日本語の会話の教え方-ロールプレイのやり方(2)

前回から始まった
「ロールプレイのやり方」シリーズ。

2回目の今回は、

「レベル別授業の進め方」

です。

実は、ロールプレイは大きく初級と
中級以上で、授業の進め方が大きく
異なります。

(もちろん、授業の目的等によって
変わってきますが。)

初級では、学習者もまだ日本語力が限定
的なので、

1.新出語彙の導入

2.新出文型の導入

3.一文レベルの文型練習

4.談話レベルの文型練習

5.コミュニカティブ活動としての
ロールプレイ

という流れで行うのが一般的です。

語彙や文型といった談話を構成する
パーツをまずインプットしてから、

最終的にロールプレイに持っていく
形ですので、

積み上げ式(=ボトムアップ式)の
授業と言えます。

また、ロールプレイといっても内容的
には4の文型練習とかなり近いですし、

1~4を踏まえてのロールプレイです
ので、会話の自由度はさほど高くは
ありません。

ですが、初級の場合、むしろその方が
学習者にとってもやりやすかったりし
ます。

ですので、ロールプレイの内容も、
1~4を十分反映したものにする
必要があります。

一方、中級以上では、初級のような
流れでやると、うまくいかないことが
あります。

なぜなら、中級以上では学習者もそこ
そこ日本語ができる(と本人たちは
思って)いるし、

実際、そこそこ伝えたいことは伝え
られるので、

初級のような積み上げ式の授業をする
と、

(スクールウォーズの高校生風に言えば)
「先生、かったるいぜ!」
「先生、刺激がたんねーぜ!」

みたいになってしまうわけですね。
(我ながら、なぜスクールウォーズ?)

では、どうするか。

いきなりロールプレイをさせます!

そこそこできると思っている彼らの
プライドを逆手にとって、

「もう皆さんは、日本語の会話は大丈夫
でしょう。

じゃ、これやってみて。」

と、いきなりさせるんですね。

これを、「タスク先行型ロールプレイ」
といいます。

いきなりさせるので、ハラハラドキドキ感
満載ですし、

会話の自由度も高いので、自分で談話の流
れを考えながら進めないといけない。

刺激的な反面、結構ハードルが高いわけで
す。

なので、出るわ出るわ、変な日本語(笑)

で、教師は学習者のロールプレイを背後で
聞きながら、彼らの誤用や気になった点を
1つ1つメモしていく。

そして、一通り活動が終わったところで
学習者に振り返りをさせつつ、

彼らの誤用や気になった点をクリニックして
いくのです。

できれば、ビデオにとっておいてクラスで
ビデオを見ながらやると、なお効果的です。

大まかな授業の流れは、以下のようになり
ます。

1.いきなりロールプレイ

2.振り返り

3.新出語彙・文型・表現の導入

4.文型練習

5.改めてロールプレイ
初級とは全く逆で、いきなりタスクを
させてから、

彼らのタスク遂行の程度に応じて、
必要な語彙や文型、表現を導入する

いわば逆算式(=トップダウン)の
授業といえます。

従って、中級以上のタスク先行型ロール
プレイでは、

学習者の誤用が授業の流れや指導内容を
決めるので、

1.授業準備が少ない代わりに、授業は
出たとこ勝負。
(事前にある程度、指導内容のあて
をつけておくことはあります。)

2.教師には、その場その場の臨機応変
な対応が求められる。

ことになります。

しかも、シラバスはコース修了時に確定。

この点も初級とは大きく異なる点です。

また、学習者にとっては、今の自分に必
要な日本語から優先的に教わることになる
ので、満足度は高いです。

初級と中級以上の授業の進め方の違い。

ぜひ頭に入れておいてくださいね。


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