応用試験を突破するには?(その6)

前回、

日本語教員試験の出題範囲の
ポイントについて、

まだ巷ではあまり語られていない
重要なキーワードとして、

【ユニバーサルデザイン】

をご紹介させていただきました。

【ユニバーサルデザイン】

とは、

ロナルド・メイス(Ronald Mace)
が提唱したもので、

年齢、性別、身体的状況、国籍、
言語、知識、経験等の違いに関係
なく、

すべての人が使いこなすことの
できる製品、建物、環境、サー
ビス等のデザインを目指す考え方
やその実践を言います。

なぜ、このキーワードが重要なのか。

その根拠となるのが、

(1)経過措置対象の講習IIの内容

(2)昨今の日本のホワイト社会化

(3)日本の障害者政策の変化

です。

順を追って説明しますね。

まず、(1)について。

講習IIというのは、今回の日本語
教員試験への移行によって、

これまでの日本語教育能力検定試験
の出題範囲に新たに盛り込まれた
内容を扱ったものです。

それだけに、日本語教員試験で出題
される可能性が高いわけですね。

その中で、佐藤郡衛先生による

「異文化コミュニケーション総論」

という講義がありました。

この講義では、異文化コミュニケー
ションを阻害する要因について
かなり詳しく解説されていました。

具体的には、

1. 自文化中心主義
2. ステレオタイプ
3. バイアス
4. 偏見

です。

1,2については、これまでの
日本語教育能力検定試験でも
出題されてきた内容です。

3については、バイアスの種類と
して、さらに詳しく

• 内集団バイアス
• 知識の呪縛
• 原因帰属のバイアス
• 確証バイアス
• ネガティブバイアス

について解説され、さらに
4においては、

「マイクロアグレッション」

が紹介されていました。

「マイクロアグレッション」とは、

「ありふれた日常の中にある、ちょっ
 とした言葉や行動や状況であり、

 意図の有無に関わらず、特定の人や
 集団を標的とし、

 人種、ジェンダー、性的指向、宗教
 を軽視したり、侮辱したりするよう
 な、敵意ある否定的な表現」

 −ウィン・スー(2020)『日常生活に
  埋め込まれたマイクロアグレッ
  ション』明石書店p.34

を言います。

例えば、

「外国人なのに、日本語が上手だね。」

という言葉。

一見、誉め言葉ですので、本人も悪気が
あって言うわけでもないでしょう。

ですが、こうした発言が出る背後には、

「外国人は、日本語が下手なものだ。」

という偏見があるんですね。

だから、誉め言葉でありながら、言わ
れた方は、微妙に傷つくのです。

言った本人としては、褒めているつもり
で、罪の意識がない場合が多い。

言われた方も、それがわかっているから
取り立てて反論しない。

だから、状況は何も変わらず、

言われた方は、ずっと言われ続け、
傷つけられ続けるんですね。
(本当に厄介です。)

マイクロアグレッションという考え方
は、比較的最近出てきたものと思われ
ますが、

こうした考え方が出てきた背景には、
社会全体での人権意識の高まりがある
からだと思われます。

年齢、性別、身体的状況、国籍、
言語、知識、経験等の違いに関係
なく、

すべての人の人権や人としての尊厳を
最大限尊重する。

まさにユニバーサルデザインに共通
する価値観なんですね。

ましてや、最近はSNS等による誹謗中傷
やヘイトスピーチなどといった、

人権や人としての尊厳を脅かすような
社会的問題も起こっています。

日本語教育という環境は、様々な国の
学習者が集う場所。

そして、様々な言語を持つと同時に、
日本語力が不十分、

つまり日本語によるコミュニケー
ションにハンディのある学習者が集う
場所でもあります。

そうすると、どうしても偏見が生じや
すい環境になりますし、

日本人だけのコミュニティに比べれば
ユニバーサルデザインをより強く意識
しなければならない環境でもあるわけ
なんですね。

その最前線にいる日本語教師は、

だからこそ、人権意識やユニバーサル
デザインの考え方をしっかり持つ必要
があるというわけです。

こういう流れから考えると、

当然日本語教員試験にも出題される
可能性が極めて高い。

またまた長くなりそうなので、
続きは次回に。


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