「地域における多文化共生推進プラン」(改訂)を読む(最終回)

シリーズ

「地域における多文化共生推進プラン」(改訂)を読む。

出典先は、こちら。

「地域における多文化共生推進プラン」の改訂
https://bit.ly/3d2vHnx

最終回の今日は、

「4.多文化共生施策の推進体制の整備 」
「5.多文化共生の推進に係る指針・計画の策定」

ここでは、地方公共団体における多文化共生推進の
取り組み方について書かれています。

特に、県や市区町村の国際交流協会や関連の課と
関わっている方にとっては、しっかり押さえておきたい
内容ですね。

では、早速、本文。

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4.多文化共生施策の推進体制の整備

(1)地方公共団体内部での推進体制の整備

多文化共生の推進に係る指針・計画を策定し、多文化
共生施策を計画的かつ総合的に推進するため、

地域の実情に応じて、多文化共生施策の推進を所管
する担当部署等を庁内に設置するとともに、

労政担当部局、各産業分野の人材担当部局、教育担当
部局、人権担当部局等の関係部局と横断的に連絡調
整を行い、連携を図る。

既に担当部署又は担当者を設置している地方公共団体
においては、関係する部署及び機関との間で適切に
役割分担がなされるよう留意する。

多文化共生施策の推進を所管する担当部署又は担当者
を設置していない地方公共団体においては、

地域の実情に応じて、担当部署等を設置し、庁内外で
連携がしやすい環境の整備を図ることを検討する。

担当部署等の設置が難しい場合であっても、プロジェ
クトチーム等により、

部局横断的に多文化共生施策の推進体制を整備する。

(2)地域において多文化共生の推進に寄与する
組織等との連携・協働

1.市区町村

ア.市区町村の役割

市区町村は、地域の実情に応じて、多文化共生の推進
に関する指針・計画を策定した上で、

外国人住民の最も身近な行政機関として、必要な施策
を着実に推進する。

その際、積極的に、他の地方公共団体における多文化
共生の取組に関する先進的な知見やノウハウの活用を
図る。

多文化共生の推進に必要な施策の実施に当たり、他の
地方公共団体における多文化共生の取組に関する先進
的な知見やノウハウを活かすため、

多文化共生アドバイザー、多文化共生マネージャー
及び地域国際化推進アドバイザー等の活用を検討する。

イ.各主体の連携・協働

市区町村の多文化共生推進担当部局は、(国際交流協
会又は地域国際化協会がある場合はその協力を得て、)

