「日本語教育推進基本方針」(令和7年改定)を読む(その7)

今回も

日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ
効果的に推進するための基本的な方針
https://www.mext.go.jp/a_menu/nihongo_kyoiku/mext_03336.html

7回目の今日は、

「第2章 日本語教育の推進の内容に関する事項」

の中の

1 日本語教育の機会の拡充

(2)海外における日本語教育の充実

の中の

 ア 海外における外国人等に対する日本語教育

 イ 海外に在留する邦人の子等に対する日本語教育

です。

つい先日発表された国際交流基金
(JF)の

2024年度 海外日本語教育機関調査
https://00m.in/zHtzQ

によると、世界の日本語学習者が初めて
400万人を超え、

機関数、教師数、学習者数ともに過去最高を
記録しました。

海外では、日本語教育が非常に盛んになって
いるんですね。

また、海外在住の日本人児童生徒に対する
日本語教育も、

文部科学省はこれまで以上に力を入れて
来ています。

今回も見逃せない内容です。

しっかり読み込んでいきましょう。

以下。

====================

(2)海外における日本語教育の充実

ア 海外における外国人等に対する日本語教育

 海外において外国人等に対して日本語教育
を行うことは、

我が国への理解と関心を増進し、我が国と各国
・地域との間の交流の担い手を育成するという、
外交上の観点からも重要である。

また、外国人等の日本企業への就職や我が国の
大学等への留学、我が国における生活等の円滑
化にも寄与するものである。

主要国がそれぞれ自国言語の国際的な普及に努
めている中で、

我が国が海外における日本語教育の推進におけ
る取組を怠れば、

外交面、経済面その他の不利益を被るおそれが
ある。

日本文化への関心、我が国における就労や留学
等、海外における日本語の学習目的が多様化す
る中で、

各国・地域の状況に応じて日本語教育が持続的
かつ適切に行われ、

より多くの者に日本語教育の機会が提供できる
よう、関係省庁が適切に連携し、

また、国内外の関係機関や団体との連携・協力
に努めつつ、現地の日本語教育体制及び教育基
盤の整備のために必要な施策を講ずる。

【具体的施策例】

・JFを通じ、各国・地域に日本語教育の専門
 家を派遣し、現地の行政機関や日本語教師育
 成機関、日本語教育を行う機関等と連携し、

 海外において日本語教育を行う上で重要な役
 割を担う現地の日本語教師の養成やその日本
 語教授能力の向上、

 日本語教師の養成を担える人材の養成を目的
 とする研修及び助言等を行うとともに、

 現地の日本語教師が我が国において実施され
 る研修に参加する機会を提供する。

・JFを通じ、各国・地域の初等・中等・高等
 教育機関や日本語教育を行う機関で学習する
 者、

 就学や就労等を目的として日本に居住予定の
 者、

 居住地の近隣に日本語教育を行う機関が存在
 しない者等、

 学習者ごとの形態に合わせて利用できる教材
 (インターネット上の教材を含む。)を開発
 ・提供すると同時に、

 学習者のニーズに応じた多様な教材を提供す
 るという観点から、

 日本語教育を行う機関等が独自に教材を開発
 しようとする場合には支援を行う。

・JFを通じ、外国人等が日本語を学習する場
 を安定的に提供する観点及び日本語教育の質
 の向上を図る観点から、

 各国・地域の日本語教師会や学会、初等・中
 等・高等教育機関や就労のため来日する外国
 人を対象に日本語教育を行う機関の活動に対
 して、

 日本語教育を継続するために必要な教師の雇
 用や教材調達、日本語教育関連の催しの開催
 等に必要な経費の一部を助成するほか、

 JFが派遣する日本語教育の専門家等の媒介
 により機関間・日本語教師間のネットワーク
 を強化し、

 教授法や教材等の情報共有及び相互協力を促
 す。

・JFを通じ、外国人等が継続して日本語の学
 習を続けるための意欲の維持及び向上が図ら
 れるよう、

 学習奨励事業として、各国・地域の日本語教
 育を行う機関が実施する日本語弁論大会等の
 催しの開催への協力や

 学習者が我が国において実施される研修に参
 加する機会を提供するなどの支援を行う。

 また、各国・地域における日本語教育の開始
 や継続実施を促すため、これらの学習奨励事
 業も活用しつつ、

 JF及び必要に応じ在外公館を通じ、外国語
 教育の政策決定者・教育関係者に対して日本
 語教育実施について不断の働きかけを行う。

・将来にわたって親日派・知日派が育成される
 よう、

 JFを通じ、職務上日本語の学習を必要とす
 る各国の外交官、公務員、研究者等が我が国
 において実施される研修に参加する機会を提
 供する。

・JF等を通じ、経済連携協定に基づき受け入
 れる看護師・介護福祉士候補者に訪日前から
 日本語研修を行うことで、

