「地域における多文化共生推進プラン」(改訂)を読む(その6)

シリーズ

「地域における多文化共生推進プラン」(改訂)を読む。

出典先は、こちら。

「地域における多文化共生推進プラン」の改訂
https://bit.ly/3d2vHnx

第6回の今日は、

「3.地域における多文化共生を推進するための具体的な
施策」

の3回目。

予めお詫び申し上げますが、本日の引用は
めちゃめちゃ長いです(>_<)

というわけで、早速、本文。さっさと本文。

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3.災害時の支援体制の整備

ア.外国人に関する防災対策の推進

訪日外国人及び外国人住民の増加に伴い、災害発生時に
被災する外国人の数も増加しており、

外国人に対する平常時からの防災情報の周知及び災害発生
時における災害そのものや被災者の生活支援、気象に関す
る情報提供等の重要性が増していることから、

外国人に関する防災対策について、防災基本計画及び防災
業務計画等を踏まえて各地方公共団体の地域防災計画への
位置付けを含めて推進する。

イ.多言語支援のための応援体制の整備

災害発生時に外国人被災者に対する多言語での支援を迅速
に実施するために必要な体制の確保のため、

地域国際化協会と地方公共団体との連携体制を整備すると
ともに、

外国人住民の増加や国籍等の多様化、自然災害の多発・激
甚化を踏まえて連携内容の再確認を行う。

また、地方公共団体間で締結している相互支援協定に、多
言語での支援体制の整備のために必要な人材の派遣を位置
付けるよう検討する。

また、NPO等やその他の民間団体も含め、地方公共団体
の枠を超えた広域の応援協定の策定を検討する。

なお、感染症の拡大防止の観点から、支援協定に基づく受
援業務の選定に当たっては、

遠隔地での業務対応の可能性を検討するなど、遠隔地間で
の感染拡大の抑止に留意する必要がある。

ウ.外国人住民の所在把握

要支援者の所在情報の把握は、防災対策を行う上で不可欠
であるため、

外国人住民の所在情報について平常時から的確に把握して
おく。

エ.自主防災組織等への外国人住民の参画促進

高齢化率が増加を続ける中で、外国人住民を災害時の支援
の対象としてだけではなく、

災害時の支援の担い手として位置付けることが一層重要と
なっている。

こうした状況を踏まえ、外国人住民が参加しやすい防災訓
練となるよう訓練内容の工夫や、

行政と連携して外国人住民の自助・共助の担い手となる外
国人防災リーダーの育成等により、外国人住民の防災訓練
への参加及び自主防災組織等への参画を促進する。

オ.外国人被災者への多様な情報伝達手段の活用

外国人被災者に対し円滑に情報提供が行えるよう、平常時
より多言語化した防災マップ等により防災情報の周知を図
るとともに、

災害時には(一財)自治体国際化協会が提供している災害
時多言語表示シートや災害時用ピクトグラム等の活用のほ
か、

ホームページやSNS等により多言語での情報発信を実施
する。

また、通訳ボランティアの育成・支援、連携・協働につい
て、地方公共団体における防災部門と多文化共生施策担当
部門の連携をはじめとして、

NPO等や地域の自主防災組織等、多様な民間主体との連
携・協働を図る。

カ.外国人被災者への効果的な情報伝達体制の整備

大規模災害発生時には、災害時外国人支援情報コーディ
ネーターの活用等により、

外国人被災者に多言語での支援を行う活動拠点である
「災害多言語支援センター」を設置する等、

外国人に対し効果的に情報伝達を行うことができる体制
を整備する。

キ.避難所における外国人被災者の感染症対策

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、災害が発生し避
難所を開設する場合には感染症対策に万全を期すことが
重要になっていることから、

令和2年4月に内閣府・消防庁・厚生労働省より地方公
共団体に対して発出された、避難所における新型コロナ
ウイルス感染症への対応に係る通知等を踏まえ、

災害時に外国人被災者が避難する場合に備え、これまで
防災情報として外国人住民に対して周知してきた内容か
らの変更(密集等を避けた避難方法や避難場所の分散等)
については、

