「総合的対応策(改訂)」を読む(17)。

「総合的対応策(改訂)」を読む。

今回は、17回目。

今回で最後となります。

それなりに分量のある文書だけに
長く続きました(^_^)

「総合的対応策(改訂)」とは、下記報告書
を言います。

「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(改訂)」
http://www.moj.go.jp/content/001311603.pdf

今回は「II 施策」のうち、

「4 新たな在留管理体制の構築」

の5回目。

「(5) 不法滞在者等への対策強化」

です。

私たちは、在留外国人と良好な関係を築きながら
理想的な多文化共生社会を作っていく必要がある
わけですが、

それは、【適法に在留する外国人と】という前提
付きであることを忘れてはいけないでしょう。

もちろん、場合によっては図らずも不法扱いされ
てしまったということもあるでしょうから、
ケースバイケースで対応する必要がああります。

また、これは外国人だけの問題ではなく、彼らを
悪用しようとする日本人の存在も無視するわけに
はいきません。

いずれにしても、友好的かつ毅然とした姿勢とい
うのが、私たち個人個人にも求められるわけです。

そして、その背後には国のしっかりしたガードも
重要。

果たして、国はどのような体制で不法滞在者への
対策を強化しようとしているのでしょうか。

それでは、早速見ていきましょう。

==========================
(5) 不法滞在者等への対策強化

【現状認識・課題】

我が国には依然として多数の不法滞在者が存在し、
その多くが不法就労に及んでいるとみられる上、

近年、その手口は悪質・巧妙化し、悪質な仲介事
業者等が関与する事案も後を絶たない状況にある。

また、主たる在留目的が就労にあるにもかかわらず、
留学目的と偽って就労をする者も少なからず見受け
られるとの指摘もなされている。

さらに、退去強制業務は出入国在留管理行政のいわ
ば最後のとりでであり、

その機能不全は我が国の社会秩序や治安にも大きな影
響を与えるところ、

これらの不法滞在者等の送還に当たっては、送還忌避
者の増加及び収容の長期化の問題があり、

同問題を解決することは喫緊の課題であることから、
仮放免等の運用の適正化を図るほか、

制度の在り方について、有識者の議論等も踏まえつつ、
法整備上の措置を含め検討を行う必要がある。

今後、外国人の受入れがますます拡大していく見込み
であることも踏まえ、

不法滞在・不法就労等の撲滅に向けた取締り及びその
送還に一層強力に取り組む必要がある。

【具体的施策】

○ 法務省は、摘発体制の整備を図るとともに、関係機関
との協力関係を強化し、情報共有の緊密化・迅速化を図
ることにより、一層の摘発を行う。

また、インターネット上における不法就労先の斡旋、偽
変造在留カードの売買等、

退去強制事由に該当する情報をはじめとした情報の収集
・分析機能を強化することにより、効果的かつ効率的な
摘発を行う。

不法滞在事犯、偽装滞在事犯等の取締りの推進のため、
地方出入国在留管理官署は、

警察や地方労働局等の関係機関との協力関係を強化し、
緊密な情報共有を行うとともに、

収集した情報の分析を強化することにより、効果的かつ
効率的な摘発の推進に努める。

また、不法滞在事犯、偽装滞在事犯及び不法就労助長事
犯に関与する仲介事業者及び雇用主を積極的に摘発する
など、

悪質な仲介事業者及び雇用主に対して厳格な対応を行う。

さらに、不法就労等の防止、不法滞在者の地方出入国在
留管理官署への自主的な出頭の促進等に向けた広報・啓
発活動及び指導を積極的に実施する。
〔法務省、警察庁、厚生労働省〕《施策番号 163》

○ 令和2年3月から在留カード番号が追加される外国
人雇用状況届出情報を活用して、

外国人の就労状況の正確な把握、効率的な摘発のための
偽装滞在者等の特定を進める。

また、法務省が保有する外国人に関する情報と厚生労働
省が把握する外国人雇用状況届出情報が突合できない事
案や、

外国人雇用状況届出の未届が疑われる事案等の迅速な把
握により、

より一層適切な雇用管理、在留管理を図るため、法務省
が保有する外国人に関する情報と外国人雇用状況届出情
報をオンラインで連携する検討を進める。
<再掲>〔法務省、厚生労働省〕《施策番号 147》

