「日本語教育推進基本方針」(令和7年改定)を読む(その4)
今回も
日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ
効果的に推進するための基本的な方針
https://www.mext.go.jp/a_menu/
4目の今日は、
「第2章 日本語教育の推進の内容に関する事項」
の中の
1 日本語教育の機会の拡充
(1)国内における日本語教育の機会の拡充
ア 外国人等である幼児、児童、生徒等に対する
日本語教育
です。
児童生徒に対する日本語教育を筆頭にあげて
いること、
そして、他の属性の外国人より内容が多いこと
から、
いかに児童生徒に対する日本語教育を重視し、
そして力を入れているのかが分かります。
以下。
====================
第2章 日本語教育の推進の内容に関する事項
1 日本語教育の機会の拡充
(1)国内における日本語教育の機会の拡充
ア 外国人等である幼児、児童、生徒等に対
する日本語教育
我が国に在留する外国人が増加する中、学校
に在籍する外国人の子供の数も年々増加してい
る。
また、国際結婚家庭を中心に、日本国籍ではあ
るが日本語能力が十分でない子供も増加してお
り、
複数の言語環境にあって日本語指導が必要な児
童生徒は合わせて約6.9万人2となっている。
さらに、出身国の多様化を背景として、これら
の児童生徒の母語についても多言語化が進んで
いるほか、
特定の地域への集住化や、散在化が見られるな
ど、
外国人児童生徒等をめぐる状況については従前
にも増して複雑な様相を呈している。
加えて、約8,600人の外国人の子供たちが就学
していない可能性がある、
又は就学状況が確認できていない状況にあると
いう実態が明らかとなった。
子供たちが生活の基礎を身に付け、その能力を
伸ばし、未来を切り 拓ひらくことができる
ようにするためには、
適切な教育の機会が確保されることが不可欠で
あり、
外国人等の子供の就学促進、学校への受入れ体
制の整備、日本語指導・教科指導、生活指導、
進路指導等の充実のために必要な施策を講ずる。
その際、母語・母文化の重要性や、保護者への
教育に関する理解促進、
外国人等の子供自身の意見の重要性についても
留意する。
また、こうした施策を通じて、日本人と外国人
の子供が共に学ぶ環境を創出することにより、
国際的な視点を持って社会で活躍する人材を育
成するとともに、活力ある共生社会の実現に資
する。
【具体的施策例】
・日本語指導が必要な児童生徒に対する「特別
の教育課程」の制度の活用や、
児童生徒の資質・能力を育成するための日本
語と教科の統合学習を含む体系的・専門的な
指導の充実を推進する。
・外国人児童生徒等の「ことばの力」を多角的
かつ包括的に捉え個に応じた学習・指導計画
を立てるためのアセスメントツールについて、
「日本語教育の参照枠」との関連性を整理す
るとともに、周知等を行い、普及を図る。
・外国人児童生徒等の公立学校における受入れ
・支援体制を充実させるため、日本語指導に
必要な教員について、
「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員
定数の標準に関する法律」(昭和33年法律
第116号)
の規定に基づき安定的に確保するとともに、
日本語教育機関認定法第17条第1項に基づき
文部科学大臣の登録を受けた者(以下「登録
日本語教員」という。)をはじめとする日本
語指導補助者や母語支援員の活用、
日本語教育のコーディネーターの役割を果た
す人材の配置など地方公共団体における指導
体制の構築を支援する。
また、初期集中支援等の取組や多言語翻訳シ
ステム等のICTを活用した支援、
日本人と外国人が共に学び理解し合える授業
の実施や母語・母文化に配慮した取組、
地域の関係機関との連携等を推進する。
・系統的な日本語指導を実践するための体制を
整備するとともに、
外国人児童生徒等の教育に携わる教師等の資
質能力の向上を図るため、
養成段階における取組を推進するほか、
地方公共団体等が実施する研修の充実や、研
修指導者の養成、学校管理職の理解促進、
教員免許と登録日本語教員の資格の両方の取
得を目指す養成課程の設置促進、
登録日本語教員の資格を持つ教師の採用・登
用促進等の支援を行う。
特に、幼児教育段階においては、幼児期の発
達の特性、母語・母文化の重要性及び小学校
教育との接続に留意した指導の充実が図られ
るよう取組を推進する。
・外国人児童生徒等に対し、将来を見通した進
路指導が提供されるよう、
キャリア教育等の包括的な支援を進める。
また、全ての都道府県において、公立高等学
校入学者選抜における帰国・外国人生徒等の
特別定員枠の設定等、
特別な配慮が図られるよう促す。
・障害のある外国人児童生徒等が適切な教育を
受けられるよう、
特別支援教育の担当教師が、外国人児童生徒
等に係る支援について学ぶことのできるよう
必要な措置を講ずる。
・全ての外国人の子供の就学機会が確保される
ことを目指し、
住民基本台帳部局、国際交流部局、福祉部局
等の行政機関内及びNPOや外国人学校と
いった地域の関係機関との連携を図りつつ、
地方公共団体における就学状況の把握や保護
者への情報提供・支援、就学促進のための取
組を促進する。
また、就学機会の確保のために、地方公共団
体が講ずべき事項を指針として策定するほか、
来日前も含め外国人の子供やその保護者に向
けて日本語教育や日本の教育制度等について
情報発信を行う。
・学校における外国人児童生徒等の受入れ体制
を整備する地方公共団体の取組の支援等を通
じ、
日本人を含む全ての児童生徒等が、我が国の
言語や文化に加えて、
多様な言語や文化、価値観についても理解し、
互いを尊重しながら学び合えるような環境づ
くりの取組を促進する。
・夜間中学は、生徒の約6割を外国籍の者が占
めており、
本国や我が国において義務教育を十分に受け
られなかった者にとって、社会的・経済的自
立に必要な知識・技能等を修得し得る教育機
関である。
このため、
「義務教育の段階における普通教育に相当す
る教育の機会の確保等に関する法律」
(平成28年法律第105号)
や
「第4期教育振興基本計画」(令和5年6月
16日閣議決定)
等に基づき、
全ての都道府県や指定都市に少なくとも一つ
の夜間中学が設置されるよう新設準備に伴う
ニーズの把握や設置に向けた取組の支援、
地方公共団体向けの研修会の開催や広報活動
の充実を通じてその促進を図る。
また、夜間中学における日本語指導の留意点
をまとめたガイドラインの作成に向け、
関係者等の協力を得つつ調査研究を実施する。
・幼児、児童、生徒等を含む外国人等の日本語
教育環境を強化するため、
都道府県及び指定都市が行う地域における日
本語教育(以下「地域日本語教育」という。)
の総合的な体制づくりを推進する。
また、幼児、児童、生徒及び保護者等を含む
外国人等に対する地域における日本語の学習
機会を確保するための取組及びICTを活用
した遠隔教育等の先進的取組を支援する。
====================
これを読むだけで、これからの児童生徒に対する
日本語教育が大きく変わっていくことが分かり
ます。
今後、学校教育にどんどん登録日本語教員が
関わっていくでしょうし、
大学の教員養成にも登録日本語教員の資格を
持った教員が投入され、
「外国人児童生徒に対する日本語教育」科目
が展開されるでしょう。
また、「日本語教育の参照枠」の児童生徒版
Can doが開発され、
それを使うための教師研修や現場への導入が
進められていくでしょう。
そう考えれば、「登録日本語教員」資格は
日本語教師にとっては必須の資格になって
きますね。
先回りして準備をしておくのがいいと思います。