「総合的対応策(改訂)」を読む(4)。

「総合的対応策(改訂)」を読む。

今回は、その4回目。

「総合的対応策(改訂)」とは、下記報告書
を言います。

「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(改訂)」
http://www.moj.go.jp/content/001311603.pdf

この報告書のボリュームから考えると、本連載は
優に20回は超えるのではと思われますが、

それぐらいかかったとしても、丹念に読む価値のある
ものですので、ぜひ最後までお付き合いください。

今回は「II 施策」の第2回目。

「2 外国人材の円滑かつ適正な受入れの促進に向けた取組」

の途中までを取り上げます。

では、早速見ていきましょう。

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2 外国人材の円滑かつ適正な受入れの促進に向けた取組

(1) 特定技能外国人の大都市圏その他特定地域への集中防
止策等

【現状認識・課題】

特定技能制度の運用に当たっては、特定技能外国人が、大
都市圏その他の特定の地域に過度に集中することなく、

地域の人手不足に的確に対応し、地域の持続的発展につな
げていく必要がある。

また、「特定技能」での就労を希望する国内外の外国人の
中には、求人情報に接する機会に乏しい者もおり、

他方で、特定技能外国人の雇用を検討している中小企業の
中には、外国人雇用の経験に乏しく、

求人情報を効果的に提供する方法を必ずしも熟知していな
い企業が存在する。

このような観点から、特定技能外国人と企業とのマッチン
グ支援をはじめとする各種の措置を講ずる必要がある。

【具体的施策】

○ 特定技能制度において、大都市圏等の特定の地域に集
中して就労することを防止し、

かつ、就労を希望する国内外の外国人の意向と中小企業
をはじめとした外国人雇用の経験に乏しい外国人の雇用
を希望する企業のニーズをマッチングさせるため、

各分野特有の状況等を考慮の上、以下の措置を講ずる。

・ 受入れに係る採用、生活環境整備、人材育成等の優良
事例の紹介や、共同での企業 PR 活動、宿舎手配、研修
等の事業者間の連携を促進するための情報提供。(14 分野)

・ 企業・在留外国人に対する地方におけるセミナーの開催
(14 分野)

・ 分野別協議会における引き抜き防止の申合せ等引き抜き
防止に対する厳格な対応が行われるよう分野別協議会を
通じた指導を実施(14 分野)

・ 地方における技能評価試験の実施(14 分野)

・ 特定技能外国人として就労を希望する者と特定技能外国人
の雇用を希望する企業のマッチングを実施する都道府県
(適切な団体に委託可)に対する必要な経費の助成(介護分野)

・ 技能評価試験合格証明書の発行の際、過度集中地域の
受入れ機関から徴収する費用の引上げ。(ビルクリーニング分野)

・ 特定技能外国人の受入れ事業実施のための法人を設立し、
全国の求人求職情報の集約等のマッチングの実施。

また、都市部と地方の間で著しい待遇の格差が生じないよう、
同法人において、地方における求人の発掘を積極的に行うと
ともに、受入れ企業に対する求人条件の見直しなどの助言・指導
の実施。(建設分野)

・ 地域における事業者間連携による自律的取組の発掘・支援
(自動車整備分野)

・ 特定技能外国人の雇用を希望するホテル、旅館等の求人情報
について業界団体や試験実施機関のホームページへの掲載。

ホテル、旅館等や在留外国人を対象としたセミナーを開催し、
制度の広報等を行い受入れ環境を整備。(宿泊分野)
〔厚生労働省、経済産業省、国土交通省、農林水産省等〕
《施策番号8》

○ 外国人の受入れ・定着に積極的に取り組む地方公共団体と
ハローワークが連携する「地域外国人材受入れ・定着モデル
事業(仮称)」を実施し、優良事例や効果を検証する。
〔厚生労働省〕《施策番号9》

○ 特定技能外国人が、大都市圏等の特定の地域に集中して就労
することを防止し、

かつ、就労を希望する国内外の外国人の意向と中小企業を
はじめとした外国人雇用の経験に乏しい外国人の雇用を希望
する企業のニーズをマッチングさせるため、

必要な措置を講じるに当たっては、分野所管省庁等に特定
技能外国人に係る在留数等必要な情報を提供していく。

また、就労を希望する外国人等に対し、受入れ機関の情報を
提供していく仕組みを構築するとともに、

地方における人手不足の状況や特定技能外国人の受入れ状況
等の情報把握・分析機能の強化を行う。
〔法務省、厚生労働省〕《施策番号 10》

○ 地方公共団体と連携して地方で就労することのメリットを
周知するとともに、

外国人受入環境整備交付金による地方への支援を引き続き
推進する。〔法務省〕《施策番号 11》

○ 「特定技能」の在留資格が創設されたことを踏まえ、大都市
圏その他の特定の地域に外国人が過度に集中することなく、

地域の人手不足に的確に対応し、地域の持続的発展につなげ
ていく必要がある。

外国人材の受入支援や共生支援等の優良事例の収集・横展開
を行い、

地方公共団体の自主的・主体的で先導的な取組について、
引き続き地方創生推進交付金により積極的に支援する。
〔内閣府(地方創生)、内閣官房(まち・ひと・しごと創生
本部)〕《施策番号 12》

