「日本語教育推進基本方針」(令和7年改定)を読む(その8)
今回も
日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ
効果的に推進するための基本的な方針
https://www.mext.go.jp/a_menu/
8回目の今日は、
「第2章 日本語教育の推進の内容に関する事項」
の中の
2 国民の理解と関心の増進
と
3 日本語教育の水準の維持向上等
です。
日本人にとっても外国人にとっても
暮らしやすい共生社会を実現するため
には、
外国人に対する教育だけでなく、
受け入れる私たち日本人もいろいろと
学んでいかなければなりません。
しかも、それを負担として捉えるので
はなく、
その学びそのものが生活を豊かにする
ような仕掛けが必要ではないかと
思います。
ともあれ、しっかり読み込んでいきま
しょう。
以下。
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2 国民の理解と関心の増進
外国人等が社会の一員として受け入れられ、
社会に参加して共生していくためには、
日本語能力を身に付け、日本語により円滑に
意思疎通できるようになることが必要である。
日本語教育は住みやすい地域づくりや地域の
活性化につながる基盤であり、日本社会に
とって大きな意義を有する。
そのため、国民の理解と関心を増進するため
に必要な措置を講ずる。
【具体的施策例】
・外国人等が生活していく上で必要となる日
本語能力を身に付けるためには日本語教育
環境を強化することが非常に重要であるこ
とから、
日本語教育に関する最新情報・先進事例等
を共有する日本語教育大会を開催するとと
もに、
地域日本語教育に関連する会議の開催、各
地における地域日本語教育のシンポジウム
等の開催支援、
地域住民が参画する日本語教育プログラム
実施の支援等を行い、
国民に日本語教育の重要性の理解を深めて
もらう機会を提供する。
・全国の都道府県、指定都市、中核市等の日
本語教育担当部署の窓口を文部科学省ウェ
ブサイトに掲載するとともに、
地方公共団体に対し、各地の日本語教室等
の情報一覧をはじめとする地域日本語教育
に関する情報を周知するための支援を行う。
・日本語教育に関する教材、カリキュラム、
報告書、施策資料等の日本語教育コンテン
ツを収集し、
横断的に検索できる
「日本語教育コンテンツ共有システム
(NEWS)」
を公開・運用する。
3 日本語教育の水準の維持向上等
(1)日本語教育を行う機関における日本語
教育の水準の維持向上
我が国における日本語教育については、教
育の質の確保のための仕組みが不十分である
ことや、
日本語学習者等が日本語教育機関を選択する
際に教育水準について正確で必要な情報を得
ることが困難であること等が指摘されてきた。
こうした課題に対応するため、日本語教育機
関認定法により、
令和6年度から、日本語教育機関のうち一定
の要件を満たすものを文部科学大臣が認定す
る、日本語教育機関認定制度が創設された。
日本語教育機関認定制度を着実に実施する
とともに、
認定日本語教育機関における日本語教育の質
を向上させるために必要な施策や、
関係省庁が連携した認定日本語教育機関の活
用を促進する措置を講ずる。
【具体的施策例】
・認定日本語教育機関認定基準等に基づく認
定日本語教育機関の認定の審査や、
認定日本語教育機関による定期報告、認定
日本語教育機関に対する実地視察等、
日本語教育機関認定制度を着実に実施する。
・育成就労制度において受入れ機関に対し育
成就労外国人に認定日本語教育機関等にお
ける講習機会を提供することを義務付ける
等、
認定日本語教育機関が実施する日本語教育
課程を、国の各種制度等に位置付けること
により、認定日本語教育機関の活用を促す。
・国が運用する「日本語教育機関認定法ポー
タル」による日本語教育関係者に向けた認
定日本語教育機関等についての情報発信や、
関係省庁が連携した関係者への周知により、
認定日本語教育機関等の活用を促す。
・認定日本語教育機関が企業や地方公共団体、
大学・専門学校等と連携し、
教育投資を得ながら質の高い日本語教育を
提供するモデルの構築・普及等により、
認定日本語教育機関の教育の質の更なる向
上を図る。
・JFを通じ、日本語教育の専門家等を海外
に派遣するとともに、
現地の教育行政機関と協力してカリキュラ
ム及び教材の開発普及、日本語教師養成
コースの設置等を進める。
また、海外の日本語教育を行う機関の教育
水準を維持向上させるために必要な教師の
雇用や教材調達、
日本語教育関連の催しの開催等に必要な経
費を助成するほか、
機関間のネットワークを強化し、教授法や
教材等の情報共有及び相互協力を促す。
(2)日本語教育に従事する者の能力及び資
