学習者に自分のやり方を押し付けない。(その3)

前回に引き続き

『カモのネギには毒がある』
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事件が起こる前までは、彼らは
部費を払い続け、理不尽な罰金にも
文句を言わず従った。

しかし、そのような中、また
暴力事件が起こった。

罰金と称するいじめにあった
下級生が、我慢しきれず
上級生を殴ったのだ。

大学は被害者とともに暴力事件を
起こした学生の親と面談。

事件をあからさまにしないよう
親に告げた。

ここでも恩を課して、親を
手なずけるためだ。

それを聞いた、物語の主人公で、
超変な大学の経済学者加茂氏(37)は、

「人間経済学の格好の研究材料」

として、野球部に潜入することを
宣言。

大学入試を受験した。

見事最高得点で入学し、野球部に
入部する。

それから、部員の意識改革に乗り
出す。

彼は部員に言う。

「お前らこの野球部に入って、

 『先輩見たら10秒頭さげろ』とか
 『守れなかったら罰金5000円』とか

 そんな理不尽な事すんなり受け入れ
 ているじゃん。

 そういうのを『思考停止』って
 いうんだぜ。」

それまで罰金制度によって暴力が
なくなったと信じ込んでいた部員に
暴力事件が起こったと知らされる。

驚いた彼らは、ここで初めて、
目が覚めた。

「加茂さん、これって俺たちが
 今まで勉強を怠けてきたから
 気づけなかったって事ですか?」

「まあ、そうかもね。
 ただひとつ言っておくけど、
 『学び』と『勉強』は同じでは
 ないからね。

 俺の考えでは『学び』とは、

 知る事、理解する事、疑う事
 そして乗り越える事」

1.知る
 教科書や本を読んで知識を得る事

2.理解する事
 問題集を解いたりテストを受け
 たりして得た知識を使いこなせる
 ようにする事

3.疑う事
 常識を疑ったり物事に対して
 問題意識を持つ事

4.乗り越える事
 3で考えた事に対し改善したり
 克服したりする事

「あくまで1から4全部やって
 『学び』なんだけど

 どうもこの国では1と2ばかり
 に重きをおいて『勉強』と
 呼んでるフシがあるね」

「人は学び続けてさえいれば
 自分の人生を他人に握られる
 事はない

 必ず自分の力で切り拓ける」

カモの話を聴いた部員たちは
無性に学びたい気持ちが湧いて
きた。

日本語教育でも、学習者の学習
意欲がよく問題にされます。

ですが、それは得てして私たち
教師が、

1と2ばかりに重きをおいて
3と4まで見据えた教育が不十分
だからなのかもしれません。

3と4に目を向けないのは、
教師自身に疑いの目が向けられる
のを恐れているからなのでしょうか。

しかし、そんな姿勢も学習者は
一瞬で見透かすでしょう。

その結果、学習意欲が削がれる
のではないか。

ここで思い出されるのが、
ブラジル出身の教育学者
フレイレの問題解決型教育。

彼の言うエンパワーメントは、
まさに4の乗り越える力の
育成ではないかと思います。

真の教育とは何か。

今一度、立ち止まって考えてみても
いいのかもしれません。


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