 生活に必要な日本語を身に付けるだけでなく、

 病院・介護施設等の受入施設における就労・
 研修活動に円滑に従事できるよう専門分野に
 関する基礎的な日本語学習機会を提供する。

・JFを通じ、特に中等教育段階で日本語学習
 者が多い東南アジアを中心とするアジア各国
 ・地域に、

 日本語母語話者を日本語教師や学習者のパー
 トナーとして派遣することにより、日本語授
 業の運営を支援するとともに、

 日本文化の紹介を通じて日本語学習の意欲を
 向上させ、現地の日本語教育振興を推進する。

・外国人等が日本語を学習する大きな動機の一
 つに我が国の文化に対する関心が挙げられる
 ことから、

 現時点で日本語教育が行われていない国・地
 域も含め、海外における日本語学習への関心
 の喚起を目的として、

 JFを通じ、伝統文化からポップカルチャー
 まで、我が国の文化の魅力を伝える文化発信
 ・文化交流のための取組を併せて推進する。

・我が国への留学を希望する者が我が国の大学
 等で教育を受けるために必要な水準の日本語
 を習得することができるよう、

 大学等の海外拠点や在外の関係機関と連携し、

 現地の中核的な日本語教育機関をはじめとし
 た機関における日本語教育体制及び教材など
 の基盤整備の支援を行う。

・海外における日本語教育については、民間企
 業や日本語教育を行う機関など民間の団体が
 果たす役割も大きいため、

 官民を挙げて海外における日本語教育を一層
 推進する観点から、民間団体との連携に向け
 た検討を進める。

・開発途上国からの要請に基づき、JICAを
 通じ、同国の経済・社会の発展、復興への寄
 与を目的として、

 現地各機関のニーズに応じた日本語教育に協
 力するJICA海外協力隊を引き続き派遣す
 る。

イ 海外に在留する邦人の子等に対する日本語
  教育

 海外在留邦人の子に対する日本語教育は、将
 来、日本へ帰国した際の就学や就職等に当
 たっての備えとしても重要である。

 さらに、海外に移住した邦人の子孫等は、我
 が国と在留国との間の交流や在留国における
 親日層の拡大における活躍に加えて、

 多様な言語・文化背景を持つグローバル人材
 としての活躍が期待できる。

 こうした点を踏まえ、これらの者が日本を
 ルーツに持つことを認識し、我が国に関する
 理解を深めることを促すため、

 また、これらの者が自身のルーツや置かれた
 環境を肯定的に捉えながら自ら未来を切り拓
 くことができるようにするため、

 これらの者に対する日本語教育支援に必要な
 施策を講ずる。

【具体的施策例】

・海外に移住した邦人の子孫、外国人と日本人
 を両親に持つ子に対する日本語教育環境につ
 いて、

 JFを通じ、日本語学習の形態、日本語教育
 を行う機関の現状や課題等、その実態の把握
 に努め、

 教材作成支援やネットワーク構築等、現地の
 日本語教育を行う機関等と連携しつつ必要な
 支援を実施する。

・海外在留邦人学齢児童生徒に対し、国内の義
 務教育教科書無償給与制度の趣旨に沿って教
 科書の無償給与を行うとともに、

 在外教育施設における教育環境機能の強化を
 図るため、

 教師の派遣、校舎借料・現地採用教師給与・
 安全対策費への援助、教材整備等の支援を行
 う。

・在外教育施設における、登録日本語教員の支
 援員としての活用について検討を行い、必要
 な施策を講じる。

・中南米地域の移住者等により構成された団体
 の実施する日本語教育を支援するため、

 これらの団体が実施する日本語教育の実態の
 把握に努め、

 JICAを通じて、JICA海外協力隊を中
 南米の日系社会にある日本語学校に派遣し、

 現地教師の日本語運用能力や指導技術向上、
 日系人の子供等を対象とした日本語の授業、

 日本文化紹介、日本語関連のイベント等を行
 うほか、

 日本国内におけるレベル別の研修を通じた現
 地日本語教師の育成や、同団体に対する助成
 金の交付を行う。

====================

これを読んで、いかに海外での日本語教育を
国際交流基金がしっかり担っているのかという
ことが分かります。

海外の公的機関、民間、個人等、幅広く
アプローチをかけているのが分かりますし、

海外での日本語教師の雇用への助成までする
というのは、私たち日本語教師にとってあり
がたい話だと思います。

また、海外子女教育においても、

>登録日本語教員の支援員としての活用につ
>いて検討

とあることから、やはり登録日本語教員資格
は、重要な資格になり得ると考えられます。

私自身、登録日本語教員の資格をさっさと
取っておいてよかったと思います。

まだ資格を取得なさっていない方は、
早めに取られることをお勧めします。

遅れれば遅れるほど、市場の席はどんどん
埋まっていってしまうわけですから。


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  海外にお住まいの方は「ベトナム(ホーチミン)」のようにお書きください。