多言語化した防災マップへの記載等により速やかに広報
を行う。

また、多言語対応ができる感染症患者受入可能病院等の
把握や遠隔医療通訳等の体制の確保等、

避難所で外国人被災者が感染症に罹患した場合に備えた
取組を推進する。

4.医療・保健サービスの提供

ア.医療機関における多言語対応

対面通訳、電話・映像通訳、機械翻訳(AI通訳アプリ)
等を組み合わせて、

地域の実情に応じて、医療機関で必要な医療通訳の体制を
確保する。

また、広域的な医療通訳派遣システム(電話・映像通訳を
含む。)を構築し、

外国人住民に係る医療通訳のニーズと、広域に存在する
医療通訳に係る人的資源の効果的なマッチングを図る。

国際交流協会、NPO等による医療通訳派遣が行われて
いる場合は、こうした団体との連携・協働も検討する。

イ.医療機関における文書等の多言語化

医療機関において、問診票をはじめとする文書等を多言
語化し、外国人住民が安心して受診できるようにする。

ウ.外国語対応可能な病院・薬局に関する情報提供

地域の多言語対応が可能な病院や薬局については、ホー
ムページ等により、外国人住民へ積極的に情報提供を行
う。

エ.健康診断や健康相談における対応

外国人が多数居住する地域の健康診断や健康相談の実施
に際して、多言語対応を行う。

5.子ども・子育て及び福祉サービスの提供

ア.サービスの利用促進

外国人住民が、必要とする子ども・子育てや福祉のサー
ビスを適切に利用できるよう、

サービスの内容や利用の際の手続について、多言語によ
る情報提供を行う。

また、住民基本台帳を活用するなどして、子ども・子育
てや福祉サービスを必要とする外国人住民やその世帯
(複数国籍世帯9を含む。)の把握に努める。

イ.サービス提供時の多言語による支援

母子健康手帳等を多言語化して外国人住民に交付や配布
を行うとともに、

地方公共団体の窓口やサービスを提供する現場において、
多言語対応を行う。

また、保育における多文化対応にも留意する。

多言語対応については、ICTを活用した電話・映像通
訳、多言語翻訳アプリ等の活用も検討する。

「複数国籍世帯」:外国人と日本人で構成する一の世帯。

6.住宅確保のための支援

ア.外国人住民に対する公営住宅の供給

外国人住民について、地域の実情に応じて、可能な限り
地域住民と同様の公営住宅の入居申込資格を認める。

また、多言語による公営住宅の入居者募集案内等の広報
の充実に努める。

イ.外国人住民に対する居住支援の推進

賃貸住宅の仲介を行う不動産業者に関する情報や、住宅
に関する慣習やシステム等に関する情報を、外国人住民
へ多言語で提供する。

また、外国人が住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供
給の促進に関する法律(平成19年法律第112号)により
「住宅確保要配慮者」とされていることを踏まえて、

