外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策 (令和7年度改訂)を読む(その12)

引き続き、

「外国人材の受入れ・共生のための総合的
 対応策 (令和7年度改訂)」
 (以下、「対応策7」)
 https://www.moj.go.jp/isa/content/001440747.pdf

を読み込んでいきます。

前回に引き続き、今後は、私たち日本語教師に関わり
の深い内容を選んでご紹介します。

今回は、「II 施策」の中の

「3 ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援

 (2)具体的施策」

です。

ここでも、

ア 「乳幼児期」、「学齢期」及び「青壮年期」
  初期

イ 「青壮年期」

ウ 「高齢期」

のそれぞれについて施策が述べられていますが、
これだけでも結構なボリュームなので、
今回は、

ア 「乳幼児期」、「学齢期」及び「青壮年期」
  初期

について紹介します。

しっかり読み込んでいきましょう。

以下。

======================

(2)具体的施策

ア 「乳幼児期」、「学齢期」を中心とした外国人
に対する支援等

(中略)

○外国籍等の子どもの日本語学習機会の提供を
 促進するため、

 幼児教育・保育の無償化について、引き続き、
 広報、周知する取組を推進する。

 また、高校及び大学の修学支援制度についても、
 引き続き、広報、周知する取組を推進する。
 〔こども家庭庁、法務省、文部科学省〕《施策
 番号55》

○外国人児童生徒の就学機会が適切に確保される
 よう、

 多言語化にも対応した、地方公共団体における
 就学案内の徹底や就学ガイドブックの作成・配
 布等による就学促進のための取組の促進を図る
 とともに、必要に応じ、内容の更新を行う。

 また、地方公共団体が講ずべき事項に関し、令
 和2年(2020 年)7月に文部科学省が定めた
 
 「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握
  等に関する指針」

 を踏まえ、住民基本台帳等に基づく学齢簿の編
 製の際に、

 外国人の子どもの就学状況についても一体的に
 管理・把握することをはじめ、

 就学状況も含めた外国人児童生徒の就学実態の
 把握、学校への円滑な受入れ等を推進する。

 さらに、「外国人の子供の就学状況等調査」を
 継続して実施し、

 地方公共団体における取組の有無、就学状況に
 係る課題の整理、先進的な取組事例の収集・普
 及を行うことで、

 地方公共団体の関係部局や関係機関による一体
 的な取組を促進するとともに、国内の各国大使
 館・総領事館にも情報提供を行う。

 学齢簿の編製に関しては、デジタル・ガバメン
 ト実行計画に基づき、

 文部科学省において学齢簿システムの標準仕様
 書3.0版を令和6年(2024年)3月に作成したとこ
 ろ、

 当該仕様書に外国人の子どもの就学に関する事
 項を盛り込んでいる。

 令和7年度(2025 年度)末までに地方公共団体に
 おける住民基本台帳システムとの連携を行うこ
 とで外国人の子どもの就学状況の一体的管理・
 把握を図る。

 また、就学案内や初期の適応指導に活用できる
 多言語・やさしい日本語の動画コンテンツ及び
 外国人幼児のための就園ガイドを周知するとと
 もに、

 多言語による就学案内文書・動画コンテンツ等
 を掲載した情報検索サイト「かすたねっと」の
 機能強化・活用促進を図る等、就学促進の取組
 を支援する。

 加えて、地域の実情に応じて、外国人学校、
 NPO等の多様な主体が外国人の子どもの学び
 の受け皿となっていることを踏まえ、

 これらが地方公共団体と連携し、就学状況の円
 滑な把握や就学促進につながるよう支援を充実
 する。

 さらに、文部科学省と出入国在留管理庁が連携
 し、

 地方公共団体が開設している一元的相談窓口等
 において就学に関する情報提供を行うほか、

 在留資格審査に当たって子どもの就学状況の確
 認に努めるなど、

 外国人保護者に対し子どもの就学を促す取組を
 推進する。
 〔文部科学省、法務省〕《施策番号56》【ロー
 ドマップ35、36、37、38、39、40、41、42、45】

○公立学校において、平成29年度(2017年度)よ
 り 施行された改正義務標準法(公立義務教育
 諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関す
 る法律)の規定に基づき、

