『みん日』は「参照枠」Can-do対応だった。

『みんなの日本語』と言えば、

「ゴリゴリの文型積み上げ教材」

というイメージが強いようです。

日本語教育機関によっては、
来年度から始まる

「日本語教育の参照枠」
 https://00m.in/nMZtU

に対応しなければならなくなるため、

皆さんの中には、

「これからは、もう『みん日』は使え
 ないんじゃないか。

 せっかくストックしてきた教材や
 『みん日』に基づいた指導ノウハウが
 使えなくなってしまうのではないか。」

そう思われている方も多いのではないか
と思います。

もしそうだとしたら、カリキュラムから
教材から、すべてゼロから検討し直さ
ないといけないので、相当大変です。

先生方によっては、今まで何十年も
かけて培ってきた指導ノウハウを
丸ごと捨てることになるわけですから。

ですが、その不安は完全に杞憂(きゆう)。

−−−−−−−−−−−−−−−
杞憂

杞憂とは、無用な心配や不安を指す
言葉である。
杞憂は、現実には起こり得ない事態や、
起こる可能性が極めて低い事態に対する
過度な心配を表す。

           −weblio辞書

−−−−−−−−−−−−−−−

なぜなら、『みん日』はすでに
「参照枠」Can-do対応だからです。

例えば、27課。

この課では、主に可能動詞について
扱いますが、

『教え方の手引き』では、課の学習目標を

−−−−−−−−−−−−−−−−

学習目標

・できること、できないことが言える。
・見える、聞こえるなどの状態が言える。

−−−−−−−−−−−−−−−−

と定められています。

まさにCan-doです。

さらに、27課の「会話」は以下のように
設定されています。

−−−−−−−−−−−−−−−−

会話(タイトル):何でも作れるんですね。

場面:友人宅を訪問し、部屋や調度を話題
   にする。

目標:相手の能力を褒めて、会話を弾ませ
   る。

−−−−−−−−−−−−−−−−

明確な場面設定と目標が定められて
います。

「相手の能力を褒めて、会話を弾ませ
 る。」

を、

「相手の能力を褒めて、会話を弾ませ
 ることができる。」

にすると、立派なCan-doです。

このように言うと、

「いやいや、

 ・できること、できないことが言える。
 ・見える、聞こえるなどの状態が言える。

 って、結局文型ありきのCan-doなんじゃ
 ないか?」

と思われるかもしれません。

ですが、それは違うでしょう。

なぜなら、『みん日』は文型だけを
扱っているわけではなく、

・語彙
・表現
・使用場面
・日本事情

などなど、

さまざまな内容が盛り込まれています。

文型はそのうちの1つにすぎないん
ですね。(もちろん比重は大きいですが)

逆に、私たちは『みん日』に対する
そもそもの捉え方や、授業の進め方を
捉え直す必要があると思います。

今までは、概ね

文型導入(語彙導入含む)

     ↓

 パターンプラクティス

     ↓

    会話活動

     ↓

(コミュニカティブ活動)

だったと思いますが、これを

  目標(Can-do)提示

     ↓

 「会話」を使ったイントロ

     ↓

 文型導入(語彙導入含む)

     ↓

 パターンプラクティス

     ↓

 コミュニカティブ活動

のようにとらえ直すと、「参照枠」
Can-do対応の授業、カリキュラム
になります。

「えっ?

 「会話」を使ったイントロ

 って、何?

 こんなに早くやっても、語彙も
 文型も入ってないからわからない
 んじゃないの?」

そう思われるかもしれません。

いいえ。

『文法翻訳』の中の「会話」の
母語訳を見ながら、

軽く会話を体験する。

ここでは、完璧に分かる必要は
ありません。

だいたい分かればOK。

学習者も母語訳を見ながら
日本語の会話を見るので、

「だいたいここはこういう意味
 だな。

 なるほど、この課を勉強すれば
 こういう会話ができるようにな
 るんだな。」

とわかります。

そうやって、課全体の導入に使う
のです。

実はこれ、オンラインレッスン講座
講師のAkiko先生が使っている指導方法。

先生曰く、

「これを先にしておくと、学習者と
 ゴールを共有できるので、
 後々授業がやりやすいですよ。」

なるほど。

このような話も、2月18日・25日開催の

篠研の篠崎大司セミナー
「ミニ実習授業あり!初級文型指導実践編
−『みんなの日本語 初級II』を中心に−」
https://www.kanjifumi.jp/syokyubunkei_jissen_seminar/

で触れようと思います。

いずれにしても、こういう情報を
知らないと、

先に述べた通り、

「これからは、もう『みん日』は使え
 ないんじゃないか。

 せっかくストックしてきた教材や
 『みん日』に基づいた指導ノウハウが
 使えなくなってしまうのではないか。」

という不安に苛まれ、

事実そうなることになるわけですね。

情弱(情報弱者)は、絶対避けたいもの。

続きは次回に。


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