日本語教員試験サンプル問題応用試験I(聴解)問題2会話音声がなくても解ける件
昨日
日本語教員試験サンプル問題
応用試験I(聴解)問題2
https://00m.in/bxtXS
を見ていて気付いたことがあったので
書きますね。
まず、問題は以下の通りです。
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問題2
これから、教室での教師と日本語学習者のやりとり
などを聞きます。それぞれについて、問いが複数あ
ります。それぞれの問いの答えとして最も適当なも
のを、問題用紙の選択肢A、B、C、Dの中から一つ選
んでください。(この問題には例がありません)
8番
問1 このような練習方法に最も関連のある教授法
は、次のうちどれですか。
A サイレント・ウェイ
B コミュニカティブ・アプローチ
C オーディオリンガル・メソッド
D コミュニティ・ランゲージ・ラーニング
問2 コミュニケーションで問題が起こらないよう
にするために、この後、学習するのが望まし
い肯定/否定の応答表現は、次のうちどれで
すか。
A 「ええ、どうぞ。」/「すみません、ちょっ
と…。」
B 「〜ても大丈夫です。」/「〜なくても大
丈夫です。」
C 「どうぞ〜てください。」/「いいえ、
〜てはだめです。」
D 「はい、〜てもいいです。」/「いいえ、
〜てはいけません。」
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公開されている問題はここまでで、聴解問題で
最も重要な音声スクリプトが公開されていません
ので、
本来であれば、これ以上の対策の立てようがない
というのが実際のところです。
ただ、この問題に限って言えば、音声スクリプト
がなくても、
つまり、会話音声を聞かなくても、上の問題を
見るだけで解けてしまいます。
この問題の問題文と選択肢を見ただけで、
「あっ、問1の答えはCだな。
とすると、問2の答えはAだな。」
ということがわかるんですね。
実際、この問題の正解は問1がC、問2がA
です。
なぜ、会話音声を聞かなくてもわかるのか。
まず、問1ですが、問題文に
「このような練習方法に最も関連のある
教授法」
とあります。
ということは、ある程度確立された練習
方法を持つ教授法でなければなりません。
その上で選択肢を見ると、それに合致
する教授法は
C オーディオリンガル・メソッド
しかないんですね。
そこから翻って考えると、
「ということは、ここでの『練習方法』
とは、文型練習のことだな。」
ということがわかります。
それを踏まえた上で、問2を見てみると、
A 「ええ、どうぞ。」/「すみません、ちょっ
と…。」
B 「〜ても大丈夫です。」/「〜なくても大
丈夫です。」
C 「どうぞ〜てください。」/「いいえ、
〜てはだめです。」
D 「はい、〜てもいいです。」/「いいえ、
〜てはいけません。」
お分かりになりますか。
これらすべて、
「〜てもいいですか。」
に対する応答を意識した選択肢となって
います。
「〜てもいいですか。」
という文型は、ルールや規則を問う場合
(例:教室で食事をしてもいいですか。)
には、Dのような返答を、
個人的な都合を聞く場合
(例:ノートを借りてもいいですか。)
には、Aのような返答をします。
そして、通常、授業ではまずルール
や規則を問う用法を勉強して、
その後、個人的な都合を聞く用法を
勉強します。
そうすると、
「なるほど。会話音声では教師と
学習者が『〜てもいいですか』
のルールや規則を問う文型練習を
やって、
その後に、うっかり個人の都合
を聞くようなタスクをやって、
うまくいかなかった、という
オチなんだな。」
ということがわかるわけです。
今日実施予定の
「篠研サロン−試験対策部」
では、その類推のもとで作成した
【篠研版会話音声】
で問題を徹底解説します。
それにしても、どうしてこのような
脇の甘いサンプル問題を作ったので
しょうか。
「応用問題といっても、所詮この
程度の問題ですよ。」
と言いたかったのか、それとも、
受験予定者を油断させたかったのか。
その辺りは私もわかりません。