 令和8年度(2026年度)には日本語指導が必要
 な児童生徒18人に対して1人の教員が基礎定数
 として措置されるよう、

 教員定数の改善を着実に実施する。

 また、各地域における関連部署・団体等による
 支援の状況等も踏まえつつ、

 日本語指導補助者や母語支援員の活用等の指導
 体制の構築や、

 きめ細かな指導を行うための多言語翻訳システ
 ムや遠隔教育といったICTを活用した支援等、

 各地方公共団体が行う外国人児童生徒等への支
 援体制の整備に対する支援を拡充する。

 その際、母語・母文化の重要性に配慮するとと
 もに、

 各地方公共団体におけるNPOや企業・大学等
 を含む幅広い主体との連携も促進する。

 また、

 「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に
  関する調査」

 を隔年で実施し、受入状況に係る実態や課題の
 整理、

 先進的な取組事例の収集・普及を図るとともに、

 日本語指導等の教材や多言語化された学校文書
 ・動画資料等の普及を図るため、

 文部科学省が運営する情報検索サイト「かすた
 ねっと」の機能強化に取り組む。

 さらに、外国人児童生徒等の学びにも資すると
 考えられる、音声読上げやルビ振り等の機能を
 持つ学習者用デジタル教科書について、

 必要とする外国人児童生徒が活用しやすくする
 ための取組を引き続き検討する。

 加えて、集住地域・散在地域それぞれにおける
 指導の在り方についての実践的な研究の成果を
 踏まえ、

 日本人児童生徒と外国人児童生徒が互いを尊重
 しながら共に学ぶ授業の実施や散在地域での指
 導体制構築などのモデル的な取組を全国に普及
 し、

 散在地域における児童生徒の実態把握のネット
 ワーク構築に向けた調査研究を引き続き実施す
 る。

 また、外国人幼児等に対する指導上の留意事項
 等を整理した資料を用いて周知を図る。

 さらに、令和3年(2021年)1月の中央教育審議
 会答申

 「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」

 において、増加する外国人児童生徒等への教育
 の在り方について提言が行われていることを受
 け、上記の各施策の充実を図る。
 〔文部科学省、法務省〕《施策番号57》【ロー
 ドマップ43、44、48、73】

(中略)

○教育委員会・大学等が実施すべき研修内容等を
 まとめた「モデル・プログラム」の普及を通じ
 て、

 日本語初期指導、中期・後期指導、JSLカリ
 キュラムによる日本語と教科の統合指導、

 外国人児童生徒のための日本語能力測定方法に
 よる評価結果の活用等の系統的な日本語指導を
 実践するための研修体制を整備し、

 日本語指導を担う中核的教師の養成等を推進す
 る。

 また、外国人児童生徒等の指導を担当する教師
 が効率的に必要な知識や技能を得られるよう作
 成した「研修用動画コンテンツ」を文部科学省
 が運営する情報検索サイト「かすたねっと」等
 において配信するとともに広く周知し、

 その活用を促すことにより、外国人児童生徒等
 教育を担う教員等の資質能力の向上を図る。

 さらに、各地方公共団体における教員等の研修
 の促進に資するよう、

 独立行政法人教職員支援機構における

 「外国人児童生徒等に対する日本語指導指導者
  養成研修」

 による研修指導者の養成、

 同機構が提供する校内研修向けの講義動画の周
 知等を行う。

 また、文部科学省が派遣する

 「外国人児童生徒等教育アドバイザー」

 を増員し、各地方公共団体が実施する研修の充
 実を図る。

 さらに、幼稚園等における外国人幼児等の受入
 れに関して、

 令和4年度(2022年度)に調査研究を通して開発
 された研修プログラムの活用について、引き続き
 全国への周知を実施する。

 あわせて、外国人児童生徒等に対して指導を行う
 教員や日本語指導補助者の確保・資質向上につい
 て、

 多様な人材の確保や全国的な研修機会の提供と
 いう観点も踏まえつつ、有効な方策について検討
 を行う。
 〔文部科学省〕《施策番号60》【ロードマップ14、
 48】

○言語、母国の教育制度や文化的背景や家庭環境に
 留意し、

 適切に障害のある外国人の子どもの就学先の決定
 が行われるよう、

 地方公共団体への周知を行うとともに、就学先の
 相談に当たって母語支援員や多言語化に対応した
 翻訳システムの活用を推進する。

 特別支援学校等においても、日本語指導補助者や
 母語支援員等の配置に努めるほか、

 特別支援教育、日本語指導の担当教師が、それぞ
 れ日本語指導、

 特別支援教育についても学ぶことのできる研修の
 機会等の充実を図る。

 あわせて、

 「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関
  する調査」

 により、特別支援学級における日本語指導が必要
 な児童生徒の在籍状況を把握するとともに、

 外国につながりのある子どもの特別支援教育に関
 する研究を行う。 〔文部科学省〕《施策番号61》

======================

▼「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握
  等に関する指針」

▼「外国人の子供の就学状況等調査」

▼改正義務標準法(公立義務教育諸学校の学級編制
 及び教職員定数の標準に関する法律)

▼「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に
  関する調査」

▼情報検索サイト「かすたねっと」

▼「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」

▼「外国人児童生徒等に対する日本語指導指導者
  養成研修」

▼「外国人児童生徒等教育アドバイザー」

と、すさまじいほどの取組が紹介されています。

いかに日本語指導が必要な児童生徒に対する
支援に力を入れているかということがわかります。

加えて、障害のある児童生徒に対する日本語支援
を中心とした特別支援に言及している点も注目
したいですね。

今後は、障碍者に対する日本語教育、

それに紐づいた合理的配慮やユニバーサルデザ
インなどに関する取り組みが出てくるのでは
ないかと思います。


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