2誌合同。「日本語教育有識者会議」を読む(9)

引き続き、

「日本語教育の質の維持向上の仕組みに
 ついて(報告)(素案) 」
 https://bit.ly/3hxTout

を2誌合同で解説していきます。

2誌連番で解説いたしますので、片方しか
登録していない方は、両メルマガをご登録
なさるか、

下記サイトをご参照ください。

篠研の日本語教育能力検定試験対策
https://www.kanjifumi.jp/kentei/
(メルマガのバックナンバーが読めます)

また、かなり膨大な資料ですので、かいつま
んだ解説となることを予めお伝えしておきま
す。

詳しくは、上記資料をご参照ください。

第9回は、

「4.「就労」「生活」類型への対応」

です。

そのうち、今回は「基本的な方向性」と
「教育内容・方法等」を扱います。

結論から言うと、「就労」「生活」類型
の運用については、

「留学」に比べて、まだ明確な見通しが
立っていない、という印象です。

以下。

--------------------

4.「就労」「生活」類型への対応

(基本的な方向性)

〇「就労」や「生活」類型の機関については、
 その実施主体や形態等も多様であり、「留
 学」類型のように法務省告示校制度等によ
 る評価などの蓄積がないことなども踏まえ、

 制度開始当初においては、制度趣旨に照ら
 して、質の担保が確実に図られるよう、こ
 れまでの蓄積がある「留学」と共通した一
 定の質を確保するための教育課程、教員、
 施設・設備などを評価する枠組みを基本と
 しつつ、

 就労者、生活者の学習ニーズに対応した認
 定等の在り方を検討することとする。

(教育内容・方法等)

〇 認定制度の開始直後においては、「日本
 語教育の参照枠」に係る自立した言語使用
 者としての習得レベルB1相当以上の教育
 内容に沿った質を確保することを前提に検
 討する。

 その際、「留学」類型や「就労」「生活」
 プログラムの実績など参考に、教育課程等
 に関する教育の内容・方法、施設・設備等
 一部の基準について、

 働きながら学ぶ就労者、通学が困難な生活
 者も含めた学習環境にあわせて実施されて
 いる実績などを踏まえ、

 質を確保するための「就労」や「生活」類
 型に必要な日本語教育の基準を定めること
 を検討する。

○ その上で、「就労」や「生活」類型の機
 関については、学習者の多様なニーズへ対
 応するため、

 これまでの実績を踏まえ、対面のみならず
 メディア授業や、技能別プログラムも含め
 て段階的に習得レベルを上げて学ぶことが
 可能となる教育プログラムの設定の在り方
 などを検討する。

 例えば、「日本語教育の参照枠」の習得レ
 ベル基礎段階の言語使用者となるA1レベ
 ル相当の修了後、A2レベル相当の習得や、

 自立した言語使用者としてのレベルである
 B1レベル相当以上の学びにつながる学習
 者の学習成果が生かされる教育課程編成な
 どの在り方も含め、

 学習者が継続して学びやすい環境を想定し
 た形態などの評価の在り方も検討する。

〇「就労」や「生活」類型に関する教育内容
 ・方法、学習時間・学習期間などの設定に
 ついては、

 文化審議会国語分科会の「日本語教育の参
 照枠」や、それに基づくモデルカリキュラ
 ム開発の成果とともに、

 「地域における日本語教育の在り方につい
  て」(報告)

 を踏まえ、引き続き、具体的に検討する。

〇 また、「就労」や「生活」類型の機関の
 実績を踏まえた上で、今後の社会的なニー
 ズを踏まえた更なる制度改善に向けて、

 段階的に必要な見直しや基準等の整備を行
 うことを検討する。

--------------------

以上をまとめると、

▼「就労」や「生活」類型の機関については、
 その実施主体や形態等も多様。

▼「留学」類型のような評価などの蓄積がない。

▼「日本語教育の参照枠」のB1相当以上の
 教育内容に沿った質を確保を前提に検討。

▼以上を踏まえて、これから具体的に検討して
 いく。

といったところです。

個人的には、「就労」類型を設計するのは
かなり難しいだろうと考えています。

なぜなら、企業が絡んでくるからです。

企業は基本的に営利団体ですので、
費用対効果で考えます。

それが、今後の検討にどれだけ反映されるか。

また、いわゆるホワイトカラーの就労者の
場合、

雇用している企業はこのような制度を利用
するまでもなく、

必要に応じて自社で日本語研修を実施したり、
福利厚生で日本語レッスンを提供したりする
でしょう。

一方、技能実習生のようなブルーカラーの
就労者の場合、

雇用している企業は日本語研修にかける資
金に乏しいところもあるので、

その負担をどうやって賄うのかという問題
があります。

一方、「生活」類型の設計に関しては、
がんばればなんとか形になるのではないか
と思います。

なぜなら、主な実施団体が国や自治体だ
からです。

もちろん、地域によって事情は異なるで
しょうが、

国が大枠を決めて、細かいことは地域の
実状に合わせて行うようにすれば、制度上
は可能でしょう。

ただし、最後に問題になるのは「人」。

優秀な日本語教師をいかに確保するか、
というのが成否の肝になるでしょう。

そういう意味で、下の「日本語教育ニュース
フラッシュ」で紹介する

◆令和5年度講師(日本語指導)(会計年度任用職
 員)の募集:千代田区
 https://bit.ly/3GtDr2p
 定員3名。給与月額 約243,000円。締切1月6日。

は、

「今のうちに優秀な日本語教師を確保して
 おきたい。」

という千代田区の意向が読み取れます。

結局のところ、

千代田区のように任期付きとはいえ、
世間並みの待遇を用意できた自治体が、

日本語教師を確保でき、日本語教育サービス
を提供でき、

ひいては地域の活性化に成功していく、

逆に、世間並みの待遇を用意できず、
相変わらずボランティア頼みの自治体は、

日本語教師を確保することができず、
地場産業の活性化も図られないため、

結果、外国人も日本人も離れていく
ことになるのです。


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