学習者に自分のやり方を押し付けない。(その4)

前回に引き続き

『カモのネギには毒がある』
 https://amzn.to/44yfRNc

加茂の教えで目覚めた部員は、
監督に対して罰金制度の不実施
を宣言した。

それに対して、監督は

「罰金制度を否定するのであれば
 結果で応えよ。」

として、網掛大との練習試合を組んだ。

網掛大野球部は、常に関西チャンピオン
に輝く強豪校。

不知火大野球部とは格が2枚も上だった。

以前、全国大会ベスト8で不知火大が
勝ったが、

不知火大野球部の部員は異口同音に

「あれはマグレだった。」

と口を揃える。

というのも、網掛大のピッチャー清水
がプロレベルの腕の持ち主。

160km/hの速球に多種多様な変化球を
持ち味にしているエースだからだ。

先日の試合でも、7回から登板。

9回まで投げ、後続全打者をシャット
アウト。

実に8人連続凡退。

勝ったとはいえ、実力の差を感じ
させる試合だった。

だから、不知火大野球部の部員は、
とても勝てないと思い込んでいたのだ。

そんな部員の話を聞いた加茂は、一言。

「クラスター錯覚がひどい。」

クラスター錯覚とは、人間の認知バイアス
の1つ。

クラスター錯覚とは、

サンプルサイズが小さい場合のランダム
分布において必然的に生じるストリーク
(線や筋)やクラスター(群れや塊)を、
ランダムなものではないと誤判断すること
である。−Wikipedia

簡単に言うと、本当は偶然によるもの
なのに、それをあたかも必然によるもの
と錯覚してしまう現象のことを言う。

加茂は続ける。

「たとえばプロ野球

 昨年日本一になった阪神の打率が.247
 それってつまり日本一のチームの打線
 ですら75.3%は凡退するって事だよ

 実際 日本シリーズ全7戦で阪神は
 8連続以上凡退を5回もやってる

 その中には10連続凡退とか
 一番ひどいので14連続凡退とかも
 含まれている

 それだけ連続凡退やりまくって
 日本一になったんだから

 8連続凡退なんてまったく気にする
 事じゃない」

そして、こう締める。

「網掛大が強そうに感じるのはすべて
 「クラスター錯覚」のせい

 不知火大の力なら十分勝てる」

     ◆  ◆  ◆

私たちが、日々活動している中で、

「うちの学校はこうだから仕方がない。」

「あの学生は、いつもこうだ。」

そう思うことはないでしょうか。

もちろん、その多くは実際の経験に
基づいて形成されたものでしょうが、

もしかしたら、たまたま起こったことを
さも必然的、固定的なものとしてとらえた
思い込み。

つまり

「クラスター錯覚」

によるものなのかもしれません。

だとすれば、もっと冷静に数値で見て
多面的に物事をとらえ、打開策を考えれば
解決策が生まれてくるかもしれません。

「これは、こうだ。
 だから、仕方がない。」

そうやって諦めかけていることは
ありませんか。


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための無料メルマガ
無料メルマガ「篠研の“日々成長する教師”」

授業の小ネタや授業実践のコツ、教師としての考え方、息の長い日本語教師になるための知恵などを週2日(火・木)でお届けします。

さらに、今ご登録なさると特典が無料でダウンロードできます。
特典 「精読指導の秘奥義」(全24ページ)

解除はもちろんのこと、メールアドレス変更など個人データの編集も簡単ですので、ご安心ください。プライバシーポリシーをご確認の上、ご登録を希望されるメールアドレスを入力し、ご希望の項目ボタンを押してください。

  メールアドレス【必須】
  お名前(姓)【必須】
  お名前(名)【必須】
  よみがな【必須】
  都道府県【必須】 なお、海外在住の方は「海外」をお選びいただき、下記項目に例のようにご記入ください。
  海外にお住まいの方は「ベトナム(ホーチミン)」のようにお書きください。