応用試験を突破するには?(その10)

前回、応用試験を突破するためには、

「必須の教育内容50項目すべてを、
 教育現場と連動させながら学んで
 いるか。」

ということ。

その一例として「言語教育観の柱」
の中の、

「多様な日本語使用を尊重する」

「知識やスキルのシェアリング」

に繋がること。

さらに、それが、必須の教育内容の
「社会・文化・地域」における

<1>世界と日本の社会と文化

に繋がっていく、ということを
お話ししました。

どういうことかというと、

「知識やスキルのシェアリング」

という価値観は、今のZ世代が持つ
中心的な価値観だからです。

Z世代とは、

「1990年代半ばから2010年代序盤に生ま
 れた世代のこと。

 Z世代は生まれた時からインターネット
 が身近にある、デジタルネイティブ世
 代。

 それまでの世代が「均質性」や「効率・
 生産性」といった組織中心の価値観を
 重視してきたのに対し、

 Z世代は「個性・多様性」「目的・意味」
 「助け合い・学び合い」などを大切に
 する傾向がある。」

    −リクルートホームページより

私のような団塊ジュニアや私の親のような
団塊世代は、

三種の神器(冷蔵庫・洗濯機・掃除機)や
3C(カラーテレビ、クーラー・自動車)
など、

モノを占有することで豊かさを感じた世代
でした。

そして、これらを買うために24時間モウレツ
に働いてきたわけです。

ですが、Z世代は違います。

自分は車を買いません。

その代わり、車を持っている友達を1人か
2人作る。

そして、車に乗りたければ、その友達の車
で、その友達と一緒に遊びに行く。

そうすれば、車を買うためにあくせく働く
必要もないし、

維持経費もかからないし、

友達と一緒だから楽しいわけです。

彼らからすれば、私たちの世代の行動は、

「どうしてモノを持とうとするの?

 そんなんじゃ、いくらお金があっても
 足りないじゃん。

 どんなに働いても追いつかないじゃん。

 それより、それぞれが持っているリソース
 をみんなで分け合えば、コストもかから
 ないし、環境にもやさしいでしょ。」

そう映るのです。

そうした彼らにとって重要なのは、
お金やモノではなく、

「人とのつながり」

です。

繋がっている人が多ければ多いほど、
何かの時に助けてもらいやすいし、
寂しくなくて楽しい。

定年退職と同時に、一切の人脈や肩書、
収入源を一気に失うどこかのお父さん
よりよほど魅力的なのです。

そうした彼らにとっての命綱。
それがまさにSNSなんですね。

だから、例えば授業中にSNSから離れ
ようとしない学習者が時々いて、

もちろん私もそういう学習者には注意
をしますが、

彼らにとっては、命綱を維持するため
の最優先事項。

人とのつながりを失ってしまえば、
金なし、モノなし、孤立無援の単なる
貧乏人になって落ちてしまうのです。

それはまさに、すべての足をもぎ取ら
れたアリのようなもの。

授業中に注意するとしても、

そこを理解しているか否かで、彼ら
との信頼関係がまったく変わって
くるんですね。

そして、このことは必須の教育内容50
項目で言うところの

コミュニケーション能力

に繋がっていきます。

彼らは、SNS上で様々な価値観の人と
触れ合いながら、独自の

<46>受容・理解能力
<47>言語運用能力
<48>社会文化能力
<49>対人関係能力

を身につけています。

SNS上では、本当に様々な人が自由に
意見を言い合っていますから、一定の
受容・理解能力を持たなればなりません。

また、彼らにとって最重要の言語運用
能力は、

魅力的な表現を駆使することではなく、

メッセージが来た時に、瞬時に反応する
ことです。

さらに、私たちは言語運用能力というと
話し言葉を連想するかと思いますが、

彼らにとっては、むしろSNS上の書き言葉
の方が主要な言語運用能力。

だから、逆に対面でのコミュニケーション
は苦手だったりします。

また、SNS上では、その場特有の社会常識
というのがありますから、

SNS上の社会文化能力というものを身に
つけている。

対人関係能力については、言わずもがな
ですね。

そして、これは日本人の若者に限った
ことではなく、

全世界的に見られ、かつ国を超えた
コミュニケーションがなされている
わけですから、彼ら特有の

<50>異文化調整能力

も育まれていくわけです。

このように考えてみると、

コミュニケーション能力

というのを、私たちが理想とする能力像
で彼らの能力をとらえ、評価しようとし
ても、

どこかでずれが生じてしまうということ
がわかります。

彼らは彼らなりの、求められるコミュニ
ケーション能力というものがあるのです。

そこを理解しないと、なぜ彼らが授業中に
スマホをいじるのか、

なぜ今の若者がすぐに転職、離職しようと
するのかを理解することができません。

特に私たち日本語教師の場合、20台前後
の若者に指導することが多いので、

この部分の理解が非常に重要なんですね。

そして、こうした社会現象が起こる背景
には何があるかというと、

【Society5.0】

であり、

【超スマート社会】

そして何より

【生成AIの台頭】

なわけです。

つまり、必須の教育内容50項目における

<35>日本語教育とICT

に繋がるわけですね。

続きは次回に。


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