「日本語教育推進基本方針」(令和7年改定)を読む(その6)
今回も
日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ
効果的に推進するための基本的な方針
https://www.mext.go.jp/a_menu/
6回目の今日は、
「第2章 日本語教育の推進の内容に関する事項」
の中の
1 日本語教育の機会の拡充
(1)国内における日本語教育の機会の拡充
の中の
エ 難民等に対する日本語教育
と
オ 地域における日本語教育
です。
特にオは、多くの日本語教師の方に関わること
だと思います。
以下。
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エ 難民等に対する日本語教育
我が国に受け入れた難民等に対する日本語
教育については、
定住支援の一環として、条約難民、補完的保
護対象者及び第三国定住難民に対する支援を
行っている。
令和5年からは、条約上の難民ではないも
のの、難民と同様に保護すべき紛争避難民等
を確実に保護するための補完的保護対象者の
認定制度が開始された。
また、第三国定住難民については、平成22
年度からアジアで初めて第三国定住による難
民の受入れを開始し、
令和2年度からは受入れの対象、人数等が拡
大された。
国は、引き続き、条約難民、補完的保護対
象者及び第三国定住難民に対し、
定住支援施設における日本語教育や定住支援
施設退所後の日本語学習に関する相談対応等
の必要な施策を講ずる。
【具体的施策例】
・条約難民、補完的保護対象者及び第三国定
住難民に対し、
我が国への定住に必要とされる日本語能力
の習得のための日本語教育プログラム及び
教材の提供、
日本語学習に関する相談対応等の支援を実
施する。
特に、定住先地域における円滑な就業や就
学等を促進するため、
日本語教育プログラム等の学習環境の一層
の整備を進める。
・難民を含む外国人等の日本語教育環境を強
化するため、
都道府県及び指定都市が行う地域日本語教
育の総合的な体制づくりを推進する。
また、難民を含む外国人等に対する地域に
おける日本語の学習機会を確保するための
取組
及びICTを活用した遠隔教育等の先進的
取組を支援する。
オ 地域における日本語教育
地域日本語教育は、身分又は地位に基づい
て在留する外国人等(永住者、日本人の配偶
者等、永住者の配偶者等、定住者、家族滞在。
令和6年末現在、約161万人)をはじめ、
我が国に在留する全ての外国人を対象とする
ものである。
地域に在住する外国人が自立した言語使用者
として生活していく上で必要となる日本語能
力を身に付け、
日本語で意思疎通を図り、生活できるよう支
援する必要があるが、
在留資格や背景の多様化が進み、日本語の学
習を希望する外国人等が必要とする日本語教
育は一様ではない。
外国人等の日本語学習の目的や意欲にも差が
あると言われている。
また、外国人等の集住地域と散在地域がある
ことや、
日本語教育を行う機関や日本語教育に従事す
る者(以下「日本語教育人材」という。)の
地域による偏りなど、
日本語教育の実施環境、学習環境は地域によ
る差が大きくなっている。
一方、令和2年に基本方針の閣議決定が行
われた後、地域日本語教育の総合的な体制づ
くりが促進されるとともに、
日本語教室がない市町村(以下「日本語教室
空白地域」という。)は減少し、
各地における取組の効果は一定程度出ている
と言えるが、
学習を希望する外国人に対して日本語教育が
行き届いていないという課題は根強く指摘さ
れている。
さらに、日本語教師、地域日本語教育コー
ディネーター、行政・地域国際化協会・NP
O等の職員、ボランティア等の多様な者が、
学習支援、教室運営等の様々な役割に応じて
地域日本語教育を担っており、
今後は登録日本語教員の活用も期待されるこ
とから、都道府県及び市区町村、企業、学校、
認定日本語教育機関等の関係機関の連携・協
力の推進を図る必要がある。
そのため、各地域において、地域の実情に
応じた日本語教育を実施するとともに、
