国際交流基金「2024年度 海外日本語教育機関調査」を読む。(その1)
先日、国際交流基金より、
「2024年度 海外日本語教育機関調査」
https://www.jpf.go.jp/j/
が発表されました。
今年の日本語教員試験ではさすがに
出題されないと思いますが、
日本語教師を目指すのであれば、
絶対に知っておくべきデータですので、
今回から数回にわたり解説します。
まず、調査結果全体概況から。
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2.(1)調査結果全体概況
143の国・地域で日本語教育の実施を確認
機 関 数:19,344 機関
教 師 数:80,898 人
学習者数:4,000,750 人
機関数、教師数、学習者数ともに過去最多!
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学習者数が400万人を突破しました。
凄いですね。
一方では、生成AIによって語学市場が
縮小するのではないかという声も
聞かれますが、
少なくとも日本語教育はそのような
心配はいらなさそうです。
多くの国にとって、日本はまだまだ
魅力的な国なんでしょう。
よかったです(^_^)
しかも、本調査はあくまでも教育機関
で学習している学習者数であって、
例えば、オンラインレッスンなどで
勉強している学習者や、
独学で学習している学習者は含まれて
いません。
それを含んで考えれば、日本語学習者
は世界中に軽く1000万人はいると思わ
れます。
次に、学習者数上位10か国・地域、
地域別・教育段階別学習者割合を
見てみましょう。
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2. (3) 学習者数上位10か国・地域、
地域別・教育段階別学習者割合
■学習者数上位10か国・地域
1 中国
2 インドネシア
3 韓国
4 オーストラリア
5 タイ
6 ベトナム
7 米国
8 台湾
9 ミャンマー
10 インド
■地域別学習者数の割合(計約400万人)
東アジア 43.4%
東南アジア 32.4%
南アジア 3.2%
大洋州 11.4%
北米 3.8%
中米 0.4%
南米 1.1%
西欧 2.4%
東欧 1.4%
中東・北アフリカ 0.3%
アフリカ 0.2%
■教育段階別学習者数の割合(計約400万人)
中等教育 47.4%
高等教育 22.2%
初等教育 7.6%
学校教育以外 22.7%
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学習者数上位10か国・地域のうち
上位3か国−中国、インドネシア、
韓国は押さえておきましょう。
中国は、前回2021年調査より38,121人
減少しました。
今国策で大学の外国語学部を減らして
いるようですので、今後も少しずつ
減っていくのではないかと思います。
一方、韓国は前回調査より85,062人
増加。
韓国は、中高年は中国志向、若者は
日本志向と分かれているそうで、
韓国人の若者が数字を押し上げてい
ると思われます。
中国にしても、韓国にしても、若者
の就職率が厳しいようですので、
日本語を勉強して日本で働いてほしい
と思います。
また、前回調査に比べミャンマーと
インドの学習者数の伸びが著しいです。
ミャンマーは今回100,315人で、前回
16位だったのが、今回9位。
インドは、今回52,946人で、前回11位
だったのが、今回10位。
これは、おそらく特定技能や技能実習
での来日を見越しての増加だと思われ
ます。
また、地域別に見れば、アジアの学習
者が全体の8割近くを占めています。
依然として、アジア人にとって日本は
魅力的な国に映っているようです。
さらに、教育段階別でみると中等教育
課程の学習者が全体の約半数。
中学・高校という多感な時に日本に
触れてもらうというのは、非常に
ありがたいこと。
おそらく、漫画やアニメなど日本の
サブカル(もはやメインカルチャー)
の影響が強いものと思われます。