バブル期の新卒ブランドを捨て敢て茨の道を進んだ男の話(その3)

大学院での生活は、こちらを読んでいただくとして

私の日本語教師物語 > 大学院のころ
https://www.kanjifumi.jp/about/column/02-2/

大学院(修士)を何とか卒業して、静岡の小さな
日本語学校に就職しました。

同期の多くは、博士課程に進学したり、大学に
就職したりしていく中、

どうして私は民間の日本語学校に就職したかと
いうと、

若いうちにいろいろなタイプの学習者を見ておき
たかったから。

...とまわりには言っていましたが、

本当は、とても博士課程進学や、ましては大学職
につくなど、自分には到底無理と思われ、
(自分にまったく自信がなかったんですね)

「日本語学校ぐらいなら行けるかな。
ま、しょうがないか。」

というのが正直なところでした。

で、実際、日本語学校で教鞭をとってみると

確かに、いろいろな国の、いろいろなタイプの
学習者との出会いがあり、多種多様な経験をさ
せてもらうことができました。

学習者の国籍で言えば、

・中国
・台湾
・韓国
・ベトナム
・インドネシア
・アメリカ
・アフリカのどこか(忘れた)
・ブラジル
・ロシア
・モンゴル
・フィリピン
・スリランカ

などなど。

特に思い出深いのはスリランカの男性。

スリランカの僧侶で、永平寺への留学を控え
その前に日本語を勉強するために入学。

見た目は、浅草浅草寺の仁王像そっくりの
恐ろしく眼光鋭い顔立ちなのに、話すと
とても物腰柔らか。

また、学習者タイプと言えば、

・留学生(当時は就学生。大学進学予定者。)
・日本人の配偶者(日本人と結婚した外国人妻)
・技能実習生(当時は技術研修生とかいったかな)
・80代の中国帰国者
・その帰国者と来日した高校生
・短期滞在者
・ALT
・僧侶(上のスリランカ人)、牧師
・定住者

などなど。

当時(1997年~99年頃)、日本人男性と結婚した
上海出身の女性がたくさん学校で日本語を勉強
していたわけですが、

どういうわけか、彼女たちは一様に気が強く
最初に覚える日本語といえば、

「うちの亭主、バカ。」

だったのには驚きました(というか、呆れた(笑))

もちろん、経験した学習者の日本語レベルもゼロ
初級から超級まで。

就職したばかりのころは、

「同期は、みんな博士に進んだり、大学に就職したり。
自分は大学院まで進学して、何やってるんだろう。」

などという思いがよぎったこともありましたが、

今思えば、さまざまな国籍の学習者を経験したことで
漢字圏・非漢字圏問わず、

どういう学習者がどういうふうに日本語を習得して
いくのか、身体知レベルで理解することができましたし、

さまざまなタイプの学習者を経験したことで、在留資格
ごとの学習者の社会的背景や言語状況、

日本語学習のニーズや提供すべきカリキュラム、学習の
好みなどが、

これもまた実体験を通じて理解することができました。
(そのかわり、年中ぼろ雑巾のように働きました)

このことは、今では大学での授業だけでなく、通信講座の
指導法関連の講義資料の作成におおいに活きていますし、

検定対策セミナーでお話しさせていただくときも、
単に答え合わせや解説をするだけではなく、

それぞれの問題に関連した体験談をお話しすることに
よって、

「篠崎からしか聞けない唯一無二の現場直結セミナー」

をご提供することにも成功しているわけです。

私のセミナーにリピーターが多い理由の1つは、こう
いう所にあるのでしょう。

これがもし、大学院のときの私が、周りの同期ぐらいに
頭がよく、

周りの同期と同じように院卒後すぐに大学職に就くこと
ができたならば、

きっと留学生以外のタイプの学習者と接することは
ほとんどなかっただろうし、

授業のタイプもかなり限定的だったのではないかと
思います。

ましてや、暴動直後のインドネシア(東ティモールが
独立する前後ぐらい)に、海外現地入試で渡航するなど
まずなかっただろうと思います(あれもいい経験でした)。

そう考えれば、周りの同期と違って日本語学校就職
という道を選んだことは、

実は、今の自分を形作るための必要不可欠な伏線で
あったと言えるわけです。

「人のゆく 裏に道あり 花の山」

と言いますが、

人とは違う道を進むことは、一見サクセスストー
リーから外れてしまったように思うけれども、

ひたむきに、ひたすらにその道を進むと、その先には
誰も知らない豊かな世界が待っていたりするのです。

であれば、むしろ既存の価値観にこだわらず、
積極的に人とは違う道を進むこと自体が、

自分のキャリアに大きな付加価値をつけることに
繋がるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

少なくとも、そんな道を選んできた自分を全肯定する
今日この頃。


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