目指すべきは「やり過ぎ教師」ではなく「お地蔵さん」。

冒頭のK.K様のお便りの中の

> 学生の相互フィードバックをしやすくし、私は
> ほぼ何もしない!という方法でやってみました
> が、
>
> 驚いたことに、学生同志でもお互いに訂正し合い、
> 正確なフィードバックを与え合い、
>
> 自分たちでブラッシュアップできるという活動
> を目の当たりにして本当に感動しました。

という一節に、とても重要で、しかし、

教師が教育に面と向かうと、案外忘れがち
いうか、勘違いしがちなことがありますので、
今回はその点について、お話しします。

それは何かというと、

「私はほぼ何もしない!という方法でやって
みました。」

というところです。

もしかしたら、皆さんの中には、

「授業中に教師が何もしないとは何事だ!
けしからん!」

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、このスタンスは、教師の究極形と
言ってもいいほど理想的な姿なのです。

だからこそ、

「驚いたことに、学生同志でもお互いに訂正し
合い、
正確なフィードバックを与え合い、
自分たちでブラッシュアップできるという活
動を目の当たりにして本当に感動しました。」

という結果になったのです。

これは、決して偶然ではなく、むしろ必然。

K.K様があえて「何もしない」という行動に
出たからこそ、学習者は自由闊達にタスクに
取り組むことができたのです。

もし、逆に、K.K様が学習者の一つ一つの行動
を厳しく制限し、

学習者の一挙手一投足をいちいち評価する
ような授業を展開したら、

あるいは、学習者に考えるいとまを与えない
ほど、いちいち細かな説明をしたら、

おそらく学習者は委縮してしまって、教師の
顔を伺いながら、

自分の意見を自由に言うことなく、ただただ
教師の指示を待つだけになっていたことで
しょう。

それは、もはや教育ではなく支配ですよね。

もちろん、K.K様は最初から何もしなかった
わけではなく、

授業の最初に、タスクの説明をしっかり
した上で、学習者に自由を与えたわけです。
(↑ここ、大事。)

とは言うものの、

いざ自分の授業となると、学習者のためを
思い、良かれと思って、

▼膨大なプリントを用意し、
▼膨大な補助教材を用意し、
▼緻密を極めた教案を作成し、
▼授業中は、微に入り細に入り説明し、
▼授業中の活動も分刻みに教案通り
正確に進めようとする。

何を隠そう、駆け出しのころの私が
まさにこんな感じでした。

完全に、やり過ぎでした。

そして、授業後は、

「今日の学習者はあまり元気がなかった
なぁ。」

等と思っていたのです(盲目すぎる)。

ただ、私に限らず、こうした沼にはまって
しまう教師というのは、

けっして指導スキルが低いわけではなく、

ただ、性格的に「生真面目」な方に多い
のではないかと思います(半分、自己弁護(^_^))。

だから、決して思い悩むことではない。

ただ、ちょっと肩に力が入っているだけ
なんですね。

実はあれから数年後、今の大学に移って、
ある日、古典研究がご専門の先生から、

「篠崎さん、いい教師ってどんな教師
だと思いますか。」

と聞かれたことがありました。

私はとっさに、

「さあ、何でも説明できる教師ですか。」

と言うと、

「いやいや、言ってみればお地蔵さんの
ような先生ですよ。」

と、まるで禅問答のような答え。

そして、続けて、

「お地蔵さんは、何もせず、何も言わずに
ただにこにこ笑っているだけでしょ。

それでも、その前に人は勝手に集まって、
自分で勝手に考えて、自分で勝手に気づき
を得て、

そして、勝手に感謝して帰る。

何と無理のないシームレスな学びの形。

これこそ、教師の理想形なんですよ。」

なるほど!

あの時の衝撃は、今でも忘れません。

考えてみれば、授業中、教師がせわしなく
動いたり、

べらべらと説明していたりしている時と
いうのは、

学習者は、頭も体もさして動いていないもの。

その時、私は、

「授業中動くべきは、考えるべきは、
しゃべるべきは、教師ではなく学習者だ。」

と理解しました。

それから私は、肩の力を抜いてゆったりと
構え、

抑えるべきところは押さえつつも、
できるだけ学習者を自由に活動させる
ような授業スタイルに変えていったのです。

そして、私なりに試行錯誤を重ねた結果、

▼学習者を動かし
▼学習者に考えさせ、
▼学習者にしゃべらせる

最も簡単で、最も再現性が高く、
最も学習効率を上げ、

なおかつ、誰でもできる最も基本的な
指導スキルに行き着きました。

それが、「質問型授業」なんですね。

教師が質問をすれば、学習者はその答え
を考え、

さらに、それを日本語で答えなければ
なりません。

学習者の頭はフル回転しているはずです。

そして、自分の頭で考えて出した答えは
学習者の頭に深く刻み込まれます。

なにより、人は誰しも「聞く」より「しゃ
べる」ことに快感を覚える生き物。

結果、学習者の知識の歩留まりもよくなり、
授業中、眠くなるどころか前のめりに取り
組むようになり、

そして、教師も楽しく、楽に授業をする
ことができるわけです。

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