。

そのかわりね、オレは威張れるくらい気が小さいよ。

その気の小ささがね、
天ぷらを揚げさせているんだから。

誰にも負けない。

その繊細さが、この天ぷらを作らせているんだから。

誰にも負けねえよ。

いつも言い切ってますから。」

 

出典はこちら。

プロフェッショナル 仕事の流儀 天ぷら職人
早乙女哲哉の仕事 道を究める その先に [DVD] https://goo.gl/j19WhP

 

私篠崎も、子供のころから悩んでいた
欠点があります。

 

それは、運動神経が悪い。
特に瞬発力がない。

 

小学校4年の時の50m走は、たしか12秒か13秒。

当時の担任の先生から

「女の子より遅い。」

と言われました。

 

スポーツは、何をやらせてもダメ。

特に球技は、バレーボールがかろうじて
できるぐらいで、

野球も卓球もサッカーも、まるでダメでした。

ボールにかすりもしませんでした。

 

ですが、ある時気が付きました。

「確かに自分は運動神経は悪い。
瞬発力はない。

でも、その代わり持久力はある。

マイペースなら、途中でやめることなく
いつまでも続けられる。

そうだ!マラソンなら何とかなるんじゃ
ないか。」

 

それから私は、早起きが弱いのも手伝って、
毎朝走って学校に行くことにしました。

 

その結果、中学の時、全学年が参加する
校内マラソン大会で、

2年次、3年次と2年連続総合優勝しました。

3年次の担任の先生から、

「受験を控えた3年生が優勝するなど、
聞いたことがない。」

と言われました。

 

それから私の中に、

「とにかく持久戦に持ち込んだら何とかなる。」

というのが、一種の処世訓のようになりました。

 

「ことさらライバルと競わなくても、
とにかく続けていれば、ライバルの方から
勝手に消えてくれる。」

 

私がご提供している

【通信講座「篠研の日本語教育能力検定試験対策」】
http://www.kanjifumi.jp/become/distancelearning/

 

これだって、出題範囲がバカ広い検定試験を、
たった一人で隅から隅まで解説した講義資料を
作ろうなど、普通は思いません。

 

そもそも、試験対策など研究のネタになりそうに
ないわけですから、

大学の教員はだれもやろうとは思わないわけです。

 

ですが、だからこそ私はやる価値があるし、
私しかできる人間はいないと思いました。

「1年では絶対できないけれど、
4年かければできるんじゃないか。

たとえ4年かかっても、完成すれば
その時点で唯一無二の存在になれる
んじゃないか。」

そして、手探りの状態から講義資料作成に
とりかかり、

4年後、本当に全出題範囲を網羅する講義資料を
作成することができました。

 

パワポスライド3500枚分。

 

今では、この通信講座が篠研ブランドを代表する
強力なアイテムになっています。

 

人はだれでも、欠点・コンプレックスの1つや
2つは持っているもの。

そして、それがまるで大きな漬物石のように
いつも自分を上から押し殺している。

そう思うもの。

 

でも、それは本当は欠点でもなんでもなく、

単に自分が勝手にマイナスに解釈しているだけ
なんじゃないか。

ほかの人にはない突出した特性であればあるほど、

自分の解釈を少し変えてみるだけで、
他人が模倣したくても模倣できない

他の追随を許さない強力な武器に
なるんじゃないか。

そう思います。

 

もし、私が小学校の時、50m走で中途半端に
速く走れていたら、間違いなく今の通信講座は
生まれていなかった。

そう思います。


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