日本語を学習する機会を提供すること、一定
水準の学習内容を示すこと、
日本語を教える人材の質の担保・量の確保を
図ること、
学習目標の明確化等を通じて外国人等の日本
語学習への動機付けを図ることが肝要である。
その際、外国人等や日本語教育機関等の地域
的な偏りなどの状況を具体的に把握した上で、
その状況に応じ、オンラインによる教育の提
供等、多様な手段を含めて学習機会の確保に
ついて検討する必要がある。
これらを踏まえ、外国人等が自立した言語使
用者として日本社会で生活していく上で必要
となる日本語能力(「日本語教育の参照枠」
におけるB1レベル相当)を身に付け、
教育・就労・生活の場でより円滑に意思疎通
できるようになることを目指し、
地域における日本語教育環境の強化のために
必要な施策を講ずる。
【具体的施策例】
・都道府県及び指定都市が行う、総合調整会
議の設置や総括コーディネーターの配置、
日本語教育の実施数や受入れ人数の増加等
の日本語学習機会の拡充、
域内の日本語学習支援者等の人材育成支援、
「日本語教育の参照枠」の活用促進等、
地域日本語教育の総合的な体制づくりを支
援する。
さらに都道府県においては、市町村との連
携を促し、
域内地域や市町村における地域日本語教育
コーディネーターの配置、
日本語教室の運営の支援、域内の日本語教
室空白地域解消促進、
行政職員や地域住民に対するやさしい日本
語の研修の支援等の充実を図る。
・これらの取組を促進するため、地域日本語
教育の総合的な体制づくりにおける、
認定日本語教育機関や登録日本語教員をは
じめとする専門機関・専門家の活用促進、
複数の市町村による連携やオンラインの更
なる活用などによる広域的な日本語教育の
展開等を促進する。
・国の政策動向、地域日本語教育の総合的な
体制づくりや日本語教室空白地域解消等の
優良事例等の情報共有や周知を図るため、
地方公共団体の日本語教育担当者に対する
研修を実施するとともに、
全国に対するノウハウの提供、地方公共団
体の日本語教育担当者や各地のコーディ
ネーターとの情報交換による日本語教育の
状況把握及び地方公共団体間の情報交換の
機会の提供等に取り組み、地域日本語教育
を推進する。
・一定数以上の外国人等が在住しているが、
いまだ日本語教室空白地域等である地域に
在住し、
日本語教室に定期的に通うことが困難な外
国人等のための日本語教育機会を確保する
取組を推進するとともに、
ICTを活用し、生活場面に応じて日本語
を自習できる日本語学習教材である日本語
学習サイト
「つながるひろがる にほんごでのくらし」
(通称:つなひろ)
の多言語による提供を行う。
また、「日本語教育の参照枠」及びそれに
基づく言語能力記述文の一つである「生活
Can do」に対応した学習コンテンツの
充実など、
今後の外国人材の受入れの動向や社会情勢
を鑑みた改修等を行う。
・地方公共団体においては対応が難しい、障
害や文化的背景等に伴う日本語学習上の困
難など、
広域で共通する学習者の特性に対応した先
進的な取組の普及を図る。
・地域日本語教育において直接日本語を指導
する登録日本語教員等に対する研修や、
地域の関係機関(地方出入国在留管理局、
経済団体、大学、認定日本語教育機関、
NPO等)との連携や地域日本語教育推進
の中核を担い、
日本語教育プログラムの編成及び実践に携
わる地域日本語教育コーディネーターに対
する研修を実施する。
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「日本語教育の参照枠」におけるB1レベル
相当を目指すというのは、
相当大変なことだろうと思いますが、
かなり社会的意義のあることだと思います。
また、そのために認定日本語教育機関や
登録日本語教員の活用を促進するという
ことですし、
国も日本語教育にかなりの予算をつけて
いただいているようですので、
私たちにとっては、かなりの追い風ですし、
逆に、気を引き締めて取り組まないと
社会的評価は得られないだろうと思います。
頑張らないといけないですね。