外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策 (令和7年度改訂)を読む(その11)
引き続き、
「外国人材の受入れ・共生のための総合的
対応策 (令和7年度改訂)」
(以下、「対応策7」)
https://www.moj.go.jp/isa/
を読み込んでいきます。
これまでは、最初から読み込んでいく
スタイルでしたが、
今後は、私たち日本語教師に関わりの深い内容を
選んでご紹介します。
今回は、「II 施策」の中の
「3 ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援
(1)現状及び課題」
です。
ここでは、
ア 「乳幼児期」、「学齢期」及び「青壮年期」
初期
イ 「青壮年期」
ウ 「高齢期」
の3項目について現状と課題を述べています。
とりわけ、アについては非常に詳しく書かれて
います。
政府がいかに児童生徒に対する支援に力を入れよう
としているのかがわかります。
しっかり読み込んでいきましょう。
以下。
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3 ライフステージ・ライフサイクルに応じた
支援
(1)現状及び課題
ア 「乳幼児期」、「学齢期」及び「青壮年期」
初期
・外国人児童生徒等に対する教育は、外国人児童
生徒等の我が国における生活の基礎となるもの
である。
このため、一人一人の日本語能力を的確に把握
しつつ、きめ細かな指導・支援を行うことによ
り、
外国人児童生徒等が必要な学力等を身に付け、
自信や誇りを持って学校生活において自己実現
を図ることができるようにする必要がある。
・公立学校においては、日本語能力を十分に有し
ていないにもかかわらず、
特別の配慮に基づく指導を受けられていない外
国人児童生徒が約1割存在するという実態があ
り、
外国人児童生徒の人数に応じた教員等の数を確
保するとともに、
教員等の資質・能力の向上を図ることが必要不
可欠となっている。
・文部科学省が令和5年度(2023年度)に実施し
た「外国人の子供の就学状況等調査」において、
8,601 人の外国人の子どもが不就学の可能性が
ある、との実態が判明した(調査時点は令和5
年(2023年)5月1日)ことから、
外国人児童生徒の就学機会の適切な確保に向け
て、就学状況の把握・就学促進のための取組を
更に充実させる必要がある。
また、就学促進を図るためにも、学校における
受入れ体制の充実やきめ細かな日本語指導の充
実に取り組む必要がある。
・外国人の幼児については、集団生活を経験しな
いまま義務教育諸学校に入学すると、
集団行動や日本語などが分からず、円滑に学校
生活が送れないなどの弊害が生じる可能性があ
ることから、
幼稚園、保育園等への入園を促進し義務教育諸
学校への就学に円滑につなげることが重要であ
る。
・文部科学省が令和5年度(2023年度)に実施し
た
「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に
関する調査」
により、日本語指導が必要な中学生等の高等学
校等進学率を調査したところ、
90.3パーセント(全中学生等の高等学校進学率
は99.0パーセント)であることが明らかとなっ
た。
また、同調査により、公立高等学校に在籍する
日本語指導が必要な高校生等については中途退
学率が依然として8.5パーセントと高く
(全高校生等の中退率は1.1パーセント)、
大学等への進学率も46.6パーセントにとどまっ
ている(全高校生等の大学等進学率は75.0パー
セント)ことが分かった。
このような状況を踏まえると、外国人高校生等
が高等学校卒業後に進学・就職し、社会人とし
て自立するためには、
高等学校への入学促進や、高等学校での日本語
指導・教科指導を充実することに加えて、
進路指導やキャリア教育、相談支援の充実を図
ることも必要である。
・就学の促進、高等学校の中途退学の防止等の観
点から、
保護者が就学・進学の重要性を十分に理解して
いることが肝要であるため、
来日前における就学情報等の提供、プレスクー
ル等の機会を捉えて、
子どもの将来の可能性について、保護者に情報
が提供される仕組みが必要である。
イ 「青壮年期」
・留学生をはじめとする外国人が我が国で就労し、
定着するためには、
日本語能力のみならず、我が国の企業文化・価
値観・雇用慣行等への理解を深めることが重要
である。
・外国人労働者は、我が国の労働法制・雇用慣行
等に関する知識不足、
言語・コミュニケーション能力や慣習の相違等
から、
労働条件・解雇等に関するトラブル等が生じや
すい。
ウ 「高齢期」
・高齢の外国人を取り巻く実態や課題が十分に把握
できていない状況にある。
・年金制度においては、法令に規定する適用要件に
該当すれば、国籍を問わず国民年金及び厚生年金
保険に加入し保険料を納付する必要があり、
納付月数が少ない者に対しては、任意加入制度等
の利用により、
年金の確保が図られているところ、こうした制度
も含め、現役世代の段階から周知していく必要が
ある。
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> 就学の促進、高等学校の中途退学の防止等の観
> 点から、
>
> 保護者が就学・進学の重要性を十分に理解して
> いることが肝要である
これは、私も強く感じます。
基本的に社会的弱者である児童生徒を、第二言語
環境に放り込むということは、
言語習得的にも認知発達的にも大きなリスクや
ハンデを背負わせることになります。
それをしっかりカバーするためには、保護者の
理解と積極的な働きかけが欠かせません。
私たち日本語教師にとっては、当たり前の
臨界期仮説や閾説をしっかり伝え、
学齢期の言語習得がその子供の一生に関わる
重要なものであるということを伝える必要が
あると思います。