『2018年度 海外日本語教育機関調査』を読む(第1回)

前回まで13回にわたって

『日本語教育の推進に関する基本的方針』を読む

をお送りしてきましたが、

これに負けず劣らず重要な報告書が、実に上記連載中に
発表されました。

それが、これです。

2018年度 海外日本語教育機関調査:国際交流基金
https://bit.ly/3iHfRB4

国際交流基金によって3年おきに実施される大規模
調査。

検定試験必出はもちろんのこと、本報告書は全世界を
対象とした日本語教育マーケティンリサーチなわけで
すから、

すべての日本語教師にとって最重要資料であることに
間違いはありません。

そこで、今回から数回にわたり本報告書を読んでいこう
と思います。

といっても、全文書に目を通すのではなく、

「第1章 調査の結果概要」

に絞ってみていきます。

また、報告書には数多くのグラフや表がありますので、
気になる方は、そちらもご覧ください。

というわけで、第1回の今日は

「1.全体概況」

についてみていきます。

細かな数字はともかく、ざっくり何がどれくらいの数
であるのかといった規模感を押さえておきましょう。

また、本文中の小見出しは、▼~▼で示しますね。

では早速。

以下、引用。

============================

1.全体概況

▼過去最多全世界142の国・地域で日本語教育の実施を確認
日本語教育機関数、教師数、学習者数のいずれも増加▼

2018 年度調査において海外で日本語教育の実施を確
認できたのは142か国・地域であり、2015 年度調査の
137か国・地域から5か国の増加となっている。

これにより、日本語教育の実施確認国・地域の数は1974
年に調査が始まって以降、過去最多を更新する結果と
なっている。

海外における日本語教育機関数(以下、機関数)は
18,661機関(前回比15.3% 増)、

日本語教師数(以下、教師数)は77,323人(前回比 20.6%
増)となり、いずれも過去最多を更新している。

日本語学習者数(以下学習者数)は3,851,774人(前回比
5.4% 増)となり、調査開始以来初めての減少となってい
た前回調査から約20万人増加している。

なお、本調査で対象としているのは「語学としての日
本語教育を実施している可能性のある機関」であり、

各数値は回答機関から提出された調査票の回答を集計し
た実数である。

そのため、異文化交流に関する活動が主で語学教育を実
施していない機関、

テレビ・ラジオ・書籍・インターネット等で日本語を独
習している学習者の推定人数等は結果に含んでいない。

 

▼新たに日本語教育の実施が確認できたのは5か国、再
開した国は4か国・地域実施が確認できなくなったの
は4か国、差し引きで5か国・地域の増加▼

今回調査で新たに日本語教育の実施を確認できたの
は5か国である。

これらには民間の機関・団体が日本語教室を発足した
事例もあれば、大学内で日本語講座が新たに開講され
た事例もある。

また、かつて日本語教育が実施されていながら前回調
査までの間に実施を確認できなくなっていた4か国・地
域で、

日本語教育が再開していることが確認できている。

一方で、前回調査における日本語教育実施国のうち4か
国で実施が確認できなかった。

主な理由としては教師の人材不足や不安定な治安・経
済状況による運営難などが挙げられる。

世界全体としては、結果として5か国・地域の増加と
なっている。

 

▼過去39年間で実施国・地域数は2.0倍、機関数は16.3倍、
教師数は18.9倍、学習者数は 30.3倍に▼

1979 年度の調査から2018 年度調査まで過去12回の調査
結果をみると、日本語教育を実施している国・地域の数
は 70 から142(2.0 倍)に、

機関数は1,145 機関から18,661機関(16.3 倍)に、教師
数は4,097人から77,323 人(18.9 倍)に、

学習者数は 127,167人から3,851,774人(30.3倍)に増加
している。

=============================

やはり一番押さえておきたい数字は、学習者数。

今回の調査で約385万人いることがわかりました。

前回の2015年調査では、調査以来初めて減少に転じ
ましたので、やれやれといったところでしょうか。

また、本調査はあくまでも教育機関に属する学習者の
数であって、

いわゆる独学の学習者は含まれていないという点も
押さえておきましょう。

特に今は、インターネットを使って独習している
学習者が相当するいると考えられ、本調査の数値に
現れていない学習者が相当数いると考えられます。

とはいえ、学習者数385万人というのが、日本を除く
全世界の日本語教育のマーケットといえます。

この385万人の中のどのような学習者を相手に日本語
教育をしていくかということを考えることが、

私たち日本語教師一人一人のビジネス戦略になるわけ
ですね。


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