質の向上等
日本語教育機関認定法により、令和6年度
から新たに登録日本語教員制度が創設された。
日本語教育を行うために必要な知識及び技能
についての日本語教員試験に合格し、
同法第45条第1項に規定する登録実践研修機
関(以下単に「登録実践研修機関」という。)
が実施する実践研修を修了した者を、
文部科学大臣が登録日本語教員として登録す
るとともに、
同法第61条に基づき文部科学大臣の登録を受
けた者(以下「登録日本語教員養成機関」と
いう。)が実施する養成課程を修了した者は
日本語教員試験の一部が免除されることと
なった。
国内における多様な背景を持つ外国人等の
受入れの進展や海外における日本の社会や文
化への関心の高まり等を背景として、
国内外での日本語学習ニーズの増大によって
日本語教育がより一層必要とされている中、
登録日本語教員をはじめとする日本語教育人
材の質的及び量的な確保を図ることが必要で
あり、
そのためには日本語教師の専門性が社会にお
いて適切な評価を受ける環境の整備が重要で
ある。
これを踏まえ、登録日本語教員制度の着実
な実施、
登録日本語教員の活用促進、登録日本語教員
を養成する機関の質の向上並びに日本語教育
人材の資質・能力を向上させるための研修の
実施のために必要な措置を講ずる。
【具体的施策例】
・日本語教員試験の実施や、登録日本語教員
を養成する登録実践研修機関及び登録日本
語教員養成機関の文部科学大臣による登録、
登録後の実地視察等、登録日本語教員制度
を着実に実施するとともに、
登録実践研修機関や登録日本語教員養成機
関の質の向上や、
教員免許と登録日本語教員の資格の両方の
取得を目指す課程等、特色のある養成課程
の充実を図る。
また、日本語教員試験については、受験機
会の拡大等のため、
コンピュータ・ベースド・テスティング
(CBT)方式による実施について検討す
る。
・「日本語教育機関認定法ポータル」におい
て登録日本語教員についての情報を発信し、
登録日本語教員のキャリア形成を支援する
とともに活用を促す。
・外国人児童生徒に対する日本語教育体制を
充実するための学校における登録日本語教
員の活用促進や、
海外の日本語教育における登録日本語教員
の活用等、
認定日本語教育機関に限らない場での登録
日本語教員の活用を促す。
・「日本語教育人材の養成・研修の在り方に
ついて(報告)改訂版」( 平成31 年3月
文化審議会国語分科会日本語教育小委員会)
に示された教育内容等に基づき、
生活者としての外国人、留学生、児童生徒
等、
就労者、日本語学習支援者等に対する日本
語教育人材の研修の普及を図り、
日本語教育人材の能力の向上やキャリア形
成を支援する。
・日本語教師の養成を行う大学等を中心とし
たネットワークの構築により、
日本語教師養成・研修の地域的な拠点を整
備する。
・地域日本語教育において直接日本語を指導
する登録日本語教員等に対する研修や、
地域の関係機関(地方出入国在留管理局、
経済団体、大学、認定日本語教育機関、
NPO等)との連携や地域日本語教育推進
の中核を担い、
日本語教育プログラムの編成及び実践に携
わる地域日本語教育コーディネーターに対
する研修を実施する。【再掲】
・国の政策動向、地域日本語教育の総合的な
体制づくりや日本語教室空白地域解消等の
優良事例等の情報共有や周知を図るため、
地方公共団体の日本語教育担当者に対する
研修を実施する。【再掲】
・JFを通じ、日本語教師の養成を行う大学
等による学生の海外実習等の取組を支援す
るとともに、
各種海外派遣プログラムにより登録日本語
教員を始めとする日本語教育人材が海外で
活躍する機会を提供する。
・JF等を通じ、現地の日本語教師に対する
研修会の支援、現地日本語教師の訪日研修
等を実施するとともに、
日本語教育の専門家等による日本語教育を
行う機関に対する巡回指導等を行うことで、
外国人等である日本語教師の能力及び素質
の向上を支援する。
・JICAを通じ、帰国したJICA海外協
力隊員が日本国内の各地域における日本語
教育人材として活躍するための支援を行う。
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今回は、そんなに目新しいものはないかなぁ
といった印象です。
・認定日本語教育機関の活用
・登録日本語教員制度の運用と登録日本語
教員の活用
これを強く推しています。
私たちにとっては、非常に追い風ですね。
日本語教員試験のWEB受験が検討されますが、
同時に年2回の実施も検討されているそう
です。
受験機会が増えるのは、いいことだと思い
ます。
文部科学省もこれだけ先の見通しの資料を
公開しているわけですから、
私たちもそれに合わせてしっかり準備を
していきたいですね。