公認日本語教師がなくなる?(その1-発端)

最近、

「公認日本語教師制度がなくなる
んじゃないか?」

という話で日本語教育界が少し
ざわついているようですので、

この話題について、私なりに
解説したいと思います。

結論から言うと、

「今のところ、まだ何とも言えない。

それよりも、

これから日本語教師としてやって
いきたいのであれば、

本制度が実施されるか否かよりも
もっと真剣に考えなければならない
ことがある。

そこをしっかり考え、行動すれば、
日本語教師としてのあなたの未来は
明るい。心配ない。」

というのが、私の考えです。

と、その前に、そもそも

「公認日本語教師とは何ぞや。」

というところからお話ししましょう。

これは、近年増加する在住外国人に対して
しっかり日本語教育をしないといけない、

そのために優れた日本語教師の育成が
大きな課題だ。

という問題意識から、令和2年3月に
文化庁が取りまとめた報告書

「日本語教師の資格の在り方について(報告)」
https://bit.ly/3kZlF9J

の中で出されたものです。

上記報告書の最初の概念図が分かりやすいと
思いますが(なので、まず概念図を見て
ください。)、

現行の有資格者の条件

1.日本語教育が主専攻ないし副専攻
2.420時間養成コース修了
3.日本語教育能力検定試験合格

から、

1.日本語教育能力を判定する試験に
合格し【要件1】
2.教育実習の履修・修了し【要件2】
3.学士以上の学位がある【要件3】

者を、「公認日本語教師」として資格を
与えるというものです。

(ちなみに、今の検定試験は民間資格)

現行と違って、

1.試験合格を必須とすることで一定の
知的レベルを担保
2.カリキュラム内容が統一された教育
実習を必須とすることで一定の実践
力を担保
3.教育者にふさわしい一定の学歴も担
保した

と、現行の3条件をほぼすべてマストに
したというところに大きな特徴がありま
す。

とはいえ、公認日本語教師になることで、

「日本語教師の社会的地位が上がる!」

と、業界からは概ね好感、期待値も
上がっていたわけですね。

そこへもってきて、

「公認日本語教師がなくなるかも。」

という、まさかの流れ。

まず、事の発端は10月21日に行われた

「日本語教育推進議員連盟 第十三回総会」
の報告
https://bit.ly/3jYWlPQ

の中の報告書

「日本語教師の資格創設及び日本語教育機関
の類型化に関する検討状況」
https://bit.ly/3oWSJlq

の中の、文化庁国語課長柳澤好治氏の
発言。

氏は、具体的に法制化するにあたり、主に
以下の観点から法律としての整理の難しさが
あると指摘しています。

以下、引用。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<法律に基づく国家資格とすることの必要性>

・「日本語教育の質担保や対外的な公証性」を
目的とするならば、

個人や団体等を法律以外の告示などにより国
が認証する制度を創設すること等による担保
も可能であり、

国家資格の創設という手段を取る必要性を法
制的に説明することが難しい。

・日本語教師の要件を強化するのであれば、既
存の法務省告示日本語教育機関の教員要件を
引き上げることで措置ができる。

<定義の明確化>

・日本語教師の業の範囲が曖昧。

日本語教師が教えるプログラムの内容と、教
育責任主体たる日本語教育機関を定義するの
が先であり、

教師という要件だけに着目する理由が乏しい。

・附則第2条の日本語教育機関の範囲と併せて
検討した方が、日本語教師の業の範囲を明確
にしやすい。

(この場合でもなぜ日本語教育機関を法律上
で定める必要性があるのか、整理が別途必
要)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

分かりやすく言うと、

「なにも国家資格などを作らなくても、
現行の運用の範囲で何とかなるんじゃ
ないの。」

「そもそも日本語教師の仕事の範囲が
はっきりしない。教育機関の範囲も
一緒に考えた方がいいんじゃないんの。」

というものです。

このトーンだと、確かに

「公認日本語教師はなくなるのかなぁ。」

という雰囲気になってしまいますよね。

「せっかく日本語教師の社会的地位が
上がると思ってたのに。」

そう思った方もいらっしゃるかもしれま
せん。

実際、去年制定した

「日本語教育の推進に関する法律」
https://bit.ly/34X31d3

の第21条では、次のように述べられています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
二十一条 国は、日本語教育に従事する者の
能力及び資質の向上並びに処遇の改善が図ら
れるよう、

日本語教育に従事する者の養成及び研修体制
の整備、国内における日本語教師(日本語教
育に関する専門的な知識及び技能を必要とす
る業務に従事する者をいう。以下この条にお
いて同じ。)の資格に関する仕組みの整備、

日本語教師の養成に必要な高度かつ専門的な
知識及び技能を有する者の養成その他の必要
な施策を講ずるものとする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こうみると、

「法律でも謳ってるのに、今さら何言っんの?」

と思われるかもしれません。

以上が、これまでの大まかな流れと
事の発端です。

皆さんは、どう感じられましたか。

次回は、文化庁の指摘の裏側について
解説したいと思います。

お楽しみに(^_^)


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