引用節(講義資料No.026 複文の諸問題(1)より)

先日改訂した

【WEBで学ぶ通信講座
 「篠研の日本語教育能力検定試験対策」】
 https://www.kanjifumi.jp/become/distancelearning/

の講義資料「No.026 複文の諸問題(1)」で

「引用節」

の加筆部分を含んだ一節をご紹介します。

この内容は、実際に令和2年に出題された
ものです。

しっかりインテイクしてくださいね(^_^)

以下。

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引用節

 引用節とは、「述語が発言活動や思考活動を表す
場合、その発言や思考の内容を示す」(日本語記述
文法研究会(2008)p.26)補足節のことで、

例えば「上司にもっと早く仕事しろと言われた。」
のように節中に対人的モダリティ(ここでは「し
ろ」)を含むことができることから、

独立文相当に従属度が低い節ということができま
す。

 引用節には、発言内容を表す「と」(18)、思考
内容を表す「と」(19)、

さらには命令(20)、依頼(21)、祈願(22)、思
考(23)を表す述語とともに用いられる「よう
(に)」を含んだものがあります。

(18)彼は「私が山田です。」と言った。
(19)彼女はもうすぐ来ると思います。
(20)上司は、部下に明日の朝までにこの書類を届
   けるように指示した。
(21)子どもは、母に学校まで迎えに来てくれるよ
   う(に)頼んだ。
(22)貴社ますますご発展なさいますようお祈り申
   し上げます。
(23)このスープ、もう少し塩を入れた方がいい
   ように思う。

 この際、「ように」が発言内容を表す場合は「に」
が省略できますが(21)、思考内容を表す場合は
「に」が省略できません(23)。

 また、主節の動詞が「頼む」などの依頼を表す動
詞の場合、

引用節中には「しろ」「して」「してほしい」など、
さまざまな表現を使うことができます。

(24)サークルの先輩から篠崎先生の授業のノート
   を( 貸せ 貸して 貸してほしい )と頼
   まれた。

 また、名詞を修飾する引用表現では、名詞修飾節
と被修飾名詞(=主名詞)の間に用いられる助詞と
して、

「との」(25)、「って」(26)、「という」(27)
があります。

(25)報告書によると、今後ますます少子化が進む
   とのことです。
(26)昨日お母さんが言ってた、明日家の前でグル
   メ番組のロケがあるって噂、本当なの。
(27)彼女はどうしても来れないという話を、さっ
   き彼がしていた。

 引用節で特に問題になるのは、「 」を伴って発
話内容を忠実に再現した直接引用(28)を、

「 」を伴わず適度に変形して主節の中に埋め込ん
だ間接引用(29)に変換する際の言語的操作です。

下の例を見てください。

(28)社長は、私に「明日の10時に君の部下と一緒
   に本社に来なさい。」とおっしゃいました。
(29)社長は、私に翌日の10時に私の部下と一緒に
   本社に来いとおっしゃいました。

 先の例文では、直接引用から間接引用に変換する
際、

ただ「 」を取るだけでなく、「明日」を「翌日」、
「君」に「私」と語彙を変更したり、

「来なさい」(丁寧体)を「来い」(普通体)に変
更したりとさまざまな言語的操作が必要です。

 学習者の中には、そうした表現の統一が不十分で
あったり、

場合によっては「 」を伴わないまま直接引用の表
現を使ってしまう者もいます。

これらは、中級以降の作文活動で扱われることが多
いと思われますが、指導の際には注意が必要です。

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いかがでしたか。

「引用節」、理解できましたか。

「引用節って、案外複雑だな。」

そう思われた方も多いと思います。

しっかり勉強してくださいね(^_^)


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