バブル期の新卒ブランドを捨て敢て茨の道を進んだ男の話(その10)

私がeラーニングを研究課題に選んだのには、
もう1つ理由があります。

それは、

【研究と教育とビジネスの一体化】

が可能だったからです。

当時、日本語教育の研究者の間では、
研究と教育の両立が大きな課題でした。

というのも、当時の大学は文部科学省から
高等教育における教育体制の強化が求め
られていたと同時に、

大学に振り分けられる研究費を、従来の
一定水準の支給から、

優れた研究に優先的に支給する競争的資金
の方向に流れていっていたからです。

従って、科研費に代表される競争的資金を
獲得できなければ、

研究を続けていくことが極めて困難になって
いったわけです。

なので、研究に没頭し、申請した研究計画が
採択されれば、数十万円から数千万円の研究
資金が得られ、首尾よく研究活動を続けられ、

学会発表や論文を積み重ねることによって
研究業績を増やしていくことができるわけ
ですが、

それによって日々の教育がおろそかになって
しまうと、教育面でのポイントが下がり、評
価が下がってしまうのです。

逆もまた然りです。

そういう中で、大学は国からの助成金も徐々に
少なくなっていき
(要は文科省もお金がないわけです)、

経済的にじわりじわりと厳しくなっていった
わけです。

今でも国公立大学の中では、毎年予算が1割
ずつ減額されていたり、

最低でも先10年、昇給0というところもあると
聞きます。

そういう状況を目の当たりにした私は、

「そもそもこういう仕組みの中に、いつまでも
自分の人生を丸ごと依存させていては、後々
大変なことになる。

自分で稼ぐ力をつけなければ、将来路頭に
迷った時に、人生が詰んでしまう。」

と痛感しました。

そして、

「eラーニング開発であれば、研究と教育とビジ
ネスを一体的に進めることができる。」

と直感したのです。

そして、当時日本語教育でeラーニング開発研究
をしている研究を探してみると、なんとほとんど
ありません。

競合なし、未開の大地なわけです。
(まさにブルーオーシャン)

「これしかない!」

そう思って、早速開発に取り掛かったのでした。

それから、5~6年は前回お話しした通り、土日
祝日休みなし、朝から晩まで働き通しの毎日。
(今でいうところの独りブラック。真っ黒です(笑))

夕方6時ごろ悠々と帰宅していく同僚教師から、

「よく頑張りますねぇ。」

などと揶揄されたりもしたわけですが、

今となっては、そのおかげで研究成果も残せましたし、
学生による授業評価も毎年高評価をもらってますし、

なにより、科研費なんぞに頼らなくても十分研究が
できるほど、経済的に自立できました。

こうした経験から私が学んだことは、

【自分が今、どういう仕組みの中に身を置いている
のかということを、一度俯瞰してみてみること。】

そして、

【その仕組みに問題があれば、その環境から積極的に
抜け出す勇気と努力をすること。】

です。

人は得てして、今の環境から一人だけ抜け出ると
いうことが、なかなかできません。

大きなリスクを伴うし、問題があるとしても基本的に
今いる環境に居心地の良さを感じているからです。

確かにリスクはあります。

そして、多くの人は

「リスクを取ってチャレンジする人生よりも、
極力リスクを回避して安泰な人生を選ぶ。」

ことを処世訓として学んでいるかもしれません。

もちろん、私は今の人間関係を全部断ち切れと
言っているわけではありません。
(ただ、孤独には絶対なります。)

また、リスクを取ってチャレンジしたとしても
すぐに結果が出るわけではありません。

どんなにがんばっていても、一定期間は鳴かず
飛ばずの時期があります。(ここが辛抱のしどころ)

ですが、そこを乗り越えると、ある時点から急激に
上昇していきます。

これを【成功曲線】と言います。

詳しくは、こちらの書籍を。超お勧めです。

石原明『「成功曲線」を描こう。』大和書房
https://amzn.to/33Qd6X0

しかしながら、もし私があの時リスクを取って
eラーニング開発に没頭しなかったら、

きっと今頃は、

▼何の研究業績もなく
(従って研究者としての顔なし。再就職の道は0)、
▼何の教育評価も受けず(学生からバカにされ)、
▼経済的にもカツカツの状態のまま、

▼ただただ雇用主である大学に首根っこを掴まれ
大学の言いなりになるしかないダメ教師人生

に成り下がっていたに違いありません。

そもそも、皆さんとこうしてメルマガを通じて
繋がるということもなかったわけです。

そう考えれば、変化の激しい今の時代、

「極力リスクを回避して安泰な人生を選ぼうと
することが、実は最もリスキーな選択」

ではないかと思います。

なぜなら、可能性が広がっていかず、世の中の
変化に対応できなくなるからです。

私たちは、日本に生まれ、日本で生活している
というだけで、世界から見ればかなりのアドバン
テージがあります。

国の社会保障も充実しているし、インフラも整って
いるし、

仕事もあるし、100円ショップやドラッグストアを
活用すれば、生活費もぐんと抑えられます。

なにより平均寿命が長い。

1つや2つ失敗したからといって、たちまち命が
奪われるわけではありません。

こんな豊かな国にいて、チャレンジの1つもしない
なんて、こんなもったいないことはない。

と私は思いますが、いかがでしょうか。


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