○ 以下の取組については、必ずしも外国人材を対象にしたもの
ではないが、その推進を図ることにより、地域への就労促進
に資すると考えられる。

・ 住宅紹介等を行う地方の居住支援法人や家賃低廉化補助等を
行う地方公共団体等の取組に対する地方財政措置を含めた充実
した財政支援の実施

・ 元請・下請の取引関係の適正化や介護等公定価格でサービス
対価が決まる分野における処遇改善等の賃金の引上げに関する
取組の推進
〔厚生労働省、国土交通省、経済産業省、公正取引委員会〕
《施策番号 13》

(2) 特定技能試験の円滑な実施等

【現状認識・課題】

国内外の多くの外国人が特定技能外国人として就労するためには、
国内外を問わず、技能水準及び日本語能力水準を確認するための
試験が円滑に実施される必要がある。

このような観点から、特定技能試験の円滑な試験の実施をはじめ
とする各種の措置を講ずる必要がある。

【具体的施策】

○ 特定技能制度における技能試験及び日本語試験を国内外で円滑
に実施する観点から、以下の措置を講じる。

・ 短期滞在者には限定的にしか認められていない試験の受験資格
の見直しを令和2年1月中に実施するなど受験対象者の拡大を図
る。

・ 新たな日本語試験の活用を検討するとともに、特定技能制度に
おける日本語試験の不正防止を徹底し、適正な実施を図る。
〔法務省、外務省〕《施策番号 14》

○ 法務省ホームページにおいて特定技能試験及び日本語試験に
ついての最新情報を多言語で一元的に提供していく。

試験情報に係る関係機関のホームページの多言語化を進めるなど、
外国人及び受入れ機関の双方が必要な試験情報にアクセス
できるよう周知方法を充実させる。〔法務省〕《施策番号 15》

○ 適正かつ円滑な送出し及び受入れの確保のため、MOC作成
国等と定期又は随時に協議を行うための体制構築を行う。
〔法務省、外務省〕《施策番号 16》

○ 日本人との同等報酬を確保しつつ外国人材の技能等を高める
ことにより更に報酬が増えていくことを示すことや、

帰国後にどのような活躍ができるのかなど、分野別の協議会等
において、積極的にキャリアパスの明確化を図る。
〔厚生労働省、経済産業省、国土交通省、農林水産省等〕
《施策番号 17》

○ 建設分野における特定技能外国人の適正就労監理について、
「建設キャリアアップシステム等を活用して、外国人建設就労
者の適正就労等を推進する」
(「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進
に関する方針」(令和元年6月4日デジタル・ガバメント閣
僚会議決定))との方針に基づき、適切に対応する。
〔国土交通省〕《施策番号 18》

○ 介護分野においては、経済連携協定(EPA)、技能実習、
在留資格「介護」、特定技能等、様々な受入方法があることか
ら、

引き続き、各制度の要件、関係性、キャリアパス等の周知に
努めるほか、外国人介護人材の育成やキャリア支援についての
実態を把握し、好事例の周知を図る。〔厚生労働省〕《施策番号 19》

○ 受入れ機関による在留諸申請等が円滑になされるよう、引き
続き誤記入例やよくある疑問点等を的確に把握・分析した上で、

申請書の記載例や留意点をより分かりやすいものに充実させて
周知するなど、受入れ機関や登録支援機関にとって分かりやす
い申請手続に努める。〔法務省〕《施策番号 20》

○ 生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお、
当該分野の存続・発展のために外国人の受入れが必要となる分
野に限り、受入れ分野の追加を認めるとしているが、

当該分野を所管する行政機関から、有効求人倍率、雇用動向調
査その他の公的統計、業界団体を通じた所属企業への調査等の
客観的な指標等が示されれば、

制度の運用状況等を踏まえつつ、関係行政機関と協議し、受入れ
分野を追加するかについて十分な検討を行う。
〔法務省〕《施策番号 21》

○ 特定技能外国人等受入(予定)施設等に対して、特定技能外国
人等が介護現場で日本人職員や利用者と円滑にコミュニケー
ションを図るために必要な取組や介護福祉士を取得するために
必要な学習支援に関する取組等について、必要な経費について
の助成を可能とする。〔厚生労働省〕《施策番号 22》

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文中にある【特定技能】というのは、2018年12月にあらたに
作られた在留資格のことで、

深刻な人材不足に悩む産業分野での外国人労働者の受け入れを
可能とするものです。

イメージとしては、技能実習の兄貴分といったところです。

国としては、国際的に「人身売買」などといった批判を受けて
いる技能実習制度ではなく、

特定技能のほうで外国人労働者を受け入れたい意向があり、

この在留資格を創設した当初は5年間で最大約34万5千人、
初年度で最大4万人程度を見込んでいましたが、

制度そのものにまだ未整備な部分が多く、利用しようとする
企業もさほど多くないなどから、

2019年11月末時点での特定技能の外国人数は1019人と、予定
よりはるかに少ない数になってしまいました。

そこで政府は、「総合的対応策」を改訂するにあたり、
特定技能制度の利用拡大策を大幅に盛り込んだというわけ
です。

外国人労働者にとって、日本は日本語の壁もあり、諸外国に
比べてさほど賃金が高いわけでもないので、さほど魅力的で
はないと言われます。

個人的には、停滞している日本企業の新陳代謝がもっと
進むような施策を打った方が中長期的にはいいのではないか
とおもうのですが、

皆様は、どうお考えになりますでしょうか。


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