既存の教材を『参照枠』に落とし込む。(その6)
本テーマの6回目。
今回は、
「評価の基準(ルーブリック)の作成」
についてお話します。
ルーブリックというのは、縦に評価の
観点(例:簡単な自己紹介ができる)、
横に評価の尺度(例:よくできる、できる)
を配置し、
それぞれのセルにCan doが書かれた評価表
のことを言います。
『参照枠』ベースの日本語教育に切り替わる
に従って、このルーブリックの使用頻度は
確実に増えていくと思われます。
とはいえ、今のところ、ルーブリックを
取り入れた日本語教材はほとんどありま
せん。
つまり、教師が教科書の指導内容に沿って
作成しなければならないということに
なるわけです。
ちなみに、私がいま大学の授業で使って
いる下記テキスト
『中級日本語で挑戦!スピーチ&
ディスカッション』
https://amzn.to/4raFuxE
『もっと 中級日本語で挑戦!スピーチ&
ディスカッション』
https://amzn.to/3X3N3Z3
では、ルーブリックとまでは言えない
までも、
各課の最初にCan doが7つ前後掲げられ、
それぞれ受講前後で
「よくできる、できる、できない」
(だったかな)
で自己評価できるようになっています。
ルーブリックの具体的な作成方法は
『「日本語教育の参照枠」の活用の
ための手引』
https://www.bunka.go.jp/
のp.23以降をご覧いただくと
分かります。
ポイントは、目標となる評価の観点
をよく吟味して決めること。
そして、評価の尺度は、例えば
「すばらしい/できた/もう一歩/がんばれ」
とした場合、まずは「できた」を合格ライン
とすること(「すばらしい」ではない)
です。
例えば、先の『手引き』では、A2.2の言語
活動
====================
簡単な日本語を使って自己紹介ができる。
友達やクラブ活動の内容について、簡単な
日本語で紹介することができる。
====================
の「やりとりの内容」のCan doとして、
以下が紹介されています。
====================
すばらしい:簡単な日本語を使って自己紹介
ができる。友達やクラブ活動の内容
について、ある程度詳しく紹介する
ことができる。
できた:簡単な日本語を使って自己紹介がで
きる。友達やクラブ活動の内容につ
いて、簡単な日本語で紹介すること
ができる。
もう少し:簡単な日本語を使って自身や友達
の紹介はできるが、クラブ活動の内
容について、紹介することが難しい。
がんばって:簡単な日本語を使って自身や友
達の紹介をすることが難しい。クラ
ブ活動の内容についても、紹介する
ことが難しい。
====================
私の場合、タスクと評価の観点、評価の尺度
が決まったら、後はChatGPTに具体的な
Can doを作らせ、
その結果を目視で確認してルーブリックを
作っています。
1から作ると大変ですが、ChatGPTを使うと
あっという間にできるので便利です。
こうすれば、ルーブリックを作る負担も
かなり減ると思います。
「篠研サロン−教育実践部」
https://www.kanjifumi.jp/
では、こうした具体的なスキルを、
現場でよく使われているテキストを
使って実践しています。
次回、11月28日は、
『日本語教育の参照枠』に沿った初級授業
−『日本語初級1 大地』の授業研究−
と題して、サロンメンバーが担当した
課ごとに、
バックワードデザインに沿った授業計画を
持ち寄って検討します。
各課対応のルーブリックもたくさん出てくる
と思います。
「『参照枠』ベースの授業技術を
身につけたい。」
「これからの日本語教育にもしっかり
対応していきたい。」
という方は、ぜひご入会ください。
