「転換期における外国人政策のあり方」経団連を読む(その4)
前回に引き続き
「転換期における外国人政策のあり方
〜秩序ある戦略的誘致・受入れ環境
整備に向けて〜」(以下、経団連提言)
https://00m.in/xeUCH
今回は、
III.受け入れ環境の整備(制度横断的な施策)
(2)ライフコースに沿った日本語教育・
学習支援、文化・社会理解の推進
2 初等中等教育段階における日本語教育
です。
経団連が外国人就労者だけでなく、その子ども
である児童生徒に目を向けていることは注目
に値します。
これは、単に外国人労働者を一時的に受け入れる
のではなく、
中長期的に、かつ生産性の高い外国人材を受け
入れて行こうとする姿勢の表れではないかと
思います。
やや長いですが、以下、引用。
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2 初等中等教育段階における日本語教育
文科省の調査(2023年度)では、全国の公立学校
において、日本語指導が必要な児童生徒は約7万人
であり、過去10年間で約2倍となっている。
多くの地域での日本語教育・学習支援の現状は
ボランティア等に委ねられており、
予算・人員の持続可能性、教育・学習支援の質の
担保に課題が残る。
また、同調査では、日本語指導が必要な児童・生徒
の進路をたどると、
高校等へ進学できたとしても、中途退学率は8.5%と、
日本人を含む全生徒(1.1%)の7.7倍となっている。
さらに、卒業後の非正規雇用率は38.6%と、日本人
を含む全生徒(3.1%)の12.5倍となり、
「学習のための日本語」の支援の遅れが格差の固定化
につながっている側面がみられる。
初等中等教育段階における日本語教育の支援体制が
確立されれば、
日本人および日本語習得の進んだ外国人児童・生徒へ
の指導や支援にリソースを割くことができ、教育全体
の質の向上に資する。
一方で、支援体制の構築が不十分となれば、経済的に
自立できない若者が増加し、行政コストが増大する
要因となる。
初等中等教育段階における日本語教育の受け皿を早急
に整備するとともに、
地域の関係団体や企業等が必要な支援を行うことが
求められる。
こうした中、日本語教育の形態の一つとして、通常
授業とは別で一時的に児童生徒に対して日本語学習を
行う「取り出し指導」が存在する。
他方で、現行制度上、「特別の教育課程」として取り
出し指導を実施する場合、
主たる指導者は、常勤・非常勤を含む教員(教員免許
状保有者)でなければならず、教員の負担は大きく
なっている。
実際に、文科省の調査では、日本語指導に関する特段
の体制整備を行っていないと回答した地方自治体は
814あり、
このうち、「指導できる人員が不足している」との回
答は193(23.7%)、
「予算が不足している」との回答は112(13.8%)あっ
た。
日本語教育の現場において真に求められていることは、
形式的な免許の有無ではなく、
児童生徒に対して日本語を効果的に教えられるスキル
である。
そこで、民間人材等に対し、特別免許状を積極的かつ
速やかに与えて教員化することや、
主たる指導者を必ずしも教員に限定しない柔軟な運用
を検討すべきである。
さらに、これまでは、在留外国人は一時的な受入れで
あり、帯同家族を含め中長期的な在留を前提としてこ
なかった。
そのため、学校教育の義務化に関する本格的な検討は
進んでいない。
他方で、長期滞在者が増加しているなか、中長期での
在留を前提とした学齢相当の外国籍の子どもは増加し
ており、不就学の子どもも多く存在している。
中長期的には、全ての子どもが義務教育を受けられる
よう、
外国籍の子どもの教育のあり方について、国や地方自
治体の支援体制の強化の観点から、法的な措置も含め
て検討する時期に来ている。
併せて、初等中等教育段階においては、外国籍・日本
人児童生徒双方に対する異文化理解教育を推進し、共
生社会の基盤を形成していくべきである。
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> そこで、民間人材等に対し、特別免許状を積極的かつ
> 速やかに与えて教員化することや、
>
> 主たる指導者を必ずしも教員に限定しない柔軟な運用
> を検討すべきである。
これはかなり踏み込んだ提案です。
文部科学省は簡単に首を縦には振らないと
思いますが、
であれば、文部科学省は代替案を提示する必要が
あります。
そういうプレッシャーをかけているのではないかと
邪推します。
ただ、教育現場が逼迫しているのは、間違いない
ことです。
もちろん政府もそのための予算を今後組んでいく
と思いますが、
一方で企業への教育負担も求めていくでしょう。
つまり、外国人労働者とその家族に対する教育
負担が負えない企業は、今後外国人労働者の雇用
が難しくなっていくのではないかと思います。
そうすると、特に地方の中小零細企業は徐々に
その数を減らしていき、
生産性の高い優良企業だけが残っていくのでは
ないかと思います。
もともと日本は企業の数が約400万社と、人口の
割には非常に多いので、こうした流れの中で
適正値に寄って行くのかもしれません。
いずれにしても、私たち日本語教師にとっては
追い風。
このチャンスをしっかりモノにすべく、しかる
べき準備を着々と進めていくべきでしょう。
