「転換期における外国人政策のあり方」経団連を読む(その1)
去る12月16日、経団連より
「転換期における外国人政策のあり方
〜秩序ある戦略的誘致・受入れ環境
整備に向けて〜」(以下、経団連提言)
https://00m.in/xeUCH
が示されました。
経団連が示す外国人施策の提言は
少なからず政府の外国人施策に
影響を与えると思われます。
また、経済界が日本語教育をどう
見ているのか、
どう関わろうとしているのか、
を知る上でも重要です。
そこで、今回から数回にわたり経団連
提言の中で、日本語教育に関係するものを
読み込んでいきたいと思います。
今回は、概要から。
全体的な目次としては、以下となります。
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目次
(1)はじめに— 提言を取りまとめる背景
(2)基本的考え方
1.中長期ビジョン— あるべき社会像
2.ビジョン実現に向けた3原則の順守
3.ビジョン実現に向けた視点
(3)受入れ環境の整備(制度横断的な施策)
1.基本理念の制定と政府の推進体制の
構築
2.中長期的な社会統合
3.DX等による出入国在留管理の徹底、
体制強化
4.実態調査によるエビデンスの把握
(4)有為な外国人に選ばれるための制度整
備(各在留資格における施策)
1.高度人材
2.現場人材(特定技能・育成就労)
3.留学
(5)企業の果たすべき役割
(6)おわりに— 残された課題
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特に日本語教育で大きな章立てがしてある
というわけではありません。
次に、この提言の基盤となる
(2)基本的な考え方
について見ていきましょう。
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(2)基本的な考え方
【中長期ビジョン-あるべき社会像】
世界各国から優れた人材が集まり、活躍する
ことで、イノベーションが加速。有為な人材
から「選ばれる国」となっている。
ビジョン実現に向けた外国人政策の3つの原則
と視点
原則1
「受入」から「戦略的誘致」へ発想転換
日本のあるべき社会像を見据え、質と人数の
両面で十分にコントロールされた秩序ある受
入れ包摂社会の実現
原則2
包摂社会の実現
日本社会の基本的な価値観を共有した上で、
多様な考え方や価値観を互いに尊重し合う包
摂的な環境を整備
原則3
ライフコースを考えた政策形成
外国人個人のライフコース全体を俯瞰した面的
政策を検討・立案・実施
視点1
エビデンスに基づいた透明性の高い政策形成
視点2
政策の国際的なベンチマーキング
視点3
国民理解の醸成
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> 「選ばれる国」となっている。
というのは、日本が外国人材からだんだんと
選ばれなくなっているという危機感の表れ
ではないかと思います。
特に、技能実習、特定技能、2027年から始まる
予定の育成就労の分野においては、
ベトナムをはじめとする東南アジアの人材から
選ばれなくなってきているという現状があり
ます。
一方で、人口減少に伴う就労人口の減少
が大きな課題。
どう考えても、外国人労働者に依存しない
わけにはいかないんですね。
そうなれば、当然、その先にある日本語教育の
充実が求められると考えられるわけです。
さらに、
「原則2 包摂社会の実現」。
包摂性とは、インクルージョンとも言い、
今後の日本語教育の大きなキーワードに
なると思われます。
登録日本語教員の経過措置対象者に対する
講習IIにおいても取り上げられていました。
今回は、以上となります。
まずは、基本理念をしっかり押さえておき
ましょう。
