『2018年度 海外日本語教育機関調査』を読む(第2回)

今回も、前回に引き続き

2018年度 海外日本語教育機関調査:国際交流基金

https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/survey18.html

を読んでいきます。

今回は、その2回目。

「2.地域概況」

についてみていきます。

また、本文中の小見出しは、▼~▼で示しますね。

では早速。

以下、引用。

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2.地域概況

▼機関数、教師数、学習者数ともに、東アジアと東
南アジアが引き続き多くの割合を占める▼

機関数、教師数、学習者数を地域別に比較すると、
いずれも東アジアが占める割合が高く、次いで東南
アジアとなっている。

この2地域が全世界に占める割合は機関数63.6%、
教師数 77.0%、学習者数 76.8%であるが、

いずれの項目も前回調査に比べて東南アジアの占め
る割合が大きくなっていることが特徴である。

機関数については北米、西欧、中東で微減している
ほかは全ての地域で前回より増加しており、

特に東南アジアでは前回比 37.7%の大幅な増加となっ
ている。

教師数は中東を除く全ての地域で前回よりも増加し、
こちらも東南アジア(前回比 82.0% 増)や南アジア
(前回比42.5% 増)、

規模は小さいもののアフリカ(前回 比71.4% 増)な
どで大幅に増加している。

学習者数については東アジアと北米で僅かに減少が
みられるものの、それ以外の地域では軒並み増加し
ている。

地域内の個々の国によって差はあるものの、このよう
に全体でみれば東南アジア地域は今回調査において最
も結果数値の伸びが著しい地域の一つである。

また全世界で最も機関数、教師数、学習者数の多い東
アジアについては、全ての項目が揃って減少していた
前回調査と比べて機関数や教師数が増加し、

学習者数の減少率は大幅に低くなっていることが確認
できた。

その他、南アジアや大洋州でも全ての項目で大幅な増
加となっているが、

地域内の大国であるオーストラリアやインドの結果が
大きく影響している。

また人口10万人あたりの学習者数が最も多いのは大洋
州の1,208人であり、前回調査の結果をさらに上回る
結果となった。

また東南アジア(204.2人)や東アジア(122.4人)も
前回同様上位にきている一方、

南アジア(3.6人)や中東(2.1人)、北アフリカ(1.3
人)、アフリカ(2.5人)は他地域と比べると低くなっ
ている。

▼全世界の日本語教育機関の16.1%が韓国、15.4%が
インドネシア、13.0%が中国▼

機関数の上位3か国は韓国(2,998 機関)、インドネシ
ア(2,879 機関)、中国(2,435 機関)となっており、
この3か国で全体の4割強を占めている。

次いでオーストラリアの1,764機関、米国の1,446機関と
なっており、上位5か国までが機関数 1000以上となって
いる。

機関数の上位10か国・地域の増減をみてみると、前回比
で微減となっている米国および台湾を除いて増加してい
る。

また教師数の上位は中国(20,220人)、韓国(15,345人)
が前回同様 1位、2位であるが、

この3年間で教師数が急増しているベトナム(7,030人)
が3位に来る結果となっている。

なお教師数は上位10か国では揃って増加しており、9位の
ミャンマー(1,593人、前回比 204.0% 増)や

10位のフィリピン(1,289人、前回比78.8% 増)などでも
増加が顕著である。

学習者については上位4か国までの順位は変わらず、中国
が 1,004,625人、続いてインドネシアの709,479人、韓国
の531,511人、オーストラリアの405,175人となっている。

次いで5位には前回比で 6.4%増加したタイ(184,962人)、
6位には前回から約11万人の大幅増加があったベトナム
(174,521人)が位置している。

学習者が 2 割以上減少した台湾(170,159人)、僅かなが
ら減少した米国(166,905人)は前回よりも順位を下げて
それぞれ7位、8位となっている。

▼機関数、教師数、学習者数ともに増加した国・地域の数
が減少分を大きく上回る▼

2015 年度調査から2018 年度調査にかけての機関数の増減
をみると、

83の国・地域で 2,729 機関の増加、28の国・地域で前回と
同数、35の国・地域で247機関の減少となり、全世界合計で
は2,482 機関の増加となっている。

