「日本語教育推進基本方針」(令和7年改定)を読む(その3)
今回も
日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ
効果的に推進するための基本的な方針
https://www.mext.go.jp/a_menu/
3回目の今日は、
「第1章 日本語教育の推進の基本的な方向」
ここは、本方針の骨格にあたる部分ですので
非常に重要です。
丁寧に読み込んでいく必要がありますね。
以下。
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第1章 日本語教育の推進の基本的な方向
1 日本語教育推進の目的
日本語教育の推進は、我が国に居住する外
国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円
滑に営むことができる環境整備に資するとと
もに、
我が国に対する各国・地域の理解と関心を深
める上で重要である。
また、日本語教育に関する施策を総合的か
つ効果的に推進することは、
多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実
現に資するとともに、
各国・地域との交流の促進、友好関係の維持
・発展に寄与する。
日本語教育の推進に当たっては、次の(1)
から(7)の基本理念にのっとり、日本語教
育の推進に関する施策を総合的に策定し、実
施していく必要がある。
(1)日本語教育の推進は、日本語教育を受
けることを希望する外国人等に対し、
その希望、置かれている状況及び能力に
応じた日本語教育を受ける機会が最大限
に確保されるよう行われなければならな
い。
(2)日本語教育の推進は、日本語教育の水
準の維持向上が図られるよう行われなけ
ればならない。
(3)日本語教育の推進は、外国人等に係る
教育及び労働、
出入国管理その他の関連施策並びに外交
政策との有機的な連携が図られ、総合的
に行われなければならない。
(4)日本語教育の推進は、国内における日
本語教育が地域の活力の向上に寄与する
ものであるとの認識の下に行われなけれ
ばならない。
(5)日本語教育の推進は、海外における日
本語教育を通じて我が国に対する諸外国
の理解と関心を深め、
諸外国との交流を促進するとともに、
諸外国との友好関係の維持及び発展に寄
与するよう行われなければならない。
(6)日本語教育の推進は、日本語を学習す
る意義についての外国人等の理解と関心
が深められるように配慮して行われなけ
ればならない。
(7)日本語教育の推進は、我が国に居住す
る幼児期及び学齢期(満6歳に達した日
の翌日以後における最初の学年の初めか
ら満15歳に達した日の属する学年の終わ
りまでの期間をいう。)にある
外国人等の家庭における教育等において
使用される言語の重要性に配慮して行わ
れなければならない。
2 国及び地方公共団体の責務
国は、日本語教育推進法に基づき、日本語
教育の推進に関する施策を総合的に策定、実
施する責務を有するとともに、
必要な法制上の措置、財政上の措置その他の
措置を講じなければならない。
なお、日本語教育の状況及び政府が講じた施
策に関して資料を作成し、
ウェブサイトへの掲載等の適切な方法により
公表する。
地方公共団体は、日本語教育推進法に基づ
き、
国との適切な役割分担を踏まえ、地域の状況
に応じて日本語教育の推進に関する施策を策
定、実施する責務を有する。
3 事業主の責務
事業主は、日本語教育推進法に基づき、国
又は地方公共団体が実施する日本語教育の推
進に関する施策に協力するとともに、
その雇用する外国人等及びその家族に対し、
職務又は生活に必要な日本語を習得するため
の学習の機会の提供その他の日本語学習に関
する支援に努めることが求められる。
4 関係省庁・関係機関間の連携強化
国内外における日本語教育が適切に行われ
るためには、
関係省庁や関係機関が連携し、日本語教育の
推進に関する取組を進めていくことが重要で
ある。
国内においては、国及び地方公共団体は、
関係省庁相互間やその他関係機関、
日本語教育を行う機関、事業主、外国人等の
生活支援を行う団体等の関係者相互間の連携
強化や必要な体制の整備に努める。
また、海外においては、日本語教育が各国
・地域の状況に応じて適切に行われることに
加えて、持続的に行われることが必要である。
このため、国は、独立行政法人国際交流基金
(以下「JF」という。)、独立行政法人国
際協力機構(以下「JICA」という。)、
日本語教育を行う機関、各国・地域の行政機
関及び教育機関、日本語教師会、日本企業、
日本人及び日系人コミュニティ、帰国留学生
会等との連携強化や必要な体制の整備に努め
る。
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これを読まれた方は、
「ん?これ、日本語教育の推進に関する法律
の目的、基本理念、国の責務等のことじゃ
ない?」
と思われたかもしれませんね。
おっしゃる通りです。
「1 日本語教育推進の目的」の最初のくだり
は、
推進法第一条の「目的」ですし、
(1)〜(7)は、推進法の第三条にある
基本理念そのままです。
また、「2 国及び地方公共団体の責務」
以下は、推進法の第四条〜第九条あたりの
「国の責務等」そのままです。
本方針は、推進法をより具体的に書いたもの
ですので当然といえば当然です。
とはいえ、こうしたものをしっかり読んで
おくことは、
国がこれからどういう方向に進もうとして
いるのか、
そして、それが数年後の未来をどう映し出
そうとしているのかを理解する上で非常に
重要です。
その近い未来のために、私たちはしっかり
準備をしていけばいいわけですから。