2誌合同。「日本語教育有識者会議」を読む(5)
引きつづき、
「日本語教育の質の維持向上の仕組みに
ついて(報告)(素案) 」
https://bit.ly/3hxTout
を2誌合同で解説。
2誌連番で解説いたしますので、片方しか
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下記サイトをご参照ください。
日々成長する教師
https://www.kanjifumi.jp/seicho/
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また、かなり膨大な資料ですので、かいつま
んだ解説となることを予めお伝えしておきま
す。
詳しくは、上記資料をご参照ください。
第5回は、
「2.日本語教育機関の認定制度に関すること」
についてです。
「これって日本語教育機関の認定だから、
私たち日本語教師は関係ないんじゃないの?」
と思われるかもしれませんが、
実際に読んでみると、結構関係があることに
気づかされます。
具体的には、従来の留学生対象の教育機関
だけでなく、
就労者や生活者対象の教育機関にも、一定
の条件を満たせば認定の対象になる点。
つまり、日本語学校のバリエーションが増える
かもしれないということなのです。
以下、独断と偏見で大事だと思ったところ
をピックアップします。
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(1)認定の基準等
1.基本的な考え方
(中略)
○これに対応するため、認定を受けた日本語
教育機関の認定は、「留学」(※)「就労」
「生活」の類型を設け、習得レベルとしては、
自立した言語使用者となるまでの多様な目的
を持った日本語教育に対応できるものとする。
その上で、日本語教育機関の認定においては、
教育課程における習得レベルについて「日本
語教育の参照枠」との関係性を踏まえつつ、
機関が備える人的・物的な体制の評価と、教
育の内容に関する評価の両視点から確認する。
(中略)
○その際、日本語教育の特性を踏まえつつ、教
育機関として評価する基本的事項については、
現行の専門学校制度、各種学校制度、法務省
告示校制度での日本語教育機関の運用実績を
踏まえ、「留学」類型の機関については、現
行の法務省告示基準などを参考に、課題の改
善を含め、教育の質の維持向上を目指した基
準とすることを基本とする。
○なお、認定基準を満たせば設置者の種別や機
関の施設種別は問わずに認定を受けられる制
度とする。例えば、留学生を対象に専ら日本
語教育を実施する大学の留学生別科や、地方
公共団体が生活者を対象とした場合や事業者
や就労者を対象とした日本語教育課程を置く
団体などについても必要な一定の要件を備え
る場合は認定対象となることとする。
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これを読む限り、留学生を対象とした日本語
教育機関は、概ね従来のやり方を踏襲するも
のと思われます。
ただし、教育のあり方については、
「日本語教育の参照枠」
を評価基準に据えて評価すると。
つまり、最近流行の行動中心主義な教育に
徐々に舵を切っていく、
言い換えれば、これまでの文法積み上げ式の
授業(特に初級)では対応できないというこ
とです。
そうなると、私たち教師の考え方も、そして、
使用教材もガラッと変えなければならないと
いうことになります。
また、就労者や生活者への日本語教育ですが、
企業が人材確保のために日本語学校を設立
したり、
自治体が独自に日本語学校を設立したりと、
実はすでにこの兆候は出ています。
これらのことから考えると、私たち日本語
教師も、
多様な学習者に、多様な指導法で柔軟かつ
臨機応変に対応できるようにしておくこと
が、
息長く活動するために、ますます重要になっ
てきていると言えるでしょう。
そのためにも、常に学び続けるということ
が、何にもまして大切なのです。