増加分ではベトナム、インドネシア、中国、ミャンマーな
どが上位にきており、減少分については英国、ドイツ、カナ
ダ、米国などが多くを占めている。

続いて教師数の増減をみてみると、96の国・地域で13,540人
の増加、9の国・地域で前回と同数、41の国・地域で325人の
減少となり、

全世界合計では13,215人の増加となっている。

増加分はベトナム、中国、インドネシア、ミャンマー等が上
位を占めており、減少分についてはカナダ、英国、スウェー
デンなどが占める割合が比較的多くなっている。

学習者数の増減については、104の国・地域で319,979人の増
加、1の国・地域で前回と同数、41の国・地域で123,229人の
減少となり、

全世界合計では196,750人の増加となった。

学習者数の増加が多かったのはベトナム、中国、オーストラ
リア、ミャンマー、インド等であり、

減少幅が大きかったのは台湾、インドネシア、韓国等である。

このように全ての項目で増加分が減少分を上回る結果になっ
ており、特にベトナムやミャンマー等の東南アジアのいくつ
かの国で急激な伸びがあること、

中国など日本語教育の規模が大きい国・地域の増加分が全体
結果に影響している。

▼地域別概況のポイント▼

東アジア地域では機関数、教師数が増加している一方、学習
者は僅かに減少という結果である。

学習者の減少については少子化で学習者層の人口自体が大き
く減っている台湾や韓国の結果が大きく影響しているが、

中国の増加分の影響で地域全体としては微減程度に収まって
いる。

次いで日本語教育の規模が大きい東南アジア地域では、機関
数と教師数が大幅に増加し、学習者数も地域全体で10万人以
上増加している。

世界で2番目に学習者数の多いインドネシアでは引き続き前回
を下回っているが、その他の主要国では揃って増加している。

特にベトナムやミャンマーでの学習者数の増加は顕著であり、
いずれも日系企業の進出や技能実習制度等による訪日機会の
増大が主要な要因と考えられる。

そのほか、南アジア、大洋州、中南米、東欧といった地域で
も日本語教育の拡大がみられる。

インド、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、ブ
ラジル、ロシアといったそれぞれの地域内の主要国の結果が
直結しているともいえるが、

それ以外の比較的小規模な国でも機関数や学習者数が増加し
ているケースが多い。

一方、北米では教師数が増加した一方で、機関数や学習者数
が減少している。

北米地域は米国とカナダの2か国であるが、日本語教育を取
り巻く状況として共通して挙げられるのは外国語教育関連の
教育予算の縮小であり、

今回の結果にも少なからず影響を与えていると考えられる。

また西欧では機関数が微減する一方で、教師数と学習者数が
増加するという結果になっている。

前回からの機関数の推移については、英国の減少分が地域全
体の結果に影響している側面が強い。

中東やアフリカ等、比較的日本語教育の規模が小さい地域を
みてみると、

機関数、教師数、学習者数いずれも増加しているケースが多
い。

これらの地域では新たに日本語教育が始まったり、一度中断
していながら再開した国もある一方で、

教師確保の難しさや社会面・経済面の不安定な情勢によって
規模が縮小している国もみられる。

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いろいろなデータが出てきますが、何といっても
重要なのは、学習者数の国別ランキング。

1位 中国
2位 インドネシア
3位 韓国

この上位3カ国はしっかり押さえておきましょう。

全体的に見ると、特に東南アジアのマーケットが
成長している感じです。

また、国内においては急激に学習者数を増やして
いるベトナムですが、

海外に目を向けると、意外にタイの方が学習者数が
多いんですね。

実際、国内の日本語学校においても、ベトナム人学
習者獲得競争が激化したことから、

次のマーケットとしてタイにアプローチしている
ところもあるようです。

一方で、教師数に目を向けると、タイは全体の2.6%
と、ベトナム9.1%に比べて圧倒的に少ない。

今後は、タイで日本語を教えるネイティブ教師が増
えるかもしれませんね。

皆さんは、どのように感じられましたでしょうか。


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