公認日本語教師制度の論点(3)-「就学」を設けるべきか。

去る2月26日、

「第3回日本語教師の資格に関する調査研究
協力者会議」

が開催されました。

当日配布された資料は、下記で公開されて
いますので、ご覧ください。

日本語教師の資格に関する調査研究協力者
会議(第3回)
https://bit.ly/3rtm8V4

これまで、日本語教育機関の類型化について
私見を交えてお話しさせていただきました。

今回は、「『就学』を設けるべきか」に
ついてお話しします。

結論から言いますと、

「ぜひ『就学』というカテゴリーを
設けていただきたい。」

というのが私の考えです。

復習になりますが、会議では日本語教育機関
の類型化として、「留学」「就労」「生活」
という3つの類型が出されました。

実は、私は最初にこの3類型を見た時、
少し疑問を感じました。

それは、

「日本語指導が必要な児童生徒は、どの
類型化の下で勉強するの?」

というものです。

最初は、「生活」の中に含まれるのかとも
思いましたが、

「生活」は、

「地方自治体(公的な性質を持つ地域の
日本語教室)」

と定義されていますので、学校教育の中で
勉強する児童生徒は、ちょっと違います。

文科省はこれまで、日本語指導が必要な
児童生徒に関する各種調査や教材開発など、
かなり積極的に取り組んできました。

また、最近では

外国人児童生徒等の教育の充実について
(報告)
https://bit.ly/3t01OLf

といった報告書も出しています。

当然、教育現場では日本語教育の専門家が
必要になるわけですから、

私はてっきり公認日本語教師にもリンク
するだろうと思ったわけです。

そう思ったのは、私だけではなかった
ようで、(というか、私より早く気付いた
方がいたようで)

第3回会議でも「就学」のカテゴリーを設
けるべきではないかといった意見があった
と報告されました。

私が「就学」を設けていただきたい主な
理由は2つあります。

まず1つは、例えば、

▼外国人材の受入れ・共生のための総合的
対応策(改訂)
http://www.moj.go.jp/content/001311603.pdf

▼日本語教育の推進に関する法律
https://bit.ly/3elDmjh

など、そもそも国は日本語指導が必要な児
童生徒に対する日本語教育の充実をいたる
ところで謳っている中で、

その専門家である公認日本語教師とリンク
させないのは、不自然であること。

これだけ国策として推し進めているので
あれば、

国家資格を持った日本語教師が責任を持っ
て教育に当たるのが自然な姿であろうと
思います。

2つ目は、現状では学校現場に日本語教
育の専門家が非常に少なく、また認知も
低いこと。

これは、かなり地域差や学校差があるかと
思います。

外国人児童生徒の多い地域であれば、学校
ぐるみで組織的な教育や支援体制がとられ
ていることでしょう。

ですが、私の住む大分県は、自治体や教育
委員会が力を入れてきているというものの、

もともと、日本語指導が必要な外国人児童
が5名以下しか在籍しない散在校の多い地
域(これを散在地域という)であることや、

社会人向けの日本語教師養成講座が別府大
学以外にないといったこともあって、まだ
まだ発展途上です。

全国の学校の7割以上が散在校であること
を考えると、同様なところは多いと考えら
れます。

散在校に関する詳しいデータは、

「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等
に関する調査(平成 30 年度)」
https://bit.ly/3ehdRQp

「8 日本語指導が必要な外国籍の児童生徒の
在籍人数別学校数」(p.6)

をご覧ください。

で、公認日本語教師に「就学」を設けること
によって、

こうした地域にもちゃんと専門家を配置し、
標準的な教育を提供する仕組みができるの
ではないかと期待するわけです。

それから、以上とは別に、

日本語指導が必要な児童生徒に対する日本
語教育の充実を図る上で2つ、検討してい
ただきたいことがあります。

1つは、

「日本語教育人材の養成・研修の在り方について」
https://bit.ly/3bqfWHD

との連携です。

私のイメージでは、公認日本語教師制度
は、先の「養成・研修」の「養成」にあた
る者が受ける制度です。

これに合格すると、晴れて「初任」に進む
わけですが、

とはいえ、公認日本語教師制度は日本語教育
全般を扱っているので、対象別指導の面で
より専門的な知識やスキルが必要です。

そこで、「初任」「中堅」でしかるべき研修
を受け、専門性に磨きをかける。

もちろん、受講者は職場で然るべき待遇を
受けると(ここ、結構大事)。

実は、公認日本語教師制度を検討する中で、
この「養成・研修」はちょこちょこ話題に
でてきているので、

いずれリンクされるだろうと考えています。

2つめは、

教職科目に「児童生徒に対する日本語教育」
という科目を追加すること。

教職の先生方にも、一定の知識を持って
いただくのが目的です。

ただし、これは決して現場の担任の先生に日
本語指導をしてくれと言っているわけではあ
りません。

ただでさえ忙しい先生方に日本語指導の仕事
までお願いするのは無理です。

そこは、日本語教育の専門家が当たればいい。

ただし、マネージメントをするうえで基本的な
ことは知っておくべきだろうと思います。

例えば、BICSとCALPという外国人児童生徒特有
の問題を知らなければ、

現場で重大な問題を見過ごしてしまう可能性が
あります。

以上、長々と述べてきましたが、行政とて
できることと、すぐにはできないことがある
のも事実です。

ですので、そこは民間のフォローも必要だろう
と思います。

篠研が4月から大分県下の日本語指導が必要な
児童生徒に日本語教材を無償提供しますが、

これも、ささやかながら民間でできることの
1つなのかなと考えています。


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