「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」を読む(最終回)

先日、文化庁から発表された

「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」
https://bit.ly/33JfmP9

を読む。

最終回の今日は、その本丸である

「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」
(令和元年11月8日国語分科会)
https://bit.ly/2qTVBFZ

の6回目です。

今回は、

「8.日本語教師の資格の社会的な位置付けをどのように
することが適当か」

について読んでいきます。

 

では、早速。

ここでは、以下の6項目が掲げられています。

少し長くなりますが、引用します。

○「生活者としての外国人」や留学生,就労者,児童生徒
など国内外で増加する日本語学習者に,質の高い日本語
教育を提供する必要があることから,公認日本語教師は
専門家としての日本語教師に求められる資質・能力を有
することを広く証明するため,公的な資格とする必要が
ある。

○日本社会におけるコミュニケーションの基盤となる日本
語教育の充実を図ることは,我が国の社会の安定・活力
につながるとともに,国際競争力の強化にも資するもの
であり,極めて重要であることから,日本語教育に従事
する者の資質・能力を担保することは,日本社会にとっ
て必要不可欠なものである。国内外を問わず,多様な業
界にわたり専門家としての日本語教師の活躍が期待され
ていることから,公的な資格とすることが適当である。

○技能実習や特定技能などの外国人労働者が日本社会にお
いて力を発揮し,住民と共に地域社会の担い手となって
いくためには,日本語の力が重要な鍵となることは言う
までもない。留学生施策においても,高度人材の輩出や
就職促進などの成果を上げる上で,日本語教育は重要で
ある。人を育て社会を作る日本語教師には相当の資質・
能力が求められることから,社会的に認知される公的な
資格とすることが適当である。

○資質・能力が証明された公認日本語教師が日本語教育機
関や地域の日本語教室,学校,企業等において活躍する
ことによって,外国人の社会包摂に寄与するものである。

○公認日本語教師を名称独占の国家資格として制度を設計
することが適当である。

○「公認日本語教師」以外の日本語教育人材が求められる
場で日本語を教えることを妨げるものではない。

 

最初の3項目はすべて、

「公的な資格とする必要がある。」

という文言で締めくくられていることから、日本語教師の
公的資格化に対する強い決意が感じられます。

従って、今後は、最初の3項目に上げられている生活者と
しての外国人、留学生、就労者、児童生徒、技能実習や特
定技能などの外国人労働者に日本語を教える場合、

特に公共性の高い教育機関においては、認定日本語教師の
資格を持っていることが条件となる可能性がかなり高いと
思われます。

5項目目に「名称独占の国家資格」とあります。

名称独占資格とは、資格がなくてもその仕事に従事する
ことはできますが、

資格を持った者だけその資格名称を名乗ることができ、
資格のないものは、その資格名称を名乗ることができな
い資格のことです。

従って、公認日本語教師の資格がなくても日本語教師と
して働くことは法律上できますが、公認日本語教師と名
乗ることはできません。

「じゃあ、公認日本語教師じゃなくて公的日本語教師と
勝手に名乗ればいいんじゃないの?」

と思う方がいるかもしれませんが、名称独占資格では
紛らわしい名称の使用を禁止しています。

また、

「だったら、別に資格取れなくてもいくらでも逃げ道が
あるんじゃないか。」

と思われるかもしれません。

そのあたりは、私もはっきりわかりませんが、これだけ
日本語教師の資質・能力を問うのであれば、

日本語学校にしても、留学生を抱えた大学にしても、あ
るいは小中学校にしても、

学校の規模に応じて公認日本語教師の最低配置人数は決
める必要があるのではないかと思います。

「公認日本語教師」制度

が定まれば、おそらく日本語学校の設置基準の改正といっ
た動きが出てくるかもしれません。

今後の動きに注目しましょう。

私も本メルマガの「ニュースフラッシュ」で動きをチェック
していきたいと思います。


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