「日本語教育の参照枠」と「言語と心理」はどう繋がるか。

シリーズでお届けしている

「日本語教育の参照枠」は日本語教員試験の
5区分とどう繋がるか。

今回は、

「日本語教育の参照枠」と「言語と心理」
はどう繋がるか。

です。

そもそもですが、「言語と心理」でどのような
テーマが扱われているかご存じでしょうか。

というのも、案外ご存じのない方が多い
ような印象だからです。

「必須の教育内容」に掲げられている
「言語と心理」の項目は以下の6つです。

<14>談話理解
<15>言語学習
<16>習得過程
<17>学習ストラテジー
<18>異文化受容・適応
<19>日本語の学習・教育の情意的側面

これらと「参照枠」の内容を照らし
合わせてみると、

<14>談話理解
<15>言語学習
<16>習得過程

は、いわば学習者が日本語をいかに
身につけていくか、

そのメカニズムとプロセスについて
の理論です。

この部分に関して、直接繋がるCan do
はあまりないかなという感じです。

むしろ、個々のCan doに直接紐づく
のではなく、

すべての教育活動の根底にある、

学習者に対する学習支援の土台に
位置づけられるのが、この

<14>談話理解
<15>言語学習
<16>習得過程

ではないかと思います。

『参照枠』を見ていると、以下の
ような文言を目にします。

・学習者のレベルや置かれた状況
 によって(p.69)

・学習者に過度な負担とならない
 よう(p.69)

・日本語学習者の日本語の習得段階
 に応じて求められる日本語教育の
 内容及び方法を明らかにし、
            (p.72)

つまり、単に必要な日本語を教える
ということだけではなく、

学習者の習得段階に配慮した支援と
いうものを考えなければならない。

そのための知識として、上記3項目
があると考えるといいでしょう。

日本語教員試験も、そういった繋が
りで出題される可能性が高いと思い
ます。

次に、

<17>学習ストラテジー
<18>異文化受容・適応
<19>日本語の学習・教育の情意的側面

ですが、<17>は「方略Can do」との
つながりが強いですね。

「方略Can doとは、

「言語使用の際のストラテジーについて
 の言語能力記述文」

のことで、「参照枠」では以下のように
説明されています。

「方略とは、分からない言葉を推測した
 り、質問したり、あるいは聞き取りに
 くい言葉について聞き返したりするな
 どの行動を指す。CEFRでは、「モ
 ニタリングと修正」、「手掛かりの発
 見と推論(話し言葉と書き言葉)」、
 「発言権の取得・保持」、「説明を求
 めること」などのカテゴリーがある。」
              (p.13)

なので、今一度、レベッカ・オックス
フォードの言語学習ストラテジーの
6項目と、

方略Can doの個々のCan doを見比べて
関連性を確認しておくといいでしょう。

<18>異文化受容・適応

については、CEFRの「一般的能力」と
関係があります。

一般的能力というのは、

「一般的能力とは、叙述的知識(世界・
 社会文化・異文化などについての知
 識)、技能とノウ・ハウ(生活や余
 暇・社会的・異文化間・職業的な技
 能)、実存的能力(態度・動機・価
 値観・信条・認知的スタイル・性
 格)、学習能力(言語とコミュニ
 ケーションに関する意識・音声意識
 と技能・学習技能・発見技能)から
 構成される。」(p.76)

です。

ですが、実はこの一般的能力は「参照
枠」では触れられていません。

ですので、優先順位としては低いかな
と思います。

ただ、「参照枠」巻末の

「参考資料3 JF日本語教育スタン
 ダードについて」

で、以下のような文言があります。

「JFSの目指す「相互理解のための日
 本語」は、これを学んだり使ったりす
 る中で、学習者が母語とは異なる文化
 にも触れ、自分の文化を相対化できる
 ようになると考えられており、その際
 に求められる能力を「異文化理解能
 力」と呼んでいる。」(p.113)

とあります。

ですので、「参照枠」からのJFスタン
ダード、

からの異文化適応という筋で出題される
可能性はあるかと思います。

ただ、

<18>異文化受容・適応

にしても、次の

<19>日本語の学習・教育の情意的側面

にしても、

もっというと「言語と心理」全般は

全て学習者の内面に関わる内容。

目に見えないもの、テストで簡単に
評価できないもの、

しかし、学習者にとっては学習や
セルフコントロールをする上で非常
に重要なもの

であるだけに、

教育現場では、学習者と関わる上で
極めて重要な学問領域です。

この部分の認識や配慮があるか
どうかで、教師の器が試されている
と考えていいでしょう。

こうしてみてみると、「参照枠」は
本当に奥が深いですね。

とうとう申込期日が明後日までと
なりました。

息長く続けられる、本物の日本語教師
を目指している方に、

強くお勧めいたします。

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