応用試験を突破するには?(その9)

これまで応用試験を突破するための
さまざまなヒントをお届けしてきました。

ですが、応用試験を突破するために
最も重要で、

しかも、多くの受験者、いや養成講座
担当教員ですら正しく認識できていない
ことがあります。

それは、

「必須の教育内容50項目すべてを、
 教育現場と連動させながら学んで
 いるか。」

ということ。

ここが最大最高に重要です。

もし、今日本語教師養成講座を受講して
いて、

担当講師が、

「試験勉強の内容と教育現場は全然
 違う。

 試験に合格したからといって、
 現場でうまく教えられるとは限ら
 ない。」

といったことを口癖のように言う
講師だとしたら、今すぐ走って
逃げてください。

その講師に就いても、合格はおろか
現場で自信を持って活躍できる日本語
教師になることはできません。

お金をドブに捨てるようなものです。

実際、先日公表された

令和7年度 日本語教員試験 試験案内
https://00m.in/uPXtq

の応用試験の出題内容の中にも、

「応用試験では、基礎的な知識及び技能を
 活用した問題解決能力を測定するため、
 教育実践と関連させて出題します。」

と明確に示しています。

また、

「区分を横断する出題のため、領域ごとの
 出題割合は示していません。」

とも記されています。

つまり、必須の教育内容を教育実践と関連
させながら、

なおかつ5区分を超えたつながりの中で
理解しなければ、

応用試験には合格できないということ
なんですね。

ここをしっかり認識しなければなりません。

例えば、

「日本語教育の参照枠」(以下、「参照枠」)
 https://00m.in/nMZtU

の中の「言語教育観の柱」の中に、

「多様な日本語使用を尊重する」

というのがあります。

これは、簡単に言うと、日本語力がデコボコ
でも、それが学習者が望むものであれば、
尊重しようという考え方です。

ちなみに、「参照枠」は必須の教育内容の
かなり広範囲に関わる内容ですが、

最も関係があるのは、

<21>日本語教育プログラムの理解と実践

です。

この教育観は、今までの4技能バランスよく
同時並行的に学ばせようという考え方からの
大きな転換を意味します。

これが一体何を意味するのか。

「日本語力がデコボコなら、タスク遂行に
 支障が出るのではないか。」

そう考える方もいるかと思います。

ですが、こうした教育観の背景には、

「タスク遂行は、決して個人で完結する
 ものだけではなく、

 他者との協力の中でなされるものも
 あり、

 実社会においては、むしろそうした
 状況のほうが多い。」

という考え方があります。

たとえて言えば、これまでの日本語教育は
独り親方の経営者を育成するようなもの
でした。

一人の学習者が、集客から実務、アフター
フォロー、会計業務まで、

すべて一人でできるような教育が行われて
いたわけです。

しかし、それは現実的でも効率的でもない。

経営者なら、マネージメントのスキルを
しっかり磨いて、

集客や会計業務は他の人にやってもらえば
いい。

そういう考え方に変わったのです。

これが何に繋がるかというと、

レイヴとヴェンガ−の状況的学習論です。

必須の教育内容でいうと、

<24>教授法

です。

つまり、コミュニティの中での学びですね。

今の自分のスキルはボタン付けだけ。

でも、他の縫製や生地の裁断は、他の人に
やってもらえればいい。

それでちゃんと服が出来上がるわけです
から。

そして、これが具体的な指導方法として
どこに結びつくのかというと、

アロンソンが提唱したジグソー学習です。

必須の教育内容で言うと

<24>教授法
<27>授業計画

です。

このように、例えば「参照枠」で述べられて
いる抽象的な概念を、

必須の教育内容50項目に沿って、教育実践に
落とし込むことが、応用試験突破のために
は絶対必要なんですね。

ですが、話はここで終わりません。

こうした学習観の転換が何を意味する
のかというと、それは、

「知識やスキルのシェアリング」

です。

このことは、単に「言語と教育」の範囲
にとどまらず、

今の日本社会の価値観の転換に大きく
関係し、

必須の教育内容の「社会・文化・地域」
における

<1>世界と日本の社会と文化

に繋がっていきます。

ここにつなげて理解できなければ、

私たちが指導するであろう20台前後の
若者の基本的な価値観を理解することが
できません。

「区分「社会・文化・地域」の内容は
 明日の授業に関係ない。」

という考え方は、まったく浅はかな考え
方であり、

むしろこういった区分こそ現場直結とさえ
思えます。

続きは次回に。


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