バブル期の新卒ブランドを捨て敢て茨の道を進んだ男の話(その12)

5~6年かけて作った日本語能力試験N1対策
eラーニングコンテンツのビジネス化に失敗し
た私は、失敗した原因を考えました。

インターネットをベースとしたビジネスモデル
自体は、決して悪くない。

当時、この業界では誰も手をつけていなかった
eラーニングに目をつけたのも、今後の将来性、
成長性を考えると間違っていない。

しかも、今の若者はネット学習に対して親の
世代ほど心理的ハードルは高くないはず。

では、いったいどこに問題があるのか。

私はしばらくの間、自問自答、自己省察、これ
までの取り組みを1つ1つ見直してみました。

そして、考えれば考えるにつれ、

「非母語話者相手に日本語ベースでビジネスを
展開するのは、今の自分の実力ではハードル
が高い。」

という結論に至ったのです。

こういうことは、実際に自分で手足を使って
取り組んでみないと分かりません。

具体的なところが見えないからです。

失敗することで、自分の思惑とどの段階でずれ
てきたのかが具体的に分かるのです。
(私の場合、そもそも相手が悪かった。)

痛い思いこそしますが、その分本気になって
考えるので、思考が深まるのです。

逆に、一度も失敗せずに成功すれば、私のような
人間はすぐ有頂天になり、

成功した理由もはっきり分析できないまま、
自信過剰になり、

環境が変わった瞬間に、あっという間に陥落して
いたに違いありません。

だから、ビジネスを成功させたいと思うので
あれば、

もちろん失敗経験ばかりでは話になりませんが、
成功経験だけでは、いざという時踏ん張れない。

やはり失敗と成功を両方経験しながらスパイラル
に成長していくことが大事なんですね。

ということを、私は学びました。

で、次何をしようか。

そこで、私は、今度は外国人から日本人に目を向け
ました。

そして、インターネットでいろいろ調べてみた
ところ、

日本語教育能力検定試験受験予定者の不満を
あっちこっちで見かけるようになりました。

曰く、

「420時間コースを終わったものの、検定試験の
過去問を見て、あまりのレベル差に愕然とした。」

「どこを探しても、過去問の解説書がない。
これでは対策の立てようがない。」

「私が通っている420時間コースは、実習重視で
検定対策を全くしてくれない。」

「市販の対策教材と実際の過去問では、問題の
レベルも違えば、出題傾向も違う。これでは
対策にならない。」

「検定対策セミナーや過去問セミナーに参加しても
ざっくりとした解説しかなく、これなら自分で
勉強したほうがまし。」

「手元のテキストだと、データが古すぎて、時事
問題対策にならない。」

などなど。

なるほど!

私は一瞬、金脈を見つけたような高揚感を覚え
ました。

「検定試験に完全対応したeラーニングコースを
作ろう。」

しかし、そう思ったのもつかの間、

「いやいや、無理でしょ。」

と、高揚感が一気に冷えました。

検定試験の全出題範囲を網羅したeラーニングコー
スをたった一人で作るなど、できるわけがない。

例えば、皆さんご存知の某出版社が出している日
本語教師養成通信講座は、

各分野の第一級の専門家が30人以上集まってテキ
ストを執筆しています。

そのような途方もないボリュームをたった一人で
できるなど、考えるまでもなくできるわけがあり
ません。

加えて、当時の日本語教師のICTスキルは驚くほど
低く、

とある学会で発表していた、とある国立大(しかも
旧帝大)の先生が、

「うちの大学の非常勤は、eラーニングコースの
ログインの仕方もわからないんです。」

とぼやいていたほど(紛れもない実話)。

今から、ほんの6~7年ほど前の話です。

「こりゃ、eラーニングは無理だ。」

と思いました。

一人で作れば、何年かかるかわからない。
たとえできても、使える人がいない。

しかし、現に困っている人はいる。

どうしたものか。

私はしばらく考えたのでした。


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