「日本語教育推進基本方針」(令和7年改定)を読む(その9)

今回も

日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ
効果的に推進するための基本的な方針
https://www.mext.go.jp/a_menu/nihongo_kyoiku/mext_03336.html

9回目の今日は、

「第2章 日本語教育の推進の内容に関する事項」

の中の

4 教育課程の編成に係る指針の策定等

5 日本語能力の評価

です。

教育課程の編成、日本語能力の評価と
言えば、

「日本語教育の参照枠」

が思い浮かびますが、

本報告では、「参照枠」との関連を
どう述べているのでしょうか。

しっかり読み込んでいきましょう。

以下。

====================

4 教育課程の編成に係る指針の策定等

 我が国に在留する外国人等にとって、自立
した言語使用者として生活していく上で必要
となる日本語能力を身に付け、

日本語で意思疎通を図り、生活できるように
なることが必要であるが、

出身、文化、年齢、在留資格、職業、滞在目
的等の多様化が進み、

日本語の学習を希望する外国人等が望む日本
語教育は一様ではない。

国内外を行き来する多様な日本語学習者及び
日本語教師をはじめとする全ての日本語教育
関係者が参照し、

生活、就労、留学といった外国人の活動状況
に対応した日本語教育の基準や目標を定める
ことを可能とするため、

学習、教授、評価に係る日本語教育の包括的
な枠組みとして

「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)」
      (以下「CEFR」という。)

を参考にした

「日本語教育の参照枠」

が示された。

 国内外において、また、ライフコースの全
体を通じて、

外国人等が自身の日本語の習得段階に応じた
適切な日本語教育を受けられるようにするた
め、

「日本語教育の参照枠」が多様な日本語教育
の現場において共通の指標として用いられ、

日本語教育関係者や日本語学習者がお互いの
教育実践をめぐる知見を共有し連携すること
により、

日本語教育の質の更なる向上が図られること
が重要であることを踏まえ、

「日本語教育の参照枠」等を普及させるため
の措置を講ずる。

【具体的施策例】

・社会通用性を高めるため、国内外の日本語
 教育機関や地方公共団体・経済団体・企業、

 登録日本語教員をはじめとする日本語教育
 に携わる者等に対して、

 「日本語教育の参照枠」の理解を促進する
 ための周知等を行う。

・国内外における日本語教育が円滑に行われ
 るよう、

 在留資格制度をはじめとする国の各種制度
 における日本語能力要件等について、

 「日本語教育の参照枠」に基づいたものと
 し、制度及び教育環境の整備を行う。

・日本語教育機関等における日本語教育プロ
 グラム編成が適切に行われるよう、

 「「日本語教育の参照枠」の活用のための
  手引」(令和4年2月文化審議会国語分
  科会日本語教育小委員会「日本語教育の
  参照枠」の活用に関するワーキンググ
  ループ)

 や「日本語教育の参照枠」を活用した教育
 モデルの普及等により、
 
 「日本語教育の参照枠」に基づくカリキュ
 ラム作成や評価等の実施を促進する。

・日本語教育機関認定制度において、「日本
 語教育の参照枠」を参照して教育課程を編
 成及び実施する機関を認定日本語教育機関
 として認定し、

 「日本語教育の参照枠」に関する基本的な
 理解を含めた、

 日本語教育を行うために必要な知識及び技
 能を有する者を登録日本語教員として登録
 する。

・「日本語教育の参照枠」を踏まえて作成さ
 れた、

 生活場面において日本語使用が想定される
 「生活上の行為の事例」を言語活動別に例
 示した生活分野における言語能力記述文で
 ある「生活Can do」の普及を目指し、

 地方公共団体や地域日本語教育を行う日本
 語教育機関等に対して活用促進を行う。

・日本語教育を受ける者の日本語能力や目的
 に応じた効果的かつ適切な教育が行われる
 よう、

 JFを通じ、CEFRを参考にした「日本
 語教育の参照枠」と考え方を共有する

 「JF日本語教育スタンダード」

 の提供、

 指導方法や教材(インターネット上の教材
 を含む。)の開発及び普及等の取組を行う。

5 日本語能力の評価

 外国人等の日本語能力を判定する方法とし
て国内外で様々な日本語能力を判定する試験
が実施されている。

各試験が判定する日本語能力についての共通
の指標として「日本語教育の参照枠」が整備
され、

日本語能力の判定試験等と「日本語教育の参
照枠」の対応付けの手続きが示された。

 日本語能力が求められる様々な分野におけ
る外国人等の活動が拡大し、

学習・教育内容や方法の多様化が進む中、

外国人等の利便性を高め、また、外国人等を
受け入れる者による外国人等の日本語能力の
把握を容易にするためにも、

日本語能力の判定試験等と「日本語教育の参
照枠」の対応付けを促進する必要がある。

 また、認定日本語教育機関の教育課程をは
じめとする日本語教育の現場においては、

それぞれの状況に応じて試験やそれ以外の手
法を活用して

「日本語教育の参照枠」に基づく学習者の日
本語能力の評価が適切に行われることが重要
である。

 このため、「日本語教育の参照枠」に基づ
く日本語能力の評価の普及に向けて、必要な
施策を講ずる。

【具体的施策例】

・日本語能力の判定試験等の対応付けの手続
 きを含めた「日本語教育の参照枠」につい
 て、周知を行う等により普及を図る。

・「日本語教育の参照枠」を活用した教育プ
 ログラム受講者の評価手法や「日本語教育
 の参照枠」のレベルごとの学習者の産出能
 力に関する事例等について調査研究を行う。

・国内外で実施されている「日本語能力試験」
 (JLPT)について、CEFRレベルの
 参考表示等、

 「日本語教育の参照枠」との対応付けのた
 めの施策を講じつつ、関係省庁や関係機関
 が連携し、適正に実施する。

 在留資格「特定技能」による外国人の円滑
 な受入れ実現のため、

 CEFR及び「JF日本語教育スタンダー
 ド」に基づき開発した

 「国際交流基金日本語基礎テスト」
         (JFT−Basic)

 を適正に実施するとともに、

 育成就労制度の立上げに向けて必要となる
 試験について、開発を推進する。

====================

やはり「日本語教育の参照枠」の普及を
強く謳っていますね。

この参照枠の活用は、単に日本語教育業界
だけでなく、

例えば、育成就労制度における就労者の
日本語要件にも適用されているなど、

様々な業界での活用が広がっています。

こんなに活用されるとは、私もちょっと
意外でした。

となれば、私たち日本語教師もしっかり
「日本語教育の参照枠」を熟知し、

これに基づいた教育ができるよう、
スキルアップをしなければなりません。

また、評価に関して、

「国際交流基金日本語基礎テスト」
         (JFT−Basic)
 https://www.jpf.go.jp/jft-basic/

が紹介されています。

これは、特定技能1号の申請に使える
テストです。

つまり、日本はこれから特定技能の
就労者をどんどん受け入れていくと
いうわけなんですね。

様々な分野で深刻な人材不足が進む中、

もはや外国人労働者なしには日本の
産業は成り立たないということなのです。

さらに、

> 育成就労制度の立上げに向けて必要となる
> 試験について、開発を推進する。

とありますから、

さらなる試験ができるのかもしれません。

個人的には、いろいろ試験を作るよりも

「国際交流基金日本語基礎テスト」
         (JFT−Basic)

でA1の能力の有無の判定も示すようにすれば、
国際交流基金も開発負担が少なくていいので
はないかと思います。

(勝手にJFがやると思い込んでいますが。)


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