○ 除籍・退学後に所在不明となった留学生や失踪技能実
習生等の偽装滞在者に対する厳格な在留管理の実現のため、

在留カード番号ひも付けによる外国人雇用状況届出情報の
確度向上や中長期在留者の所属機関に係る電子届出システ
ムの普及拡大等による届出情報処理の迅速化を図り、

偽装滞在者に対する在留資格取消手続を積極的に進めてい
く。〔法務省〕《施策番号 164》

○ 偽変造在留カードを簡便に発見するための効果的な方法
について、引き続き検討を進める。
〔法務省〕《施策番号 165》

○ 地方出入国在留管理官署は、関係機関と緊密に連携し、偽
変造在留カードの利用に対する取締りを図り、

悪質な利用については厳格に対応する。特に、偽造在留カード
密造拠点の発見、摘発等により、

偽造在留カードの流通実態の把握に努める。
〔法務省等関係機関〕《施策番号 166》

○ 退去強制令書が発付されているものの、送還を忌避し、
あるいは諸般の事情により仮放免されている外国人について、

仮放免の条件(指定住居地での居住や就労禁止等)の遵守状
況や仮放免継続の必要性等を確認・把握するため、

被退令仮放免者である外国人の居住実態や就労事実、仮放免
継続事由の存否等に関する適正かつ厳格な動静監視を実施す
る。

調査の結果、条件違反や仮放免事由の消滅等が確認された場
合には、仮放免の取消しや仮放免期間の延長不許可により再
収容する。

また、退去強制業務は出入国在留管理行政のいわば最後のと
りでであり、

その機能不全は我が国の社会秩序や治安にも大きな影響を与
えるところ、

仮放免中の逃亡事案が多発し、所在不明者が多数に上ってい
ることを踏まえ、

被退令仮放免者の逃亡等をより効果的に防止するため、仮放
免の身元保証人となるべき者の適性審査をより慎重に行うと
ともに、

仮放免を認める際の保証金の金額の設定を適正に行うほか、
仮放免制度の在り方について、

法務大臣の私的懇談会である第7次出入国管理政策懇談会の
下に新たに設置された「収容・送還に関する専門部会」にお
ける有識者の議論も踏まえつつ、

法整備上の措置も含めて検討を行っていく。
〔法務省〕《施策番号 167》

○ 送還忌避者の更なる送還促進に向け、個別送還、小規模
の集団送還、保安要員を付しての送還及びチャーター便によ
る集団送還等、

事案に応じた形態での送還を一層充実させることとし、この
ための体制整備を図る。

併せて、国際移住機関(IOM)による帰国支援プログラム
の活用を推進し、これらの送還忌避者を翻意させ自主的出国
を促進するための取組も充実させる。

さらに、有効な送還方法の在り方等についても調査研究を行
うとともに、

「収容・送還に関する専門部会」における有識者の議論も踏
まえて、法整備上の措置を含めて送還忌避者への対応策に
ついて検討を行っていく。〔法務省〕《施策番号 168》

○ 帰国用臨時旅券の職権発給を拒み、送還対象者の身柄の
引取りを行わないなど、

退去強制手続に協力しない国が存在することにより、退去強
制令書の執行に困難が生じているところ、

こうした国について、二国間協議や送還忌避者の身柄引取り
に特化したハイレベルな交渉の場等を通じて、

身柄の引取りに協力するよう交渉を進めていく。
〔法務省、外務省〕《施策番号 169》

○ 外国人材の受入れに関して、「特定技能」の在留資格に
ついては、

法務省令において、「退去強制令書の円滑な執行に協力する
外国政府又は地域の権限ある機関の発行した旅券を所持して
いること」と規定されていることから、

被退去強制者を引き取らない国の国民に対して、在留資格認
定証明書を交付しない。

また、その他の在留資格についても、被退去強制者を引き取
らない国の国民に対しては、

在留資格認定証明書交付申請に対する審査及び入国審査に際
して、厳格な審査を実施する。〔法務省〕《施策番号 170》

○ 外国人を収容する施設等においては、引き続き通訳・翻
訳体制の充実を進めるなど、外国人被収容者処遇等の充実を
図る。〔法務省〕《施策番号 171》

○ 「難民認定制度の運用の更なる見直し」の実施状況を踏ま
えて、就労等を目的とする濫用・誤用的な難民認定申請への
更なる対策を講じ、真の難民の迅速な保護を図る。
〔法務省〕《施策番号 172》

============================

本文中

> 退去強制業務は出入国在留管理行政のいわ
> ば最後のとりでであり、
>
> その機能不全は我が国の社会秩序や治安にも大きな影
> 響を与えるところ、

という文言が2回出てきます。

それだけに、退去強制業務の強化こそが本事業正否の
要であると言えるでしょう。

「世の中、善良な人ばかりではない。」

という、この世の負の部分にもしっかり目を見張る
必要があるのかもしれません。

皆さんは、どうお考えになりましたでしょうか。


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための無料メルマガ
無料メルマガ「篠研の“日々成長する教師”」

授業の小ネタや授業実践のコツ、教師としての考え方、息の長い日本語教師になるための知恵などを週2日(火・木)でお届けします。

さらに、今ご登録なさると特典が無料でダウンロードできます。
特典 「精読指導の秘奥義」(全24ページ)

解除はもちろんのこと、メールアドレス変更など個人データの編集も簡単ですので、ご安心ください。プライバシーポリシーをご確認の上、ご登録を希望されるメールアドレスを入力し、ご希望の項目ボタンを押してください。

  メールアドレス【必須】
  お名前(姓)【必須】
  お名前(名)【必須】
  よみがな【必須】
  都道府県【必須】 なお、海外在住の方は「海外」をお選びいただき、下記項目に例のようにご記入ください。
  海外にお住まいの方は「ベトナム(ホーチミン)」のようにお書きください。