言語の恣意性を逆手に取ったアクティビティ。

言語の恣意性は、日本語教育能力検定試験
にも出てくる重要なキーワードです。

もともと「恣意」とは、「思いつき」
という意味。

つまり、言語の恣意性とは、言葉とそれを
表す対象には、必然的なつながりがない、
単なる思いつきにすぎない、という意味
なんですね。

通信講座「篠研の日本語教育能力検定試験対策」
講義資料「No.005 一般言語学」

では、以下のように解説しています。

====================

恣意性

日本語でワンワンと鳴く動物を「イヌ[inu]」
と発音するのは、言語学的に何か特別な理由
があるわけではなく、

昔からそのように呼んできたからにすぎませ
ん。

実際、日本語以外の言語ではそれぞれ別の呼
び方をしています。

このことから、フェルディナン・ド・ソシュ
ール(Ferdinand deSaussure)は、言語が指
し示すもの(所記、シニフィエ、記号内容)と

それを示す言語記号(能記、シニフィアン、
記号表現)の間には必然的な結びつきはない
ことを見出しました。

これを言語の恣意性と呼びます。

=====================

ということは、

言葉を身につけるということは、
何の結びつきのない言語対象と、
それを表す言語記号を、

ひたすら結びつける作業と言っても
過言ではないのです。

これは結構大変ですよね。

しかも、日本語の語彙は、他の言語に
比べて一語当たりの意味範囲が狭い。

そのため、英語やフランス語であれば
8,000語ぐらい覚えれば新聞が読めるのに、

日本語だと10,000語覚えないと読むのに
支障が出る、

ということが起こるのです。

この言語の恣意性こそが、ある意味、
言語学習を大変なものにしている張本人
ということもできるわけですね。

とはいえ、愚痴ばかり言っても
悔しいだけ。

逆に、この恣意性を逆手に取った面白い
アクティビティはできないか。

言語対象とそれを表す言語記号に必然
的なつながりがないわけですから、

いっそ両者を勝手につないで楽しむ
言語活動ができれば、いいわけです。

思いつきました!(笑)

題して、

「勝手にオノマトペ」

オノマトペとは、自然界の物事を音で
象徴的に表した言葉のことを言い、

擬音語(例「ワンワン(鳴く)」)
擬態語(例「ごろごろ(する)」)
擬情語(例「めそめそ(する)」

などがあります。

オノマトペというと、授業でよく

「各国の動物の鳴き声」比較

などがあり、それはそれで盛り上がる
のですが、

正直、1回やったら終わりかなぁ
という感じです。

なので、次の一手と。

で、「勝手にオノマトペ」とは、

日常的によくある事柄を取り上げ、

それを表す日本語にありそうでない
オノマトペを勝手に作っちゃおう!

というもの。

では、早速。

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【問題】

「目覚まし時計が鳴ったので、一度は
目を覚ましたんだけど、あと10分は
大丈夫と思って再度寝入る状態。」

を表すオノマトペ「●●●●する」とは?

===================

さて、あなたならどんな言葉を
作りますか。

私なら、「むやむやする」かなぁ(笑)

授業では、学習者の日本語力に合わせて
問題文を作ってみてください。

もちろんですが、この問題には正解は
ありません。

学習者にいろいろ出してもらい、最後に
一番いいのを選ぶというのでもいいですね。

オノマトペを作った古の日本人を
追体験することで、

日本語のオノマトペに対する親近感
が湧き、

楽しく恣意性の壁を乗り越えられる
のではないかと思います。


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