既存の教材を『参照枠』に落とし込む。(その7)

本テーマの7回目。

今回は、

「ポートフォリオ評価」

についてお話します。

ポートフォリオとは、学習者が授業等で
作成した自身の成果物、

例えば、作文や紙筆テストの結果、教師
からのフィードバック、学習記録などを
まとめたファイルのことを言います。

日本語教育の現場では、まだあまり活用
されていないかもしれませんが、

学校現場(小学校など)では活用されて
いるという話も聞きます。

ファイルというと紙のものを閉じる
というイメージがあるかもしれませんが、

デジタルデータ化してオンライン上に
保存し、

教師も学習者もアクセスできるように
すれば、

場所を取らなくて済むのでいいかも
しれません。(検索もしやすいですし)

例えば、既存の教科書に沿った定期
テストの結果や、

各課終了時にオリジナルの「できた
ことリスト」に自己評価させ、

成長を実感させるといいかもしれ
ません。

このポートフォリオ評価で1つ注意して
いただきたいのは、その目的です。

基本的には学習者の自己評価によって
内省を促し、

成長を実感したり、学習意欲を高め
たりすることが目的ですので、

成績評価につなげるのには向いて
いません。

それをしてしまうと、学習者は皆、
自己評価を満点にするでしょう(笑)

ここは気を付けてください。

また、このポートフォリオ評価
について、

『「日本語教育の参照枠」の活用の
 ための手引』
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/93696301_01.pdf

のp.29に興味深い記述があります。

==================

時には、学期のはじめより自己評価が
下がる場合もあります。

学習者がそのように自己評価した理由を
聞くと、

「はじめは漠然とできると思っていたが、
 実際に授業で経験してみて、どの辺が
 足りないかが分かったので、この段階
 での自己評価が下がりました」

といった声を聞くことがあります。

これは、自分の学習上の課題がより明確
になり、

次の目標が見つかったことを表している
とも考えられます。

学習者一人ひとりの学びの過程は異なり
ますから、

こうした気づきは学習者自身にとっても
教師にとっても自分の学習や教え方を
改善する上で有益な情報になります。

====================

評価が下がると、学びが後退したのかと
思いがちですが、

実はそうではなくて、学習者の意識が
より明確に、かつ高くなったために、

結果的に一時的に自己評価が下がる
こともあるんですね。

これは、むしろ成長した証であって
肯定的に捉えるべきでしょう。

こうした内的変化が起こった学習者は
目指すべき目標がはっきりしたわけ
ですから、

今後、高い成長が期待できます。

私たち教師としても、温かく
長い目で学習者を見ていってあげたい
ですね。

「篠研サロン−教育実践部」
 https://www.kanjifumi.jp/salon_kyouiku/

では、こうした具体的なスキルを、

現場でよく使われているテキストを
使って実践しています。

次回、11月28日は、

『日本語教育の参照枠』に沿った初級授業
 −『日本語初級1 大地』の授業研究−

と題して、サロンメンバーが担当した
課ごとに、

バックワードデザインに沿った授業計画を
持ち寄って検討します。

各課対応のルーブリックもたくさん出てくる
と思います。

「『参照枠』ベースの授業技術を
 身につけたい。」

「これからの日本語教育にもしっかり
 対応していきたい。」

という方は、ぜひご入会ください。


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための無料メルマガ
無料メルマガ「篠研の“日々成長する教師”」

授業の小ネタや授業実践のコツ、教師としての考え方、息の長い日本語教師になるための知恵などを週2日(火・木)でお届けします。

さらに、今ご登録なさると特典が無料でダウンロードできます。
特典 「精読指導の秘奥義」(全24ページ)

解除はもちろんのこと、メールアドレス変更など個人データの編集も簡単ですので、ご安心ください。プライバシーポリシーをご確認の上、ご登録を希望されるメールアドレスを入力し、ご希望の項目ボタンを押してください。

  メールアドレス【必須】
  お名前(姓)【必須】
  お名前(名)【必須】
  よみがな【必須】
  都道府県【必須】 なお、海外在住の方は「海外」をお選びいただき、下記項目に例のようにご記入ください。
  海外にお住まいの方は「ベトナム(ホーチミン)」のようにお書きください。