試験対策にも読解指導にも役に立つガーデンパス・モデルとは?
日本語教員試験の出題範囲である
「言語と心理」。
いろいろ調べてみると、とても
好奇心をそそられる興味深い分野です。
本当に、上っ面な試験勉強だけで終わ
らせるのはもったいない。
そこで、今回は「言語と心理」の中の
講義資料「No.079 談話理解」から、
これもまたとても興味深い認知現象(?)
である
【ガーデンパス・モデル】
をご紹介します。
「確かにそういうこと、あるなぁ。」
そう思われる方も、いらっしゃるのでは
ないでしょうか。
以下。
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ガーデンパス・モデル
ガーデンパス・モデルとは、人間が文を
理解する際、
まず最も単純で経済的な構文解析を行い、
文の途中でその解釈が破綻した場合に
初めて再解析を行うという言語処理
モデルを言います。
(10)山田君が田中君に話しかけた先生に
目を向けた。
この文を読むと、最初「山田君が田中君に
話しかけた」と解釈しがちです。
ですが、そのあとの文で「話しかけた」
のは「先生」であることがわかります。
(10)のように最終的には1つの意味に
解釈されるものの、
その文の途中までは複数の解釈(あるいは
構造)が可能な文を一時的構造曖昧文と
言います。
また、このような曖昧文によって一時的に
誤った解釈に誘導され、
再解釈のための労力が増加することをガー
デンパス現象(ガーデンパス効果とも。
garden-path effect。「袋小路」という意
味)と言います。
例えば、中級以上の読解授業で文章内に
一時的構造曖昧文が含まれていると、
学習者は誤った解釈に誘導されて文章の
意味が理解できなくなるということが
ありますので、
指導の際には注意が必要です。