応用試験を突破するには?(その11)
今まで、「日本語教育の参照枠」の
「言語教育観の柱」の中の、
「多様な日本語使用を尊重する」
をはじめに
「知識やスキルのシェアリング」
に思考を昇華させ、「必須の教育内容」
50項目を見てきました。
こうして、様々な知識を縦横無尽に
繋げて考えるというのは、実に楽しい
ものです。
ちなみに、別府大学の建学の精神は
「真理はわれらを自由にする」
https://www.beppu-u.ac.jp/
ですが、
学びを深めれば深めるほど、どんどん
思考が自由に、開放的になっていく
のを感じます。
さて、前回からの続きです。
なぜ、
「知識やスキルのシェアリング」
が、
【Society5.0】【超スマート社会】
そして
【生成AIの台頭】
つまり、必須の教育内容50項目における
<35>日本語教育とICT
に繋がるのか。
それは、生成AIはまさに知識をシェア
リングする仕組みだからです。
生成AIというのは、使い方にもより
ますが、
私たちの要求に対し、基本的にはイン
ターネット上の情報をかき集めて、
適当に編集して、かつ情報の不十分な
部分を適当に穴埋めして提供してくれる
代物です。
まさにシェアリングなんですね。
これは、言い換えれば、これから生成AI
が人間に代わって知的活動を代行して
くれるということ。
これは産業革命以来の革命的な出来事
です。
それを理解するためには、
【Society5.0】【超スマート社会】
に至るまでの人類の歴史の流れを
理解する必要があります。
Society5.0とは、
「狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会
(Society 2.0)、工業社会(Society
3.0)、情報社会(Society 4.0)に
続く新たな社会として、政府が2016年
に策定した第5期科学技術基本計画の
中で打ち出した、日本の未来の姿を示
す第5の社会のこと」
−篠研の通信講座講義資料
「No.073 メディア/情報技術活用能力
(リテラシー)より
私たちは農耕社会(Society 2.0)によって
安定的に食料を手にすることができました。
ですが、依然労働の基本は肉体労働。
体力のある人間が重宝されたのです。
それが、工業社会(Society3.0)によって
様々な機械や道具が開発され、肉体労働
から解放されました。
遠くに行くなら新幹線や飛行機を利用す
ればいいし(つまり歩かなくていい)、
重いものはトラックで運べばいい
(自分で運ばなくていい)。
丸太を切るなら、チェーンソーを使えば
腕力がない人でも簡単にできます。
これにより、体力は人間の価値としては
あまり重要ではなくなりました。
かわって人間の価値を決める重要な要素
となったのが知力です。
つまり、頭の良さ。
道具の使い方がわかる、その背後の原理
がわかる。
新たな道具を発明できる。
さらに、複雑化した社会を正しく読み取り
正しく行動できる。
そういう頭の良さが人間の価値を決める
要素になりました。
だから、産業革命を契機にイギリスで
義務教育が生まれて以来、
私たちは、ずっと長い間勉強を強いられ、
入試や就職試験、資格試験など、知力や
学力でもって人生の節目節目に振り分け
られてきたわけです。
そんな時代が何百年も続きました。
それが、今回のSociety5.0の到来、
知的活動を生成AIが代行する社会の
到来により、
今後、知力や学力が人間の価値としては
さほど重要ではなくなっていきます。
生成AIの普及によって、知力や学力の個人
差が極端に小さくなってしまうからです。
かつては、何十人の腕っぷしの強い男たち
が運んでいた石や岩を、
今はトラックを使うことによって腕力が
ない人一人で運べるのと同じです。
いや、学力の定義が変わるといっても
いいかもしれません。
学力があるというのは、たくさんの物事
を知っている、ということではなく、
生成AIをうまく使いこなせるかどうかが
判断基準になる。
いずれにしても、人類の長い歴史の中で
人間の価値は、もはや体力でも知力でも
ない、新たな
【第3の力】
が台頭してくるのです。
続きは次回に。