NPO等をはじめ、地域の外国人住民に関わる組織等
の把握に努めるとともに、

協議の場を設置するなど、多文化共生施策を推進する
ため幅広く外国人住民に関わる組織等との連携・協働
を図る。

特に、「技能実習」「特定技能」の在留資格の外国人
の受入れ機関等、

近年新たに外国人住民に関わるようになった組織等も
含めて、

幅広く地域における多文化共生施策の推進に必要な
連携・協働体制を構築する必要があることに留意す
る。

2.都道府県

ア.都道府県の役割

都道府県は、地域の実情に応じて、多文化共生の推進
に関する指針・計画を策定した上で、必要な施策を着
実に推進する。

その際、積極的に、他の地方公共団体における多文化
共生の取組に関する先進的な知見やノウハウの活用を
図る。

特に、広域の地方公共団体として、市区町村に対して、
情報提供をはじめ必要な支援を行い、その取組を促進
する。

多文化共生の推進に必要な施策の実施に当たり、他の
地方公共団体における多文化共生の取組に関する先進
的な知見やノウハウを活かすため、

多文化共生アドバイザー、多文化共生マネージャー及
び地域国際化推進アドバイザー等の活用を検討する。

ICTの活用を図る場合は、都道府県内の市区町村と
の間で共同して導入を図ることも検討する。

イ.各主体の連携・協働

都道府県の多文化共生推進担当部局は、地域国際化協
会の協力を得て、

NPO等をはじめ、地域の外国人住民に関わる組織等
の把握に努めるとともに、

協議の場を設置するなど、多文化共生施策を推進する
ため幅広く外国人住民に関わる組織等との連携・協働
を図る。

特に、「技能実習」「特定技能」の在留資格の外国人
の受入れ機関等、近年新たに外国人住民に関わるよう
になった組織等も含めて、

幅広く地域における多文化共生施策の推進に必要な連
携・協働体制を構築する必要があることに留意する。

5.多文化共生の推進に係る指針・計画の策定

今後、全国各地において外国人住民の更なる増加も
見込まれる中、

地方公共団体においては、地域の実情に応じて、多文
化共生の推進に係る指針・計画を策定し、

多文化共生施策を計画的かつ総合的に推進に取り組む
ことが必要である。

その際、ノウハウが不足している地方公共団体におい
ては、先進的事例等を共有する「多文化共生地域会議」
への参加、

先進的な団体の助言やノウハウを提供する「多文化共
生アドバイザー制度」の活用が有効である。

また、「多文化共生マネージャー」や「地域国際化推
進アドバイザー」を活用する方法もある。

既に多文化共生の推進に係る指針・計画を策定してい
る地方公共団体においては、

社会経済情勢の変化に対応するための施策を盛り込む
など必要な見直しや改訂を行うとともに、

指針等に基づく施策を着実に推進するよう適切に進捗
管理を行うことが必要である。
============================

私がこの文章を読んで感じたのは、

「政府は自治体に対してどれくらいのレベルの
施策を期待しているのかが分かりにくい。」

ということです。

本文では、

「地域の実情に応じて、多文化共生の推進に
関する指針・計画を策定」

という言葉が何度か出てきていますが、

いろいろな方の話を聞いて分かったのは、

自治体は、地域の実情に応じて動くというよりは、

地域の実情に対して自治体がどれほどの問題意識を
持っているかによって、動くかどうか、どのレベル
で動くかを判断するということです。

例えば、同じ実情の2つの自治体があったとします。

問題意識の高い自治体は、その実情に対して

「こりゃ大変だ。早いうちに手を打たないと
問題が拡大する。」

と考え、首長の主導のもと、積極的に具体的
施策を打ち立て、どんどん行動に出るでしょう。

ですが、問題意識の低い自治体は、実情を見ても

「これは困ったねぇ。でも、私たちには前例も
ノウハウもないから動きようがないねぇ。
しょうがない、しょうがない。」

となって、何もしないまま実情から目を背けるの
です。

たとえ「多文化共生アドバイザー制度」という
有効な手段があったとしても、

「どうせ仕事が増えるだけだから、やめとこか。」

となる確率がとても大きいんですね。

でも、私は、だからといって公務員を責める
つもりはまったくありません。

もともと公務員というのは、その労務環境上、
自分から進んでイノベーションを起こすような
ことは起こりにくい環境だからです。

イノベーションで成功してもさして待遇がよく
なるわけでもないようですし、
(逆に仕事が増えそう)

むしろ、失敗した時に受けるバッシングのリスク
の方がよほど高いです。

私でも、自分が公務員なら前例のないことを
自分から率先してすることはないだろうと思います。

であれば、政府が上記のような文書を出すのであれば、

「地域の実情に応じてやっていただいていいけれど、
最低限ここまではマストでやってくださいね。

ただし、それにかかる経費については、政府が
しっかりバックアップします。

もちろん、+αの施策についてもしっかり評価
します。」

と明確に打ち出す必要があると、わたしは思います。

でなければ、自治体も動きにくいのではないでしょうか。

ちなみに、多文化共生アドバイザー制度については
こちらで紹介されています。

総務省:多文化共生の推進
https://bit.ly/2GyIYZn

皆様は、どのように感じられましたでしょうか。


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