「学習者が頭でっかちなのは、教師がそうだからァ」 -チコちゃんに笑わられる

一時、日本語教育界で学習者の「知識偏重」
が問題視されたことがあります。

特に、初級段階での導入文型が多すぎると。

その結果、授業でも文型導入に時間の大半
が割かれ、コミュニカティブ活動に充分な
時間が割けず、

結果、文法知識は豊富でペーパーテストには
強いが、

話す・書くといった産出能力が低い、いわ
ゆる

「頭でっかち学習者」

ができてしまうと。

このことは、中上級レベルでも同様で、

「日本語能力試験N1に合格しているのに、
 話させると何言っているのかわからない。」

という声は、昔からいたるところで聞きます。

そういうこともあって、今で行動中心
アプローチとか、Can-Doといった

「その言葉を使って何ができるの?」

という教授スタンスに至っているわけ
なんですね。

ですが、では今、そうした知識偏重が解消
されたかというと、必ずしもそうではない。

もちろん、現状、学習者の日本語力を測定
するには、

日本語能力試験や進学先の入学試験、
就労者向け日本語試験など、

ペーパーテストが幅を利かせているので
それに対応した教育を提供しなければ
いけないわけですが、

それだけが「頭でっかち学習者」を生んで
しまっている原因かというと、必ずしも
そうではないように思います。

思うに、学習者の知識偏重を招いている
原因の1つに、

教師自身も知識偏重の思考の呪縛にとり
つかれていることもあるのではないか。

そう思うのです。

というのも、冒頭でご紹介した
大躍進説明会にご参加いただいた方の

「勉強のためにセミナーにも参加しているが、
 消化不良を感じている。」

と感じている方が、思いのほか多いと
感じるからです。

いや、この方の場合は、まだ消化不良を
感じているだけ素晴らしくて、

多くの方は、セミナーや勉強会に参加し
ても、

「いい話を聞いたなぁ。」
「おもしろいことを知れたなぁ。」

で終わって、自身の日々の授業にどう
活かすかに繋がっていない。

大事なのは、その知識をどう自身の仕事
でアウトプットするかなのに。

経済学者ドラッカーの言葉に、

「仕事を生産的なものにするには、
 成果すなわち仕事のアウトプットを中心に
 考えなければならない。
 技能、情報、知識は道具に過ぎない。」

というのがありますが、まさにその通り
なんですね。

「子供は親の鏡。
 学習者は教師の鏡。」

と言われますが、

学習者が知識偏重なのは、取りも直さず
教師自身が、

「知識を蓄えれば何とかなる。」

といったビリーフに無意識的に囚われ
ているからなのかもしれません。

(まさにパウロ・フレイレの言う
 銀行型教育。)

では、どうしたらいいのか。

もちろん、セミナーに参加しても意味が
ないなどと言うつもりはありません。

むしろ、勉強会やセミナーに積極的に
参加すべきです。

ただ、大事なことはその取り組み方。

常に

「学んだことをどう自分の授業に
 取り入れるか。」

そして、それが教師の学習発表会、
知識自慢大会にならないよう、

「学習者の産出能力をどう引き上げるか。
 日本語を通じて何ができるようになるか。」

を意識した授業をすることだろうと思います。

昨今ご紹介してる

日本語能力試験N4対策指導法セミナー
-科目別指導のポイント-
         (2月12日・19日開催)
https://www.kanjifumi.jp/n4_seminar/

日本語能力試験N3対策指導法セミナー
-科目別指導のポイント-
         (2月12日・19日開催)
https://www.kanjifumi.jp/n3_seminar/

も、単なる詰込み授業ではない、
学習者の言語分析力や思考力や、

日本語によるアウトプットを引き上げる
ための対策指導法をご提供しています。

試験対策でさえ、そうした指導が可能
なんですね。

もちろん、明日の授業で即実践できます。

普段のご自身のセミナーや勉強会での
取組を振り返ってみてください。

もし、

「いい話を聞いたなぁ。」
「おもしろいことを知れたなぁ。」

で終わることが多いとしたら、

もしかしたら、それ自身が

「頭でっかち学習者」

を生んでいる原因かもしれません。

「学習者が頭でっかちなのは、
 教師がそうだからァ」
 
とチコちゃんに笑わられないように。

自戒も込めて。


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