地域の実情に応じて、居住支援協議会の設立、外国人へ
の居住支援を行っている団体との連携や居住支援法人と
しての指定等を含めて必要な施策を検討し、

外国人住民に対する居住支援を推進する。

加えて、居住支援協議会、居住支援法人、受入れ機関、
登録支援機関及び不動産関係団体等と連携を図る。

ウ.住宅入居後のオリエンテーションの実施

家庭ゴミ等の一般廃棄物の取扱い等、地域における生活
ルールを巡って、外国人住民と日本人住民との間に起こ
るトラブルは、

生活習慣の差異に起因する場合が多いことから、地域の
ルール等を外国人住民に周知するオリエンテーションの
仕組みを、自治会、NPO等と連携して構築する。

エ.自治会・町内会等を中心とする取組の推進

平常時・緊急時を問わず、自治会等が中心となって、
NPO等、その他の民間団体との連携を図りつつ、

地域ぐるみで外国人住民を受け入れていくことが重要で
あるため、

自治会等への外国人住民の加入を促すとともに、外国人
住民と自治会等が連絡を取ることができる仕組みづくり
を推進する。

オ.外国人住民が集住する団地等における相談窓口の
設置

外国人住民への入居時の生活情報の提供や、生活相談
に対応できる相談窓口を集住団地内に設置する。

7.感染症流行時における対応

ア.感染症に関する多言語による情報提供及び相談対応

新型コロナウイルス感染症等、感染症の感染拡大に
備えるため、

国内に在留する外国人に対して、感染症に関する多言語
による情報提供や相談対応を行う体制を整備する。

情報発信については、背景となる制度の概要等、外国人
が内容を理解するために必要な情報を的確に伝達するよ
う留意する。

また、できる限り、多言語での情報発信についても、
遅滞なく適時適切に行うよう留意する。

イ.感染症対策における外国人の人権への配慮

感染症流行時における取組の実施に当たっては、患者・
感染者や対策に携わった者等、外国人の人権に配慮す
ることの重要性に留意する。

(3)意識啓発と社会参画支援

1.多文化共生の意識啓発・醸成

ア.地域住民等に対する多文化共生の意識啓発

地域住民が外国人住民と共生していくために、住民や
企業、NPO等を対象に、多文化共生の地域づくりに
ついて啓発を行う。

イ.不当な差別的言動の解消

本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向け
た取組の推進に関する法律の制定を踏まえ、

地域の実情に応じて、相談体制の整備、教育の充実等
及び啓発活動等に取り組むよう努める。

ウ.多文化共生の場づくり

地域において、学校、図書館、公民館等の施設も活用
し、NPO等と連携しながら、

外国人の人権尊重の啓発や地域に多く居住する外国人
住民の言語を学ぶ機会を提供する等、

地域住民と外国人住民が相互に交流し、多文化共生に
関する理解を深める場づくりを推進する。

エ.多文化共生をテーマにした交流イベントの開催

外国人住民の母国の文化や日本文化等を紹介する交流
イベントを開催し、地域住民が交流する機会を設ける。

2.外国人住民の社会参画支援

ア.キーパーソン・ネットワーク・自助組織等の支援

外国人住民が、地域住民として主体的に地域で活動
できるよう、

地域の外国人コミュニティのキーパーソンとなるよう
な人物や外国人住民のネットワーク、そして外国人住
民の自助組織を支援する。

災害時の支援等、外国人住民が支援者となることによ
り、支援を受ける外国人住民に対して、

よりきめ細かなサービスの提供が可能となることを
踏まえて、担い手となる外国人住民の育成を図り、
その協力を得る。

イ.外国人住民の意見を地域の施策に反映させる
仕組みの導入

審議会や委員会等の会議への外国人住民の参加を促進
し、地方公共団体の施策に外国人住民の意見を広く反
映させる仕組みを構築する。

ウ.外国人住民の地域社会への参画促進

地域の実情に応じて適切な自立支援体制を整備する
とともに、外国人住民の地域社会(自治会、商店街、
PTA等)への参画を促進する。

その際、特に外国人である配偶者や子育て世帯等の
地域社会とのつながりの形成に配慮する。

エ.地域社会に貢献する外国人住民の表彰

外国人住民の中には、様々な形で地域社会の構成員
として活躍し、地元社会に貢献している人々もいる。

そのような活動を評価し、周知することにより、地域
社会の理解や外国人住民の活躍を促進するため、表彰
を実施する。

(4)地域活性化の推進やグローバル化への対応

1.外国人住民との連携・協働による地域活性化の推進・
グローバル化への対応

ア.優れた取組を行う事例や外国人住民の人材の発掘・
情報収集

外国人住民が、自らの強みや外国人独自の視点を活か
して、地域の魅力に係る情報発信、地域産品を活用し
た起業、

地域の観光資源を活用したインバウンド観光の受入れ等
の担い手となる事例やスキルやノウハウを有する外国人
住民の人材について、発掘や情報収集に努める。

イ.地域活性化の推進

人口減少・少子高齢化が急速に進展する中、地域の維持
・活性化に向けて、外国人住民との連携・協働を推進す
る。

ウ.グローバル化への対応

急速に進展するグローバル化に対応し、その恩恵を地域
にもたらすため、外国人住民の知見やノウハウの活用を
図る。

2.留学生の地域における就職促進

ア.留学生の地域における就職促進

増加を続ける留学生においては、卒業後に国内での就職
や起業を希望する者も多い。

留学生について、高度な専門性や日本語能力を身につけ、
日本社会を深く理解する貴重な人材であることを踏まえ
て、

教育機関、企業等と連携し、就職フェアの開催など地域
における就職を促進する。

イ.留学生に対する生活支援等

留学生は、地域のまちづくりに参画する者も増えており、
多文化共生の地域づくりのキーパーソンとなる可能性を
秘めているので、

このような観点も踏まえて、地域の実情に応じて、留学生
に対する生活支援や地域住民との交流の場の提供を行う。
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これを読むと、特に前半は「多言語化」という
言葉が目立ちますね。

実は、7~8年ほど前でしょうか、地方自治体も
外国人住民やインバウンド対応ということで、
多言語化に力を入れた時期がありました。

結果、失敗。

お金と手間がかかり過ぎたのです。

例えば、当時、多言語化に対する認識がさほど
高くなかったようで、

「まあ、英語、中国語、韓国語ぐらい揃えて
おけばいいだろう。」

と高をくくっていたら、実は、上記に加え、
ベトナム人、ネパール人、ミャンマー人、
インドネシア人などなどなど、

さまざまな国や言語出身の外国人がたくさんいる
ことが分かり、

行政サービスの公平性という点から、すべての
言語への対応に迫られ、

また、なかなか翻訳者が見つからないという
人材面での壁もあり、

結果、行き詰まってしまった。

そして、そのタイミングで「やさしい日本語」が
クローズアップされ、

少しずつそちらにシフトしていったわけですね。

そして、2018年政府が打ち出した「総合的対策」
で再び多言語化が謳われ、

「えー!できんの!?」

という反作用があったとか、なかったとか。

いずれにしても、今回のような内容を本気でする
とすれば、

政府が相当な補助金を地方自治体に流さないと
いけないでしょうし、

実際に現場を回す人材の育成にも力を入れて
行かなければならない。

人材育成がからむということは、5年、10年の
長期戦で臨まなければ形にならないということ
です。

そこまでの覚悟があるのかどうか。

今後の政府の動向を注視していきたいと思います。


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